2013年4月26日金曜日

のぞみ通信 No.189(2013年4月10日)

敬 和
寮長 信田 智

 敬和学園のぞみ寮によくきてくれた。これからまた新しい出会いが始まるかと思うと、心がわくわくしてくる。しかし、私たちの思いとは裏腹に「ヤバイ、なんでこんな所に来てしまったのだろう。今すぐにでも帰りたい。」なんて思っている人はいませんか。帰ってもいいですよ。ただし、半年寮生活をして同じ気持ちだったら私もあきらめられる。きっと、半年したら寮が好きになっていると思うのです。なぜなら、ここには君たちが今まで経験した事のない、素晴らしい出会いが一杯あるからです。
 さて、敬和学園と、こののぞみ寮が大切にしている事があります。それは、最も重要な掟としてイエス・キリストが教えられた掟なのです。その第一は、心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい。第二もこれと同様である。「隣人を自分のように愛しなさい。」この二つの掟です。これを一言でいうと、「敬神愛人」ということになるのです。神を畏れ敬い、隣人を自分のように愛する。この二つをしっかりと踏まえて行動することが、すべての掟の根本なのです。
 皆は、心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くして、何かに取り組んだ事がありますか。また、人の事を、自分の事のように考えて行動した事がありますか。今はまだ、自分がこれから寮でやっていけるかそのことで頭が一杯で、とてもそんな事は考えられないと思っているでしょう。しかし半年も、ここで一緒に生活していると、そういうことを考えられるようになっていくのです。
 この大切な二つの掟を心に刻み、胸に納めて生活できるように、それを、目に焼き付け見える形にしたのが、今、君たちが胸につけているワッペンです。どこかで見かけたマークだなと感じた人はいませんか。V(フォルクス)W(ワーゲン)というドイツの自動車会社の頭文字を図案化したマークに似ていると思うのです。
 敬和の校章は、K(敬)W(和)を図案化したもので、円が世界を表し、縦の線が「心を尽くし、精神を尽くし、思いをつくして、あなたの神である主を愛しなさい。」という第一の掟、神に向かって生きる人間の向上心をあらわしています。横の線は「隣人を自分のように愛しなさい。」という第二の掟、人と人との関係で、縦と横が交わり、人が互いに腕を組み合っているように見えませんか。
 VWとKWの大きな違いがあります。VWは利益を追求する会社です。しかし、KWは利益を追求するのではなく、神の愛と、隣人愛を追求する学園です。私たちは、敬和の校章がとても好きです。そして、誇りに思っています。敬和は、「神を畏れい、人と平に過ごす」学園です。その中にあるのぞみ寮は、日々の生活の中でその実践をしています。ぜひ皆さんも、「敬和」を誇りに思えるような学園生活、寮生活を送って欲しいと思います。
2013・4・2  46回生入寮礼拝より




「 46回生 代表挨拶 」

< 入寮の決意 >
新入寮生代表 みぎわ館 K.M

 厳しい寒さも和らぎ、春の訪れを感じるこの良き日に、私たち新入寮生一同は、それぞれの決意、意思、希望を持って敬和学園高等学校のぞみ寮に入寮いたします。敬和学園に入学できる喜びに加え、これから3年間、仲間と共に過ごし、たくさんの貴重な経験、体験ができるのぞみ寮に入寮できる喜び、期待で胸がいっぱいです。
 今日、私たちは新しい生活への第一歩を踏み出したところです。今まで一番近くで支えてくれていた親元を離れ、全国から集まった新しい仲間とこれからの3年間、共に起き、共に食べ、共に遊び、共に学びます。楽しいことやうれしいことはもちろん、たくさんの苦難や大きな壁にぶつかることもあると思います。限られた環境の中で、仲間と供に生きる喜びを分かち合い、それぞれが他人を思いやる心を忘れず、日々切磋琢磨しながら、充実した毎日を送っていきたいと思います。また、寮生活を通して自主性、協調性など、たくさんの事を学び、新しい自分、新たな可能性を見つけ、生きる力を身に付け、人として大きく成長していきたいです。
 義務教育を修了し、それぞれが自分で決めた人生の進路です。これからの3年間は短い人生において、掛替えのないものになると思います。私の母も敬和学園のぞみ寮の卒業生です。今でも高校時代の友人と頻繁に会ったり、楽しかった思い出話を沢山してくれます。のぞみ寮での生活が残してくれる思い出は、一生の思い出として輝き続けるのだと母を見て思いました。しかし、思い出は自らが動かないと作り上げることはできません。戸惑いや不安もありますが、常に自覚と責任を持った行動をとり、思い出を築いていきたいです。
 これからの私たちの寮生活に携わる全ての方々への感謝を忘れず、向上心を持って勉学に励み、仲間と協力し合って寮生活を送ることを誓い、入寮生代表の言葉とさせていただきます。




