寮長 信田 智
敬和のチャペルで、今まで約90組ほどの結婚式を司式させてもらった。そのうち30組ほどが敬和の卒業生の結婚式で、その中には私が担任をした生徒の結婚式もあります。敬和のチャペルでの結婚式だけではなく、帝国ホテルや、京都ホテルオークラ等の式場を借りて司式をさせてもらうこともあります。この夏、私のクラスの生徒であった女性が敬和のチャペルで結婚式を挙げました。お相手の方も同じ東京の方で、わざわざ新潟まで出てこられなくても、東京のどこかの会場を借りて、私が出向いて司式をすることも出来たのですが、お二人はあえて、敬和学園のチャペルで結婚式を挙げることを決断したのです。2年前のフェスティヴァルの時、初めて二人連れ立って敬和にこられ、親しく交わりの時を持ちました。
敬和で過ごした3年間の生活が、どれほど素晴らしい経験であったか、折に触れ時に感じて話をする彼女の高校とは、一体どんな学校なのか自分の目で確かめてみたいということで一緒に尋ねてこられたのです。そして彼女の人生の原点が、この敬和学園にある事を感じ、二人の思いを確かめ、敬和のチャペルで結婚式を挙げたいとの決断に至ったのです。
新婦の父親は、チャペルのOMホールにある、ゆかり会が寄贈してくださったステンドグラス(創世記1章の7日間にわたる天地創造のみ業を図案化したものです。―混沌の中に、神が「光あれ」と語られた、その希望の光が天地創造全体を貫いている図案です。)のデザインをしてくださった方で、4人のお子様を敬和学園に送ってくださった、敬和の教育のよき理解者です。
その結婚式は実にスッキリとした、暖か味のあるものでした。出席者は新婦のご両親と兄弟関係。新郎の母親と、ごく親しい兄弟のように付き合っている友人数人。奏楽は新婦の敬和時代のクラスメート。お花は父親が、初めて薪を焚いて釜で焼いた備前焼の花瓶を用い、母親が花をいける。着付けとメイクは新郎の友人が担ってくれた。愛情と友情のこもった、手作り感のある結婚式でした。
私自身、息子の結婚式を思い出しました。息子も私が司式をし、出席者は母親と兄。新婦の母親と兄夫婦だけでした。(たまたま、寮開放期間であったので、数名の先生達が参加してくださり、合宿中の声楽部が式の中でハレルヤの合唱をしてくださった。)どんなに少人数の式であっても、大人数の式であっても、私の準備と式場の準備にかけるエネルギーは変わらないのです。
チャペルの内壁には、1回生から直近の卒業生まで全員の名前が、各回生クラスごとに銅版に刻印されています。敬和生にとって、チャペルは彼らの心のふるさとなのです。そのチャペルで、結婚という人生の新しい出発に際し、神の前に誓いをなし、誠実な決意をもって、新しい生活を始めてくれる事は、若い魂の教育に携わってきた者にとって大きな喜びです。
< 光風館 >
「部活三昧」 K.T(1年生:福島県南相馬市)
僕の敬和での初めての夏休みは、部活漬けの夏休みでした。僕はサッカー部に入っており、夏に校内合宿、寮生合宿、田島合宿と3つのサッカー部の合宿がありました。その3つの合宿のうち、特に長く感じたのは田島合宿でした。
田島合宿一日目は、新潟で午前中に練習試合をしてからバスで4時間くらいかけて福島県南会津にある吉本屋という民宿に行きました。民宿に着いた頃には、日が暮れていました。一年生の最初の仕事は、夕食の準備(吉本屋のおばちゃんの作ってくれたおかずやご飯、みそ汁を配る)でした。驚いたのは、ひとりひとりのおかずの量が予想以上に多く、ご飯の量も多くて、大きな炊飯器2、3個分のご飯が用意されていました。なぜかわからないけど、一年生がたくさん食べなければならないルールになっていて、一年生はその日の夜、食べ過ぎでみんな気持ち悪そうな顔をしていました。
次の日の朝食は、夕食同様に量が多く、先に食べ終わった2、3年生は、民宿から10キロ離れたところにある練習場へ走っていきました。一年生は、ご飯の片付けを済ませてから練習場まで走って行って練習をしました。練習の帰りは、朝と同じく10キロコースを1時間以内で走って民宿まで帰らなければならなくて、1時間以内に帰って来られなかった人は、時間が1分オーバーする毎に坂道ダッシュの本数が1本増えていきました。
4日間過ごして思ったことは、大事な大会を勝ち抜くため、強いチームと戦うためには、それなりの準備が必要だということです。しっかりと練習をして、チームのレベル、自分のレベルが上がったと分かれば、強いチームに自信をもって挑めると思います。
< 寮務教師から一言 >
夏休みが明けて9月も後半に差し掛かりました。厳しい残暑が続き、「暑い、暑い、、、」と汗をかきながらも、エアコンに頼り過ぎることなく“どうしたら少しでも快適に過ごせるか”工夫を凝らす寮生たちは、たくましいです。心と身体を整えながら、それぞれ、進路や世代交代、修養会や部活動の大会へ向け、悩みと喜びをもって自分の時間を大切に使っています。後期の歩みが、一人一人にとって実り多き時となるよう、日常の一つ一つを大切に積み重ねて行きたいです。
女子寮 冨井 愛