2012年11月21日水曜日

のぞみ通信 No.185(11月21日)

< 健康診断 >
                 寮長 信田 智

 9月に健康診断を受けた。70年も生きてくるといろいろな所にガタが来る。自分では何の自覚症状もないが、血圧が上がり降圧剤を服用している。今回、総コレステロール値が基準を少しオーバーした。朝晩高校生と同じ食事をし、昼は妻の手料理で腹を満たしていれば、しかたがないとは思うが、今まで基準値内であっただけに少し気になる。また、体力測定では、俊敏性と、平衡感覚が鈍ってきている。これらの事に気をつけながら、適切に対処していかなければならない。他は今のところ異常がないようだが、気を付けるに越した事はない。
 私たちは、自分の体の健康については、このように健康診断を受け、その状態をチェックし対処することが出来る。しかし、人間は心と体を持って、人間として形作られているのであるから、当然、心の健康診断もしなければならない。にもかかわらず、私たちは、その事に関しては無頓着なことが多い。そして、自覚症状がないまま、どんどん心が蝕まれていくことがある。
 皆さんはどこで心の健康診断をされていますか。定期的に心の健康診断を受けている人は少ないのではないだろうか。多くの場合、心が萎え、気力を失い、かなり重症にならないと、医者にかからないので、回復に時間がかかる。特にこの時代は、将来に対する不安や、経済的な不況、人間関係がギクシャクし、心を乱されることが多い。知らず知らずの内に、心が蝕まれ、病んでいくのです。それだけに、心の健康診断を受け、早期発見早期治療の必要があります。
 私たちの心の状態を映し出す鏡がある。それは聖書です。人類の素晴らしい宝物である聖書に親しみ、そこに心を向けていくうちに、自分の心の状態が見えてくるのです。聖書の言葉に耳を傾けながら、心を静めて祈る時、人に対して、言わなくてもいい事を言ってしまい、言わなければならない事を言えなかった、愚かな弱い自分が見えてくる。また、一つ一つの出来事に一喜一憂し、不安の中で右往左往している自分に気づくことがある。
 聖書は、私たちの心を映し出す鏡であると同時に、私たちの心を癒し、整えてくれる力もある。私たちに、人生の拠り所を教え、そこに行けば傷ついた心が癒され、慰められ、生きるエネルギーを与えてくれる。敬和学園は、毎朝の礼拝で自分の心を見つめ、自己点検をする機会が与えられている。そして、静まって自分のあり方を考える中で、不思議と心が整えられて行くのです。心の健康診断を受けてみたいと思われる方は、寮長までご一報ください。一緒に聖書を読んで、心の状態をチェックし、整えていきませんか。




2012年度 寮体験プログラムを終えて

 2012年10月14日(日)~19日(金)まで、45回生・通学生を対象に寮体験プログラムが開催されました。普段なかなか細部まで知ることのできない寮生活を体験してもらい、寮生活の素晴らしさ・寮生の頼もしさの訳を知ってもらう機会に…と毎年開催されています。今年は男女計7名の通学生が参加してくれました。その感想を一部ご紹介いたします。


*M.K.(新潟市中央区)
 私は今日までの6日間、寮体験をさせてもらいました。とても感謝しています。
 この寮体験で分かったことは、毎日労作のような生活(掃除、洗濯、食事当番など)ができることと、協力して生まれる「楽しむ心」が自然と出てくることだと思います。なぜなら、自分自身が真剣に作業に打ち込めたことはもちろん、一緒に作業をしてくれた先輩や友だちが色々な人と会話をしながらとても楽しそうな笑顔で作業をしていたからです。まだBクラスでは、楽しんで労作をしている人が見た限りいないように感じています。なので、Bクラスの元労作委員として、この寮体験を活かして「木曜4限は労作の日!労作着と楽しみを忘れるな!」といった感じの目標をBクラスの中で立ててみたいなと思いました。


*O.Y.(新潟市北区)
 私は1週間みぎわ館で過ごしました。みぎわ館のみなさん、温かく迎え入れて頂きありがとうございました。とても充実した1週間を過ごすことが出来ました。2・3年生のみなさん、とても優しく接して下さってありがとうございました。私は初め、不安や緊張がとても大きかったのですが、先輩方が優しく話しかけて頂いたりしたお陰で、とても安心して過ごすことが出来ました。
 1年生のみんな、いっぱいフォローしてくれてありがとう!楽しかったです!そして同じお部屋に迎え入れてくれたみなさん、同室にさせて頂いて本当に嬉しかったです。優しく声を掛けて頂いたこと、掃除を一緒にしたこと、お菓子をみんなで食べた事、消灯後まで語り合った事、いっぱい笑った事、本当に幸せでした。本当にお世話になりました。寮のルールを分かりやすく書いてくれたルーズリーフは私の宝物です!
 みぎわ館の皆さん、1週間本当にありがとうございました!


*K.C.(新潟県三条市)
 実は私は、1週間の寮体験があると聞いた時、自分には無理だと思っていたので参加する気は全くと言っていいほどありませんでした。いろいろしんどい事も重なっていた時でもあり、ちょっと学校を離れたいなと考えてしまう瞬間もありました。しかし、担任の野間先生に「寮体験してみない!?」と声を掛けてもらい、なんだかやってみることになってしまいました。申し込みをして決定した時は、やっぱり辞めておけばよかった!と後悔してしまったりしました。絶対に寮体験しなくてはいけないんだと思うと、気が重くなりました。寮体験が始まる14日、敬和に向かう車の中では「あ~、始まるんだ~」と落ち込んでいました。
 しかし敬和に着き、寮本部で寮の先生に会い、少しだけ嬉しくなりました。そうしたらすぐにみぎわ館の1年生たちが本部まで迎えに来てくれ、またもっと嬉しくなりました。みぎわ館の中に入るとみぎわ館の人たちが「こんにちは!」「いらっしゃい!」と次々と声を掛けてくださり、とても嬉しくなりました。
 私は8室で生活することになり、優しい先輩とよく知っている1年生たちと同じ部屋になれたこと、本当に嬉しかったです。初日の夜には8室のみんながケーキを作ってウェルカムパーティをしてくれました。とてもかわいくて、おいしくて、幸せでした。
 みぎわ館の皆さんは私の事を「C」と呼んでくれ、漫画や雑誌・本をたくさん貸してくれたり、朝の登校準備の時間には髪の毛をかわいくセットしてくれたり、嬉しかったです。
 寮ってこんなに素敵なところなんだ!と寮体験をしてみて初めて知りました。嫌だなぁと初めは思ってしまっていた寮体験でしたが、参加して本当に良かったと思いました。みぎわ館のみなさんの笑顔が本当に素敵でキラキラしていて、一緒にいることで私は幸せになりました。私もみぎわ館の皆さんのように人を幸せに出来るような笑顔の人になりたいと思いました。寮体験に参加できて、みぎわ館で生活出来、本当に良かったです。1週間ありがとうございました。




寮生リレー通信  (第 101 回)