「 入寮によせて 」

< 保護者代表挨拶 >
T.Rさん

 みなさん、ご入学おめでとうございます。
 私は、みなさんがうらやましいです。私も敬和生になりたかったのですが、家の事情で入学する事が出来ませんでした。その事がずっと心に残っていて、子ども達には敬和に入るチャンスがあれば、と願っていました。今年入学する次女と3年生になった長女が敬和生として生活を皆さんと共にします。
 長女が入学した時の話です。私はとても嬉しく思っていました。しかし、私の知人に「なぜわざわざ新潟に?」と言われる事が多くありました。私たち家族は神奈川に住んでいます。10分電車に乗ると東京都に。10分反対方向に乗ると横浜市に行けます。ですから、どちらに行ってもミッションスクールは山の様にあり、わざわざ新潟で寮生活をしなくても…と思うのでしょう。ある方に「かわいそうに」とも言われました。子ども達には「良し」とした決断だったので、ちょっと心が痛く感じた時でした。
 4月、5月は寮からの電話も「こんな事があった」と新鮮な話ばかりで、ここでの生活は間違いではなかったと、安心そのものでした。ゴールデンウィークには帰省するとばかり思って家族で楽しみにしていたのですが、寮で企画した震災ボランティアに参加するので帰らないとの電話もありました。
 全てが順調に行くと思っていたのですが、気が付くと、泣きながらの電話が増えていたのです。親としてありきたりですが、「今を乗り越えればいいこともあるはず」など声を掛けましたが、電話を切った後は切なくて、苦しくて、「かわいそうに」と言われた言葉が胸に突き刺さります。
 私は仕事をしているので、子どもたちのためにと思い、職場での出来事をよく話していました。仕事の事、人間関係の事、大人の汚さも話していたのです。それは、自分だけではないんだ、頑張る事よりも踏ん張る事を感じ取ってもらいたかったのですが、何の役にも立っていませんでした。
 楽しい会話の時もありますが、泣きの電話は今も続いています。「なぜ私を敬和に入れたの?」「もう学校も寮も、何もかも嫌だ」と言ってきます。今回の春休みでも、「なぜ私を敬和に入れたの?」と。疲れきっていた私は布団に入っており、ドア越しで話してきました。「うーん。…何故だろうね…」と言って寝てしまったのですが、私も考えていました。たどり着くところは、やはり自分探し。
 寮から送られてくる手紙の寮生の礼拝の話、一人ひとりの思いが書かれた話を読んで、親として涙することが多くあります。みんな、寮でも学校でも何かを抱えている、寮生は親元を離れ自分で決断しなくてはならない。いつの間にか自分探しに突入しているんですね。その事に少しずつ、少しずつ気がつけば良いのだな、と思っています。
 3年間で自分探しの答えを見つけられた人はラッキーで、自分探しの途中で卒業してしまうのだろうな、とも思います。きっと、それでいいのでしょう。
 これからも我が家にはまたたくさんの泣きながらの電話がかかってくるはずです。今年度からは2倍に増えての涙声も覚悟しています。残念ながら、泣きの電話は慣れることがありません。親として、いつも心が痛みます。心配になります。でも、娘が話してくれることで私も嬉しいのです。泣きながら電話をしている事を静かに見守って下さる先生方、ありがとうございます。
 私は親としてまだまだ成長途中のようです。子ども達と一緒に悩んで、何かを見つけられる事を願っています。親も敬和生なのだなと感じています。
 余談ですが、長女が慣れた頃に「不便なことはない?」と聞くと、「何もかもが不自由で不便だから、何が不自由で不便なのかわからない」と返ってきました。本人は大真面目だったと思うのですが、笑ってしまいました。寮生だな。
 「大きくなーれ!」と願う毎日です。そして、親代わりとなって支えて下さっている先生方、心からありがとうございます。新1年生も、どうぞよろしくお願い致します。




「 着任の挨拶 」

<新任の挨拶>
大望館担任 堀越俊継

 この度4月より新しく大望館の寮務教師になりました堀越俊継といいます。新潟県三条市出身の27歳です。この3月まで敬和の保健体育科にいました。野球部のコーチもしています。敬和は教師として今年で3年目になりますが、34回生の生徒としても敬和にいました。当時は寮生として光風館で3年間を過ごしていました。久しぶりに戻ってきた寮は、ほとんど当時のままの姿を残していて本当に懐かしい気持ちになりました。ただ、男子寮は礼拝の姿勢や掃除などの館内の美化活動がさらに改善されていて、年を重ねるに連れてより進化してきているのだと感じることもできました。そんな中、新しく大望館の寮務教師になるということで楽しみな気持ちの反面、とても責任感とプレッシャーも感じています。しかし、寮生活を経験したということを強みに、生徒目線と教師目線をうまく使い分け、その状況に応じた対応ができればと考えています。まずは安全安心な寮を第一に考え、そこに自分独自の色を出した寮作りをしていきたいです。寮務教師としてまだまだ分からないことだらけですが、のぞみ寮のために力を尽くしていきたいと思います。今後とも宜しく御願い致します。



< 着任の挨拶 >
めぐみ館担任 会田 咲

 この春から新しく寮務教師としてめぐみ館を担当させていただきます会田咲(あいだ・さき)といいます。新潟市西区の新潟大学の近くに実家がありますが、高校卒業後は東京の大学・大学院に進みました。今回、敬和学園高校での着任が決まり6年ぶりに新潟での生活を皆様と共にスタートできることをとても楽しみにしています。大学では国際関係学・政治学、大学院では福祉学・医療福祉・家族支援という、大きく分けて2分野を専攻して学んでいました。また、社会福祉士という相談援助の国家資格を所持しております。学生時代での学びの傍ら、多くの方のサポートを頂きながら国連支部での手伝いや福祉実習・ボランティアなどほんとうに様々な体験をさせてもらいました。その中で得てきたたくさんの出会いや知識や気付きなどを、これからみなさんと共有していきたいなと思っております。
 のぞみ寮での生活では、共に生活する仲間を尊重し愛するために、さまざまなルールや人間力を学びます。しかしそれに加えて学校生活で抱く緊張感や、不安や、人間関係などを、うまくリセットできる「家庭」や「生活の場」をどのように提供できるのか、これから寮の教師を務めるものとして真摯に考えていきたいと思います。嬉しいときや幸せなときはもちろん、迷ったとき、苦しいとき、どこへ行けばいいのか分からなくなったときに、生徒たちにとって、「ここに帰ってくれば大丈夫だ」と安らげる物理的な居場所であると同時に、卒業していってからも一人一人の心の支えとなる場所を、生徒のみんなと、教師全員と、また保護者の皆さま方と一緒に作っていきたいです。どうぞよろしくお願いいたします。



< 新任の挨拶 >
大望館・光風館 青栁 希望

 はじめまして。今年度より寮務教師としてのぞみ寮に加わらせていただきました、青栁希望(あおやぎのぞみ)と申します。光風館と大望館の間に入り、二つの男子寮をどちらも見ます。ちなみに教科では数学を担当します。のぞみ寮に来て最初に思ったことは、挨拶の素晴らしさです。いつ、どこで、どの寮生に遭遇した際も「こんにちは」と気持ちよく挨拶してくれます。これは簡単そうに見えて、実はとてもレベルの高いことをやっているなと思います。また、寮生一人ひとりが主体的に動いていることに感心しました。上級生を中心に、それぞれが考えて行動していてとても立派です。寮生活というのは様々な規則や決まりごとの上に成立していて、学生にとっては厳しい面もあるのでしょうが、逆にその厳しさの中にあってこそ学べることがいかに多いかということを寮生の様子を見ていて感じました。
 実は私は、この春までは大学に通っていました。つまり、生徒の皆さんとあまり年端が変わりませんので、年齢の近い視点から様々な関わりが持てればなと考えております。一教員としてはまだまだ未熟な私ですが、寮での生活を通して寮生とともに私自身も成長していきたい所存です。これからどうぞよろしくお願い致します。



< 着任の挨拶 >
みぎわ館・めぐみ館  小黒 恵

 初めまして。今年度寮務教師に着任致しました小黒恵(おぐろめぐみ)と申します。みぎわ館・めぐみ館の両館を担当させて頂きます。担当教科は英語です。
 昨年までは英語科の講師として約4年間、教鞭を執らせて頂いておりました。この度、敬和学園の教育に無くてはならないのぞみ寮の寮務を担うこととなり、うれしい気持ちでいっぱいです。また寮の雰囲気は学校とは全く違うので、入寮したばかりの新1年生と同様に驚いてばかりもいます。
 私の今年度の抱負を漢字1字にすると「学」です。その字の通り、寮務を開始してから毎日沢山の事を学んでいます。それは他の寮務教師の先生方に教えて頂いている仕事だけでなく、むしろ生徒の生活そのものから得ることが多いような気がします。挨拶をする、時間を守る、意見を言う。当たり前のことを当たり前のように行う姿を本当に頼もしく感じています。
 今年度、生徒へのサポートに尽力すると同時に、生徒と共に学び共に成長していけるよう歩んで参ります。よろしくお願い致します。



「 バザー献品のお願い 」

 来る6月8日(土)に行われますフェスティヴァル&バザーで、「のぞみ寮」は、今年も、全国から集まる寮生の保護者の皆様にご協力をいただいて、恒例の「全国物産コーナー」を出店致したいと計画しております。つきましては、保護者の皆様には、献品のお心づもりをいただき、日が近くなりましたら献品をお送り頂きたく存じます。



< 編集後記 >

 のぞみ寮には日本全国、そして海外からも仲間が集っています。そんな様々なバックグラウンドを持つ一人ひとりが、毎日共に食事をし、寝起きを共にし、仲間と交わり生活をします。日々神様に祈り続けながら、のぞみ寮らしく、できる事を探していきたいと思います。
 52名の46回生を迎えスタートした2013年度、のぞみ寮生全員の豊かな心の成長を目指して、スタッフも共に歩んでいきます。新たな良い春を迎えたいと思います。今年度もどうぞよろしくお願いいたします!
めぐみ館担任 会田咲