*リサイクル委員会 『輝けゴミ箱!!ゴミ箱が輝けば、ぼくらも輝く!!~』

Y.D.(大望館 2年:埼玉県坂戸市)
 今年のリサイクル委員会のテーマは「輝けゴミ箱!!ゴミ箱が輝けば、ぼくらも輝く!!~」です。このテーマに決まった理由は、二つあります。
 一つは、僕の住んでいる大望館では、ゴミ箱の周りがとても汚いからです。ゴミ箱が満杯なのに、その上にゴミを置く人がいたり、投げ入れたゴミがゴミ箱に入らなくても放ったままにしている人がいたりします。そのような人達が、きちんとするようになれば、もっとゴミ箱の周りはきれいになるはずです。でもそれは、リサイクル委員の責任でもあるので、僕は、もっと細目にリサイクルやゴミ捨てをしていきたいと考えています。
 もう一つは、ゴミ箱を綺麗にすることによって、皆さんの心も綺麗になるのではないかと考えたからです。これは、僕の単なる幻想かもしれませんが、「トイレ磨きは心磨き」とある人が言ったように、ゴミ箱も同じではないでしょうか。汚い物を掃除するのは、誰でも嫌だと思います。人の嫌な事を自分から率先してやるのは、すごく難しいことです。しかし、それをすることによって、自分自身が成長できると思います。
 さて、大望館は、ゴミ箱の溜まり方がとても早いです。なぜこんなに溜まるのが早いのか考え、リサイクル委員の皆と話し合いました。すると、女子寮は、分別がすごく細かいということが分かりました。燃やすゴミ、燃やさないゴミ、プラスチック、危険物、ペットボトル、ペットボトルのふた、生ゴミ、、、お菓子ボックス、冊子ボックス、牛乳パックボックスなど、分別が細かく、二週間くらい経たないと、ゴミ箱は一杯にならないそうです。そんな中、生ゴミは、週に二度ゴミ出しをしているそうです。すぐに、分別を全て見習うのは難しいですが、大望館も少しずつ分別を細かくして見習っていきたいと考えています。
 今回、リサイクル委員会は、皆さんが気持ちよくゴミを捨てられるように、月に一度ゴミ捨て場の掃除をするなど、新しい取り組みを始めました。より良いリサイクルをするには、皆さんの協力も必要です。より良いリサイクルを目指して、一年間頑張っていきたいと思います。


*整美委員会 『Clean with heart』

S.U.(めぐみ館 2年:福島県会津若松市)
 新整備委員長になりましたS.U.です。整美の新しいテーマは、「Clean with heart」に決まりました。
 道具を使ってただ掃除をするのではなく、いつも使っている場所や物を、気持ちを込めてきれいにして欲しいと言う願いから、このテーマにしました。
 今の各館のお掃除はどうでしょうか。毎日の掃除の中で、一日に一回だけ、私達の生活の中に‘ありがとう’の気持ちを向けられたら、と思います。また、決められた掃除の時間以外にも「汚れていたらきれいにする」「物が落ちていたら拾う、片付ける」こういったことが自然に出来るのぞみ寮になって行きたいです。ついつい忘れてしまう当たり前のこと、私も心に留めながら生活しようと思います。


*行事委員会  『笑天~Enjoy,Happy and Smile!~』

F.E.(みぎわ館 2年:新潟県長岡市)
  新しく行事委員長をさせていただきます、みぎわ館のF.E.です。
 こののぞみ寮では1年を通して様々な行事が行われます。これから予定されているものでは寮クリスマスがあります。行事委員会ではテーマを決める際、行事の1つ1つに対してどのような思いで企画するか、参加する側にどんな風になってもらいたいかに重点を置き、話し合いを進めてきました。その結果、これから1年間の行事のテーマは「笑天~Enjoy,Happy and Smile!~」です。この「笑天」とは、のぞみ寮で行う行事を、笑顔が広がっていく機会となる行事でありたいと願って決めました。
 行事をすることを楽しみだと思っている人もいれば、あまり乗り気になれない人もいるでしょう。しかし、1つの行事が終わった時にはみんなが「参加してよかった!」と思ってもらえるような企画を考えていきたいです。
 みなさん、これから「これをしたい!」など要望がありましたら、ぜひ各館の行事委員に聞かせてください!みなさんの意見もしっかり取り入れながら話し合い、行事を寮全体で創る形で取り組んでいきたいです。
 上映会や体育館を使っての企画などいろいろと考えていきます。みなさんの参加を待っています!


*礼拝委員会 『fresh』

T.M.(みぎわ館 2年:神奈川県川崎市)
 新礼拝委員長になりました、みぎわ館のTです。
 今回の礼拝委員のテーマは「fresh」です。Freshという言葉の意味をご存知かもしれませんが、今一度みなさんにお伝えしようと思います。Freshとは、新しさや新しく生き生きしている様です。
 なぜ、このテーマにしたのか?みなさんは、今ののぞみ寮の礼拝をどう思いながら守っているのでしょうか。毎週日曜日の全体礼拝、面倒くさいなぁとか、だるいなぁとか、テスト前だと早く勉強したいのにと思う事は、少なからずあるのではないでしょうか。私達礼拝委員はその気持ちを全て変えたいとは思っていません。少しでも礼拝に来るのがワクワク出来ればいいなぁと思っています。
 例えば、日曜日の全体礼拝でのお話を今のように各委員会の委員長だけではなく、みなさんにもしていただきたいのです。また、暦上の行事、これからだとクリスマスはもちろんですが、お正月、バレンタイン、ホワイトデーなどのイベントに合わせて、行事委員や食事委員を中心とした各委員会と協力しながら、礼拝を守りたいとも考えています。礼拝の場所もこの友愛館から抜け出して、大望の横の駐車場で、またはグラウンドなどで行えればいいなぁとも思っています。
 皆さんのお話は、年明けから入れていきたいと思っています。頼まれたら、ぜひとも快く引き受けてくださるととても嬉しいです。なぜ、皆さんのお話を入れて行こうと思ったのか。それは、今まで寮祭などでの限られた、また、テーマに沿った話を聞いていました。しかし、今皆さんが疑問に思っている事、知ってほしいと思っている事は口を開かない限り、周りが理解することは難しいのです。そこで、皆さんの意見を聞ける場にするために、全体礼拝で生徒のお話を入れていこうと考えました。
 このように、今までになかったような斬新な場所・斬新な行事・斬新なスタイルにしていきたいのです。そうすることによって、皆さんも何だか楽しそうだと感じませんか?ですから、今回の礼拝委員会のテーマは「fresh」なのです。
 礼拝とは、礼拝委員だけで成り立っているわけではありません。皆さん無しにして、のぞみ寮の礼拝は成り立たないのです。ですから、皆さんにはぜひ協力してほしいのです。また、こういう礼拝をしてみたい!など、アイデアがあれば、いつでも持ってきてほしいです。こうして、礼拝をみんなでもっと素敵に作っていけたらいいなぁと思っています!


*生活委員会 『“Change the world”~チェックは愛の証です~』

N.M.(みぎわ館 2年:福島県会津若松市)
 突然ですが、皆さんはチェックと聞いて、何を思い浮かべますか?大掃除や嫌なものなど、マイナスのイメージはありませんか?
 今年の生活規律委員会のテーマは“Change the world”~チェックは愛の証です~です。このテーマのメインタイトルの“Change the world”とは、世界を変えるくらいのやる気を持って仕事に励むという意味と、視点を変えて今の現状を見直すという、2つの意味が込められています。
 今、生活規律委員会では、私物や登校チェック、それぞれの館の風紀など、さまざまな取り組みをしています。それらの仕事に責任を持って取り組み、新しい視点から、のぞみ寮がよりよくなるように変えていきたいと思います。
 また、サブタイトルにある~チェックは愛の証です~というのは、チェックは自分を省みて、どれだけ自分が周りの人に迷惑をかけているのか知る事ができる証であると同時に、周りの人のことを愛を持って考える材料になるという理由から、このタイトルになりました。
 チェックがついたとき、反省するのも大切ですが、そこから周りのことを考えて、これから自分がすべき行動を考えていくのも大切です。一人一人が生活態度を見直せば、皆が気持ちよく過ごせるステキな寮になっていくと思います。
 私たち生活規律委員がそんなステキな寮づくりをしていきたいと思います。私たちだけでは変えられない部分もたくさんあります。その時は、ぜひ皆さんもご協力お願いします。


*食事委員会 『すべての食材と調理師さんに感謝して、いただきます!~残さず、食べる!~』

N.M.(みぎわ館 2年:兵庫県明石市)
 新食事委員長になりました、N.M.です。今年度の食事委員会のテーマは「すべての食材と調理師さんに感謝して、いただきます!~残さず、食べろ!~」です。
 このテーマは、毎日私たちのために一生懸命食事を作ってくださる調理師さんに感謝して食事を頂く、という想いを持ってほしいという事と、私たちが普段当たり前のように口にしている食べ物を「当たり前」だと考えるのではなく、食べ物に感謝して「頂く」という気持ちで食事をしてほしいと言う想いから、このテーマにしました。また、一人一人が食べ物とそれを作ってくださっている方々の心を大切にすることで、残食を減らしていきたいと思っています。
 食事を摂る事で、1日の活動は活発になり、健康にも繋がります。反対に食事を摂らないという事は、体だけでなく、心にも悪影響を及ぼすことになっていきます。食べるという毎日行う行動で、私たちの日々の生活を豊かで有意義なものにすることができるでしょう。
 寮生にとって友愛館での3度の食事は、特に、寮生と共に摂る朝・夜の食事は、寮生活における大きなコミュニケーションの機会です。仲間と楽しく食事をすることで、その仲間とさらに良い関係が築けることにも繋がります。仲間と良い関係が築けると、それを通して、新たな自分を知ることもできるかもしれません。そう考えると、「食べる」ということは、自分の心と体を作るだけではないという新たな見方が出来るのではないでしょうか。
 今、のぞみ寮での食事に対して、いろんな想いを持っている人が居ると思いますが、みなさん一人一人が、食事は自分の心も体も、仲間との関係も成長させてくれる素敵なものなのだ、という事を覚えてもらえるように、今年度の食事委員会は、皆さんにご協力いただきながら取り組んでいきたいと思っています。1年間、どうぞよろしくお願いします!



~寮務教師より一言~

 この間夏休みが明けた!と思っていたら、もう11月も半ばです。毎日毎日が本当にあっという間に過ぎていきます。1年生から3年生までの、このメンバーで過ごせるのもあとわずか。毎日を大切に過ごしていきたいと心の底から思います。
 先日ある3年生が小論文に自分の3年間の成長を書きたいのだけれど、自分がどれだけ成長したのか、成長したとは自信を持って言えるのだけれど具体的にが難しい…と話に来ました。1年生の頃はあんなだったよね、こんなだったよね…、と振り返れば振り返るほど、どんどん具体的な成長が見えてきました。入寮時と現在とでは、別人だと言ってもいいほど成長を遂げている彼女をはっきりと見ることが出来ました。
 今年入寮した45回生も、先輩となり奮闘している44回生も、人生の岐路に立ち将来を見据えている43回生も、みんな、それぞれに確実に豊かに成長している事を改めて教えられ、私にとっても嬉しい時となりました。
 このメンバーで過ごせる限られた時間を精一杯、寮生と寮務教師が共に心を揺さぶり・育て合っていきたいと思います。
みぎわ館 森口みち子

2012年10月25日木曜日

のぞみ通信 No.184(10月21日)

< コミュニケーション能力 >
寮長 信田 智

 現代のコミュニケーションの手段として、ケイタイ、パソコンといった電子機器が大きな役割を果たしていることは言うまでもない。それらは、リアルタイムで大量の情報をやり取りすることも出来る。しかし、機器を媒介としたコミュニケーションでは、相手の表情や感情の動きを読み取る事が難しい。そのため、顔と顔を合わせてする対話では、絶対に言わないような激しい言葉や、卑猥な言葉がネット上で飛び交う。その結果、しばしばトラブルに巻き込まれたり、人を傷つけたりする事が起こる。また、悪意のあるネット上の書き込みにより、いわれのない屈辱を受け、苦しみ、死に追い込まれる事さえ起きる。恐ろしい事に、それらが遊び感覚で行われている事である。
 更に、自らの技術を悪用して、他人のパソコンに侵入し、リモートコントロールで、大切な情報を抜き取ったり、無差別殺人予告を書き込んだり、公共施設に爆弾を仕掛けたとの書き込みをしたり、極めて悪質な反社会的行為を平気で行える感覚になってしまう。それは、心を持たないコンピュータゲームの世界の出来事を、血が通い心が通い合う、生きた人間世界の出来事と同じであると錯覚させてしまうのかも知れない。まさに、神無き教育のなせる業であり、「知恵ある悪魔を作り出している」結果なのかもしれない。
 私の息子は、大学院を出て上場企業のコンピュータ会社に勤めたが、近くにいる人との仕事の打ち合わせまでもチャットで行われるような、あまりにもコンピュータ付けの生活が性に合わず、こんな事をしていては人間がおかしくなると感じて退職をし、ベンチャー企業の訪問看護のマネージャー職についた。そこには、人と人とのコミュニケーションによってもたらされる仕事の成果がある。(最近になってその企業も軌道に乗り、やっと普通の給料をもらえるようになったと言っていた。)
  一方、のぞみ寮では、これだけ情報機器の発達した時代、未だに携帯電話の持込が禁止されている。パソコンも自由に使えない。親や友人との連絡は、基本的に公衆電話によっている。とても不便で不自由である。その不便さに親のほうが辛抱しきれず、子供の言いなりになり、ケイタイを持ち込ませてしまうことさえある。のぞみ寮は、ケイタイやパソコンでは出来ない、豊かな生きたコミュニケーション能力を身に付ける大切な場です。顔と顔を相い合わせて、お互いの表情や、感情を感じながら対話することが求められます。ある意味、とてもしんどい作業です。それだけに、保護者の方のご理解、お支えも必要です。
 しかし、そのしんどい作業こそが、豊かなコミュニケーション能力を養っていくのです。ある時期徹底的に、不自由さと不便さの中に身を置く事によって、不自由さの中で、本当の自由とは何か。不便さの中で、本当の豊かさとは何か。というものを見つけて行きます。更に、しんどさの中で忍耐力と工夫が生れます。まさに、人間形成の大切な基礎が培われて行くのです。のぞみ寮生は、日常生活の中でお互いの違いを認め、その存在を大切にし合いながら、コミュニケーション能力を高めています。





< 寮生リレー通信  (第 100 回) >

≪光風館ブロック長≫  
「Only One 光風~お金で買えない価値がある~」 

K.K(光風館 2年:福島県会津若松市)
 みなさん、こんばんは。新運営委員長になりました、光風館のK.Kです。今年ののぞみ寮のテーマは各館のブロック長、副ブロック長で話し合いを重ね、各委員会の委員長のアイデアも加えて館生しました。今年のテーマは、

 の んきな家族だ  みぎわ館
 ぞ っとさせるぜ   光風館
 み んな好きでしょ? 大望館
 り ズムに乗るぜ  めぐみ館
 ょ んかんそろえば
 う ぃーあーHappy!!
     です。

 このテーマは説明がいらないほどストレートな意味を持っているのではないでしょうか。
 テーマを決めるための話し合いの中で、ブロック長、副ブロック長に今後自分たちがどのような寮生活を送っていきたいかという思いを話してもらいました。僕がこの話し合いの中でとても重要だと思った言葉があります。それは「居心地の良い場所」という言葉です。みなさんは居心地良く寮生活を送れていますか?寮には様々なルールがありますが、家と変わらない場所ですよね。家は居心地の良い場所であるはずです。
 これからの1年間は「居心地の良い場所」という言葉をキーワードに寮生活を送っていきましょう。
 次に光風館です。今年の光風館のテーマは「Only One 光風~お金で買えない価値がある~」です。このテーマには、光風にいる時にしかできないとても価値のあることを経験していこう、という思いが込められています。また、光風でしか作り出せないものを見つけていこうという意味も込められています。これから1年間、その思いを胸に寮生活を送っていきたいです。



≪みぎわ館ブロック長≫  
「No trust No family ~陽だまりに咲く姉妹(はな)~」   

K.K(みぎわ館 2年 :新潟市中央区)
 このたび、みぎわ館新ブロック長になりました、K.Kです。突然ですが、みなさんはみぎわ館と聞いて、どんなイメージを思い浮かべるでしょうか。恐らく、みぎわ館に住んでいる人と、住んでいない人とでは、受ける印象はだいぶ異なると思いますが、私は良い意味でも悪い意味でものんびりしていると思います。姉妹のような、友達のような、毎日さわがしい館です。
 しかし、ただの仲間止まりではなく、今年はもう一段階上を目指したいと思います。そんなみぎわ館のテーマは「No trust No family ~陽だまりに咲く姉妹(はな)~」です。このテーマは、44回生で3日間徹夜し、45回生にも協力してもらって考えた自信作であり、大事なテーマです。「No trust No family」は、「No pain No gain(痛みなくして得るものなし)」という英語をもじってつくりました。信頼なくして家族なし、という意味です。1、2年生ミーティングで、どんな館にしたいか、というなんとも抽象的な質問をして、みんなにアイデアを出してもらいました。すると、“あったかい”“家族”“安心する”“ほっとする”など多くの意見が出たにもかかわらず、本質的な部分はみんな一緒だった、というおどろきの結果が出ました。学校から帰ってきて、玄関に入った瞬間にほっとする、というのが一番しっくりくるかと思います。
 また、サブタイトルに用いている“陽だまり”には、陽のあたっている場所のなかでもとりわけあたたかいところ、というような意味があります。
 みぎわ館生にとって、みぎわ館をとりわけあたたかい、家族の集まる家のような館にしていこう、という気持ちをこめたテーマです。みぎわ館から、今以上にやさしいオーラが出てくる日も、そう遠くないかもしれません。どうぞご期待ください。



≪大望館ブロック長≫ 
「ヤルときゃヤルぜ大望館!~Boys be happy and earnest~」

N.R(大望館 2年 :兵庫県姫路市)
 大望館新ブロック長になりました、N.Rです。さて、現在大望館は皆さんご存知の通り、大変大変にぎやかな館です。特に44回生のにぎやかな様は尋常じゃありません。例えば、友愛館での朝ごはん。どの館も多くの人が寝起きの元気のない顔でご飯を食べているのに、大望館44回生だけは元気。朝から寮長先生に怒られるほどです。
 さらに一時期、44回生は平日のランチも一緒に食べていました。通生もいる中で、僕らだけ異様なまでの盛り上がりを見せていました。先生に注意される事も多々あります。ブロック長として申し訳ないと思う反面、それはマイナスな事ばかりではないと思います。騒がしいというのも見方を変えれば元気だということ。にぎやかというのも仲が良くなければできないこと。 実際、大望館は他のどこの館にも負けず、元気で仲が良いです。僕自身そんな仲間たちと共に日々を過ごせることを幸せに思っています。そんな僕たちが考えた大望館新テーマは、「ヤルときゃヤルぜ大望館!~Boys be ばっぺるぴん~」です。
 今までは何も考えず騒ぎ散らしてきた大望館44回生も、世代交代をして館を引っ張っていく立場となりました。そうなってはいつまでもただ騒ぐだけではいけません。やるときはちゃんとやる。そうでない時には好きなだけ騒ぐ。そんなメリハリをつけられる学年、そしてそういう館にしていきたい、という願いをこのテーマに込めました。大望館がどういう成長を見せてくれるのか、どうぞ楽しみにしていてください。



≪めぐみ館ブロック長≫
「しあわせの五線譜
  ~奏でようめぐみのハーモニー 作ろうみんなの笑顔~」


Y.A(めぐみ館 2年 :神奈川県中郡大磯町)
 めぐみ館新ブロック長になりました、Y.Aです。私たちめぐみ館44回生は、ミーティングを重ね、話し合いの末、テーマを決定しました。めぐみ館の新テーマは「しあわせの五線譜~奏でようめぐみのハーモニー 作ろうみんなの笑顔~」です。これには絆、協力、みんな違ってみんないいなどの意味をもち、実にめぐみ館らしいテーマに仕上がったと思います。
 このテーマで一番大切なのは「奏でようめぐみのハーモニー」というフレーズです。「五線譜」はめぐみ館を表していて、たくさんの音符=めぐみのみんなが集まってハーモニーを奏でよう、めぐみ館つくろう、めぐみらしさを出していこうという意味が込められています。めぐみらしいハーモニーを奏でるためには、ひとりひとりを大切にし、お互いを認め合い、全員が1つとなって協力する必要があります。それができるめぐみ館にこれからもしていきたいです。
 また、めぐみ館には多くのルールがあります。しかし、そのルールをなんとなく守っているのでは意味がありません。だからと言ってルールに縛られ、物事に対して臨機応変に動けないのも違うと思います。なので、遊ぶ時は思う存分遊んでふざけていいけど、仕事やルールを守る時はしっかりとするという事をさらに追及していきたいです。
 もう1つ大事な事があります。それは最低限のマナーをしっかりと守る事です。まずは挨拶。一応ルールとして女子寮の人や先生方とすれちがったときは挨拶をする、となっていますが、知っている人に挨拶をするのは常識です。
 次に、「すみません、ありがとうございます」という御礼の言葉。これを何も考えず口先さけで言っているのでは全く意味がありません。御礼を言うときはちゃんと御礼の心を込めて言う。これも常識です。挨拶と御礼。この2つをぴしっとすることで、自然と生活態度も引き締まり、ルールもしっかりこなせるようになるのではないでしょうか。ルールはもちろんのこと、マナーがしっかりしている。そんなめぐみ館をつくっていきたいです。



のぞみ寮新運営委員長会 2012.10~2013.9
この10月より、各館の運営、ならびに「のぞみ寮」全体の運営を担ってきた3年生に代わり、2年生がその役を担うことになりました。各館で選出されたブロック長や各委員会の委員長で構成される「のぞみ寮」運営委員長会は、その1・2年生の代表組織です。




【各委員会の目標】

礼拝委員  ― フレッシュ
生活規律委員 ― CHANGE the World ~チェックは愛の証です~
食事委員  ― すべての食材と調理師さんに感謝して、いただきます!!
             ~残さず食べろ~
整美委員 ―  Clean with Heart
行事委員  ― 笑点~Enjoy, Happy and Smile~
リサイクル委員  ― 輝けゴミ箱!~ゴミ箱が輝けば、ぼくらも輝く~



【各館の目標】 

大 望 館 : ヤルときゃヤルぜ大望館!~Boys be ばっぺるぴん~
みぎわ館 : No Trust, No Family ~陽だまりに咲く姉妹(はな)~  
光 風 館 : Only One 光風 ~お金でかえない価値がある~
めぐみ館 : しあわせの五線譜
           ~奏でようめぐみのハーモニー 作ろうみんなの笑顔~




< スタッフから一言 >

 今年も早いものでもう10月の半ばになりました。寮では世代交代が行われ、新運営委員会の働きがいよいよ本格的にはじまりました。この1年間のぞみ寮を引っ張ってくれた43回生、さらにその上の先輩方がつくってきたのぞみ寮の土台の上に、新運営委員会がどんな新しいのぞみ寮をつくってくれるのか、今から楽しみです!
 不思議と、1年生が2年生に進級し、「先輩」と呼ばれるようになる時、2年生が最上級学年になる時、そして今回のように運営委員としての働きを担う時、それぞれ寮生は責任感からか、少し成長した頼もしい顔つきになります。
 のぞみ寮で生活するひとりひとりには個性があって、得意・不得意も違います。だからこそ、互いに補い合い、高め合い、支え合い、それぞれに与えられる働きは違います。ひとりひとりのタラント(能力)を活かすことのできるのぞみ寮をつくっていってほしいと思います!
光風館 三浦 啓

2012年9月21日金曜日

のぞみ通信 No.183(9月19日)

「結婚式」
寮長 信田 智
敬和のチャペルで、今まで約90組ほどの結婚式を司式させてもらった。そのうち30組ほどが敬和の卒業生の結婚式で、その中には私が担任をした生徒の結婚式もあります。敬和のチャペルでの結婚式だけではなく、帝国ホテルや、京都ホテルオークラ等の式場を借りて司式をさせてもらうこともあります。
 この夏、私のクラスの生徒であった女性が敬和のチャペルで結婚式を挙げました。お相手の方も同じ東京の方で、わざわざ新潟まで出てこられなくても、東京のどこかの会場を借りて、私が出向いて司式をすることも出来たのですが、お二人はあえて、敬和学園のチャペルで結婚式を挙げることを決断したのです。2年前のフェスティヴァルの時、初めて二人連れ立って敬和にこられ、親しく交わりの時を持ちました。
 敬和で過ごした3年間の生活が、どれほど素晴らしい経験であったか、折に触れ時に感じて話をする彼女の高校とは、一体どんな学校なのか自分の目で確かめてみたいということで一緒に尋ねてこられたのです。そして彼女の人生の原点が、この敬和学園にある事を感じ、二人の思いを確かめ、敬和のチャペルで結婚式を挙げたいとの決断に至ったのです。
  新婦の父親は、チャペルのOMホールにある、ゆかり会が寄贈してくださったステンドグラス(創世記1章の7日間にわたる天地創造のみ業を図案化したものです。―混沌の中に、神が「光あれ」と語られた、その希望の光が天地創造全体を貫いている図案です。)のデザインをしてくださった方で、4人のお子様を敬和学園に送ってくださった、敬和の教育のよき理解者です。

 その結婚式は実にスッキリとした、暖か味のあるものでした。出席者は新婦のご両親と兄弟関係。新郎の母親と、ごく親しい兄弟のように付き合っている友人数人。奏楽は新婦の敬和時代のクラスメート。お花は父親が、初めて薪を焚いて釜で焼いた備前焼の花瓶を用い、母親が花をいける。着付けとメイクは新郎の友人が担ってくれた。愛情と友情のこもった、手作り感のある結婚式でした。
 私自身、息子の結婚式を思い出しました。息子も私が司式をし、出席者は母親と兄。新婦の母親と兄夫婦だけでした。(たまたま、寮開放期間であったので、数名の先生達が参加してくださり、合宿中の声楽部が式の中でハレルヤの合唱をしてくださった。)どんなに少人数の式であっても、大人数の式であっても、私の準備と式場の準備にかけるエネルギーは変わらないのです。
 チャペルの内壁には、1回生から直近の卒業生まで全員の名前が、各回生クラスごとに銅版に刻印されています。敬和生にとって、チャペルは彼らの心のふるさとなのです。そのチャペルで、結婚という人生の新しい出発に際し、神の前に誓いをなし、誠実な決意をもって、新しい生活を始めてくれる事は、若い魂の教育に携わってきた者にとって大きな喜びです。




< 光風館 >

「部活三昧」 K.T(1年生:福島県南相馬市)
 僕の敬和での初めての夏休みは、部活漬けの夏休みでした。僕はサッカー部に入っており、夏に校内合宿、寮生合宿、田島合宿と3つのサッカー部の合宿がありました。その3つの合宿のうち、特に長く感じたのは田島合宿でした。
 田島合宿一日目は、新潟で午前中に練習試合をしてからバスで4時間くらいかけて福島県南会津にある吉本屋という民宿に行きました。民宿に着いた頃には、日が暮れていました。一年生の最初の仕事は、夕食の準備(吉本屋のおばちゃんの作ってくれたおかずやご飯、みそ汁を配る)でした。驚いたのは、ひとりひとりのおかずの量が予想以上に多く、ご飯の量も多くて、大きな炊飯器2、3個分のご飯が用意されていました。なぜかわからないけど、一年生がたくさん食べなければならないルールになっていて、一年生はその日の夜、食べ過ぎでみんな気持ち悪そうな顔をしていました。
 次の日の朝食は、夕食同様に量が多く、先に食べ終わった2、3年生は、民宿から10キロ離れたところにある練習場へ走っていきました。一年生は、ご飯の片付けを済ませてから練習場まで走って行って練習をしました。練習の帰りは、朝と同じく10キロコースを1時間以内で走って民宿まで帰らなければならなくて、1時間以内に帰って来られなかった人は、時間が1分オーバーする毎に坂道ダッシュの本数が1本増えていきました。
 4日間過ごして思ったことは、大事な大会を勝ち抜くため、強いチームと戦うためには、それなりの準備が必要だということです。しっかりと練習をして、チームのレベル、自分のレベルが上がったと分かれば、強いチームに自信をもって挑めると思います。




< 寮務教師から一言 >

 夏休みが明けて9月も後半に差し掛かりました。厳しい残暑が続き、「暑い、暑い、、、」と汗をかきながらも、エアコンに頼り過ぎることなく“どうしたら少しでも快適に過ごせるか”工夫を凝らす寮生たちは、たくましいです。心と身体を整えながら、それぞれ、進路や世代交代、修養会や部活動の大会へ向け、悩みと喜びをもって自分の時間を大切に使っています。後期の歩みが、一人一人にとって実り多き時となるよう、日常の一つ一つを大切に積み重ねて行きたいです。
女子寮 冨井 愛

2012年8月21日火曜日

のぞみ通信 No.182(8月21日)

< 再 生 >
                          寮長 信田 智

 敬和学園の横を海に向かって港湾道路が走っている。敬和の30周年記念事業と時を同じくして作られた道路である。一部森を切り開いて作られた道路であるためその斜面に植樹がなされている。歩道は幅2.5メートルもある、広々とした片側1車線のきれいな道路である。木々が成長するにつれて、道路わきの斜面や田んぼの境界線から木の枝が道路に覆い被さり、木の葉や土砂が堆積し、それが50cm以上歩道に侵入してくる。車道の縁石のところにはヨモギや、私の背丈もある月見草などが生え、狭いところでは歩道の幅が1.5メートルほどになるところもある。そして、木の枝と車道側に生い茂った雑草を結び蜘蛛の巣が張られてくる。
 その歩道を通って海辺の森に入っていく私の日課にとっては、蜘蛛の糸が顔や体にまとわりつき、何ともうっとうしい限りである。ところが、近年夏になると市の係りの方が歩道を覆う木の枝や、堆積した土砂、道路側の雑草を取り除き、こんなに幅の広い歩道、気持のいい道路であったのかと、見違えるようにきれいに再生してくださる。道路が荒れているときには、そこら中にごみが散乱してくる。ところが、道路がきれいになるとごみの量は驚くほど少なくなる。
 今年の夏、グラウンドに併設されているテニスコートが、あまりにもやせ細り、周囲(特に男子側のコート)には雑草がはびこってしまったので、補修工事がなされた。男子テニス顧問の土屋先生が補修されたコートに立って、こんなに広かったのかと感嘆の声をあげておられた。そう言えば、テニスコートが出来た頃、女子は県大会出場の常連校であったように記憶している。テニス部の再生を期待しよう。

 翻って、のぞみ寮はどうであろう。近年小西校長は、寮は敬和教育の生命線であると強調され、若い教師を寮で研修するプログラムも組まれている。寮教育が学園全体として評価されていることは嬉しい限りである。しかし、手放しで喜べない現状もある。特に男子寮は掃除が徹底できない。月一度大掃除をしていても、すぐに物が散乱し、中には足の踏み場もないほどになる部屋もある。部活をして疲れて帰って来てから始まる寮のプログラム、その中で汚れた衣服の洗濯、それらをこなしていかなければならない。
  中学を卒業したばかりで、家にいれば洗濯や掃除、食事の準備片付けも親がしてくれる事が多い中で、全て自分達の責任においてしなければならない。大変さは十分理解できる。それだけについつい甘くなって、男子の寮はこんなものだろうと思ってしまう。しかし、校内全体がきれいになっていく中で、また女子寮はきれいに整理整頓されている事を思うと、我々特に男子寮務教師は、腹を据えて寮内外の整理整頓に気を配っていかなければならない。
  生活の場の汚れは、心の荒れにつながってくる。男子寮がきれいに再生され、「自主・自立・自制・思いやり」の精神がしっかりと根付くように、自らを再生していきたい。




寮務教師主任 帆刈仰也
 夏休みの終わる今頃は、終わっていない宿題と名残惜しさで気持ちが沈んでいませんか?楽しかった日や快適なお家での暮らしから寮へ戻ることが辛いと感じている人、これからの学校生活に不安を感じている人、もっと別な理由があるかもしれません。しかし、秋から冬にかけてのこれからの時期は、寮も学校でも成長へ繋がる行事や考える機会が多くあるのです。
 生徒のみんなも、ご家族の皆様も、お体に気をつけて、後期のスタートが切れることを願いつつ待っています。そして、冬休みを目指して頑張りましょう!!


みぎわ館担任 森口みち子
 少しずつ日が短くなり、聴こえてくる蝉の声も心なしか静かになりつつあるように感じます。それでもまだまだ残暑が続く夏、いかがお過ごしでしょうか。
 8月26日は帰寮日です。みんなが帰ってくるのが待ち遠しくて仕方ありません!イベント盛りだくさんの後期前半、皆さんと一緒に過ごす毎日に、山のような感動と興奮が用意されていることを想像するだけで、今からすでにワクワクしています。
 この夏休み、家族に囲まれ、成長を認められ、愛情を心いっぱい感じて、後期に向けてのエネルギーをしっかり蓄えられた時間になっていることを喜びつつ、26日にみんなそろってスタートできること、後期を共に歩んで行けることを楽しみにしています!


大望館担任 澤野 恩
 夏は暑い!!久しぶりに大阪に帰省し、新潟に帰って来てもっと涼しいかと思いきや、暑さはあまり変わらない気がします。
 久しぶりの帰省でしたが、今年度を最後に両親が大阪を離れて妹夫婦のいる横浜に移ります。そのため、私の生まれ故郷への帰省は今回が最後となりました。これで最後になるのかと思うと、さすがに多くの想い出がこみ上げて来て、寂しくてなりませんでした。
 18歳で故郷を離れて20年。その頃の風景とはずいぶん変わってしまいましたが、変わっていない所もたくさんあります。卒業した小学校、中学校。友だちと遊んだ公園。毎日のように泳いだ川。飛び降りてけがをした塀。そのどれもが、たとえ帰らなくなったとはいえ、これからも私の記憶から離れることはないと思います。
 寮生は15歳で親元を離れます。高校を卒業して、進学し就職。もしかしたらもう実家で過ごすことはないのかもしれません。それでもやはり、私と同じようにこれまで育ったところが故郷です。その故郷でのひと時の時間を大事に過ごせたことかと思います。
 帰ってきた寮生に「実家はどうやった?」と聞いて、その答えの大半が、「暇で仕方なかった」「グータラ過ごしていた」だとか答えます。でもやっぱり、故郷は気持ちの休まるところです。
 卒業していく寮生は、のぞみ寮はもう一つの故郷。先生はもう一人の父親。そんな事を言ってくれ敬和を離れて行きます。この言葉は私たち寮のスタッフにとって、何よりの励みになります。
 もう一つの故郷にこれからもなり続けるよう、子どもたちとの時間を共に大事に過ごしていけたら幸いです。元気な顔で帰って来てくれることを待っています。


光風館担任 三浦 啓
 暑中お見舞い申し上げます。厳しい暑さの毎日ですがいかがお過ごしでしょうか。 私は前期の賑やかさがうそのように静まり返った光風館で今年の夏を過ごしました。早く光風館のみんなが帰って来て、また賑やかな生活をしたいなぁと心待ちにしています。 光風館生もそれぞれ実家に帰り、前期の疲れを癒し、後期に向けてのエネルギーを充填したことと思います。
 後期も光風館のみんなとのぞみ寮の教師と共に喜怒哀楽しながら、より良い寮生活、学校生活を送れるよう毎日の生活をしっかりと送っていこうと思います。これからも応援、お祈りください。


女子寮担任 冨井 愛
 暑い日が続きますが、元気に過ごしていますか?体調崩していませんか?  前期は、皆さんが喜んだり悩んだりしながら成長していく様子を側で感じることが出来、充実した日々となりました。みなさんがいない寮は、とても静かで、いつもならこんな光景があるのになぁと思い出しては寂しさを感じています。
 夏休みももう終わり!おおいに楽しんで、課題も終わらせて、家族のもとでたっぷり井エネルギーを蓄えて来てくださいね。それぞれの夏を過ごした皆さんとの後期の歩みを楽しみにして、皆さんの帰寮をお待ちしています!


めぐみ館担任 榎本 かな
 新潟の夏、残暑もそれなりに暑~い!!!ですが、亜熱帯地方の様な関西の夏を経験している私にとって、太夫浜の夏は、「何のこれしき!」と思ってしまいます。
 さてみなさんにとっての今年の夏は、変わらない夏、変わる夏、様々だったのではないでしょうか。
 いよいよ後期。44名ならではの織り成す模様をめぐみ館、寮生活でしっかりと花開くように願っています。
 3年生は進路の歩み終盤です。2年生は世代交代で寮の運営を任されます。そして1年生、チームワークの基礎がつくられます。
 これからの大きな成長の陰には、様々な葛藤や、試練に立ち向かう姿が日々あります。どうぞ、後期ものぞみ寮での生活が皆様に支えられる寮でありますように、感謝と共に改めて心よりお願い申し上げます。




< 寮務教師から一言 >

 45回生を迎えて5か月が過ぎようとしています。寮祭があり、フェスティヴァルがあり、夏休みがあり、わずかな期間ではありましたが色んなことがあったように思えてなりません。
 一年の折り返しがこれから始まります。これからだっていろんなことがあると思いますが、そのひと時を大事に過ごしたいです。また、東日本大震災から1年と6ヶ月が経とうとしていますが、未だ不自由な生活を余儀なくされている方々がいるということを忘れずに、与えられている毎日がいかに幸せか日々心に留めながら、子どもたちと歩んでいきたいと思います。
大望館担任 澤野 恩

2012年6月29日金曜日

のぞみ通信 No.181(6月20日)

< 雑巾がけ >
寮長 信田 智

 教室や廊下を雑巾がけすることはある。しかし、グラウンドを雑巾で拭くことはほとんどないだろう。ところが、敬和ではグラウンドを雑巾がけすることがしばしばあった。それはフェスティヴァルの時に見られる光景である。この時期は、梅雨時でありよく雨が降る。フェスティヴァル当日も朝方まで雨が降り、グラウンドは水浸し。とても外の競技が出来る状態ではない。今まで何度そんな経験をしてきたことであろう。
 そういう時は、早朝から寮生の有志が、バケツと雑巾を持ってグラウンドに集合し、グラウンドの雑巾がけを始める。そして、何とかフェスティヴァル開始までに外の競技が出来るようになる。始まってしまえば、後は多少雨が降ろうが、もう覚悟は出来ているからじたばたする事はない。雨天対策でプログラムの変更をしてフェスティヴァルは無事エンディングを迎えるのである。
 ある時、梅雨の真っ只中で、天気予報はフェスティヴァル当日も大雨の予報が出ていた。Tu先生が、「敬和には牧師が4人もいるのに、神様にお願いして雨がやむようにしてもらえないのか。」と言い出した。私は、今まで自分の都合で天気の事を神様にお祈りした事はほとんどなかった。なぜなら、私が晴れを願っても、雨を願っている人がいるかも知れないし、雨であれば雨の中から得られる恵みが多くあり、晴れれば晴れの中から得られる恵みもある。天気の事は、神様の御心のままに行われるのであるから、お任せするのが一番だと思っていたからである。
 しかし、私の神様がこけにされる事は許しがたいと思い、初めて、神様に天気の事で真剣になって祈った。前日まで激しく雨が降っていたが、当日の朝は曇り空であった。グラウンドに雑巾がけをして、フェスティヴァルが行われるまでに回復した。ところが、途中から気温が上がり、日が照り出して強烈な熱さに見舞われることになった。
 やがて、フェスティヴァルが終わって、例のTu先生が今度は、「こんなに熱くしてくれとは頼まなかったのに」と言い出した。旧約聖書の出エジプト記には、モーセに率いられてエジプトの奴隷から開放され、大喜びしていたイスラエル民族が、旅の途中で食糧の危機に直面したとき、「自由なんかいらなかった。エジプトの奴隷のままで、肉鍋を囲み、パンを腹いっぱい食べる事が出来た方が良かった。」と不平を言った故事を思い起こした。実に我々人間は、何千年経っても同じような事を考える生き物である。
 天候に関しても様々なドラマを経験しながら、感謝すべきことに私が敬和に来て以来35年間、雨でフェスティヴァルを中止した事はなかった。(ただ一度だけ、どしゃ降りのため、体育館の中で一部のプログラムだけを行った事があるが、中止にはならなかった。)今年も雨に見舞われながら、雑巾がけをしないで、恵みのうちに素晴らしいフェスティヴァルとなったことを感謝したい。




寮生リレー通信  (第 97 回)


【光風館】  
「フェスティヴァルを終えて」 福島県 喜多方市出身  1年 U.R

 自分がこの敬和学園に入学しようと思った理由の一つは、敬和のフェスティヴァルに参加したいという思いを持っていたからでした。敬和学園を知ったのも、知り合いの人のフェスティヴァルの写真を見せてもらったからです。実際に、連合が決まって活動が始まり、「絶対にやりたい!」と思っていたダンスをできることになったときは、すごくうれしかったです。フェスティヴァル本番までの期間、連合の先輩方とダンスの練習をする毎日がとても楽しくて、一日一日が自分にとってはフェスティヴァルのような感じでした。
 フェスティヴァルの一日目の演劇は、プロの劇団が演じているかのような内容で、すごく面白かったし、すごかったです。合唱はどの連合が上手いとかよくわからなかったけど、どの連合も迫力があってすごかったです。
 フェスティヴァルの二日目は、運動会みたいで競技をしている時も楽しかったし、二・三年生の競技を応援するのも楽しかったです。一番楽しみにしていたダンスも間違えることなく、楽しく踊れました。結果は残念だったけど、みんなと協力して踊ることのできたダンスはすごく達成感があって気持ちよかったです。
 校長先生が言っていた「フェスティヴァルはただの思い出作りじゃない」という言葉を聞いて、考えさせられました。来年の目標は、またダンスをして、今度は1位になることです。再来年の目標は、総合チーフになって、優勝することです。そのためにも、これからの毎日の学校生活、寮生活、部活などを一生懸命に取り組んでいこうと思います。



【みぎわ館】 
「フェスティヴァルを振り返って」 栃木県宇都宮市出身  3年 K.M

 私は今回のフェスティヴァルで、富士連合の総合チーフをさせて頂きました。フェスまでの2ヶ月、本当にいろんなことがあり、体一つでは足りない!と思うほど、忙しい毎日でした。総合チーフになった当初は、毎日何をしていいのか分からず焦っていました。しかし時間を重ね、仲間と協力していくうちに、冷静に忙しい毎日を送れるようになっていきました。それが出来るようになってから、放課後が待ち遠しくてたまりませんでした。最後の最後には自分が忙しいことに慣れてしまい、フェスティヴァルが終わった今、時間ってこんなにあったのか!と感動の連続です。時間をどれだけ有効に使えるか、いかに要領よく多くの物事をこなせるか、考えながら生活する事が出来るようになりました。フェスティヴァルまでの忙しかった毎日は、私の成長に繋がる練習のようなものであったと感じています。
 もちろん、連合活動は楽しいことばかりではありませんでした。自分の思い通りになるわけではなく、ぶつかり合う事も多々あり、それぞれのチーフも進みが悪い事に頭を抱えました。しかも1度や2度の話ではありません。1つ問題が解決しても次が控えていて、問題は絶えることはありませんでした。「そういうものなのか」と、広い心で受け止めないとやっていけない。そう思ったのです。今まで主観的に物事を見ていましたが、もっと客観的に物事を見てもいいのではないか?と考えさせられました。沢山のことを身につけ、多くの人の特性を知り、言いたいことは言う事、聞くことの大切さを学び、尚且つ楽しむ事を重視して、エンディングの時には「このメンバーでやってよかった」と思えました。それだけではありません。1年生が「富士連合っていいよね」と言っているのを聞きました。これこそが私たちにとっての、フェスティヴァルの正真正銘の成功だと思いました。
 あんなに2か月間もフェスティヴァルに追われて、早く終わって欲しいと言っていたのに今となっては、辛かったことも全ていい経験だったと思えます。まさにその中にいるときは苦に思っていても、後々振り返ってみれば全てが自分のためになっているということを、今回のフェスティヴァルを通して気付きました。
 2012年のフェスティヴァルで私は大きく4つのことを学びました。感謝・成長・成功・経験です。このことを忘れずにこれからの生活にも自分の将来にも生かしていけたらと思います。そして自分1人では何もなしえない事、だけど仲間や周りの人たちの協力や支えが成し遂げられる力になるという事を、今回体験することが出来、それを通してこの4つの事に気付く事ができました。連合の仲間たち、他連合の人たち、本部の方々、先生、両親、私の周りにいてくれる全ての人たち、多くの人への感謝なくして、今回のフェスティヴァルは語れません。みなさん、本当に大きなお支えをありがとうございます!




【大望館】
「フェスティヴァルを終えて」  神奈川県相模原市出身 3年 T.J 

 フェスティヴァルを終えて自分の弱さに改めて気が付かされました。フェスティヴァルは総合チーフだけが頑張っても成功させることはできません。 三年生全体が下級生を引っ張りそして一、二年生の協力があって初めて成功させることができます。
 最初弱さに気付いたと書きましたが、別に悪い意味の弱さではなく逆にいい意味での弱さだと考えています。フェスは自分一人の力では成功させることはできないし、つくりあげることもできません。だからみんなで協力し支え合いつくりあげていきます。もしひとりの力でそれが出来てしまうなら、それはもちろんすごい事ですがちょっとさみしいと思います。 一人じゃできないからみんなで頑張る事が出来る。協力して作り上げることができる。成功させた時に一緒に喜ぶことができる。弱さのおかげで、そういうことってできるんじゃないかと思います。そんなみんなで悩み、支え合い、喜び合うことの出来たフェスは、自分の中で凄くいい経験になったと思います。




【めぐみ館】
「フェスティヴァル本部に携われて」 新潟市東区出身  2年 S.Y

 私は、行事が嫌いです。昨年は、フェスティヴァルに全く関われなかった程です。しかし、今年は、せめて違う形で関わろうと、フェスティヴァルの裏方「フェスティヴァル本部」をすることを決めました。
 「フェスティヴァル本部」は、フェスティヴァルの企画運営をし、各部門チーフへの連絡、連合活動後の片付けや違反行為のチェック、その他の雑務などを本部員の方々と行います。総合していうならば、フェスティヴァルの土台作りと言えるでしょう。
 本部員をやるのは初めてで、分からないことだらけでした。私は、行動がゆっくりなので、先輩方や同級生、先生方にもたくさん迷惑をかけてしまいました。今までにないくらい忙しく、毎日が充実していました。新しい友達ができたり、本部Tシャツのデザインをさせてもらったりと、楽しいこともたくさんありましたが、反対にうまくいかずに嫌なこともありました。特に、リハーサルでは、本部員として上手く動けず、自分がなぜ本部員をやろうと思ったのか分からなくなって、悩んだり考えたりした日もありました。
 しかし、本番を迎えてみて、今まで本部員の方々とやってきたことが無駄ではなかったことと、これからに活かしていけることが分かって嬉しかったです。また、連合活動では経験できない裏側の苦労や、本部員に必要とされる「臨機応変」についても少し学べた気がします。今となっては、フェスティヴァル終了後の夜7時までやった後片付けも、不思議と楽しかったです。本部をやってよかったと思います。
 今年の春、退職された西村先生が「フェスティヴァル本部は良い経験になる」とおっしゃっていたことが良く理解できました。来年も、私はフェスティヴァル本部を絶対にやります!




「のぞみ寮物産展へのご献品感謝」
寮長 信田 智

 今年はPTA・同窓会のバザーがなくなり、ゆかり会と、のぞみ寮だけに縮小されました。場所も体育館が閉鎖され、外にテントを張り、露店での販売となりました。そのような中でも、多くの保護者の方々から沢山のご献品を頂き、にぎやかに物産展を催すことが出来まして感謝いたします。ご献品くださったうえに、送料までご負担いただき、まことに有難うございました。
 フェスティヴァル2日目。雨が降ったりやんだり、肌寒い1日でしたが物産展の会場は、グラウンドへの通り道で、多くの保護者の方々、卒業生、オープンスクールに来てくれた中学生達と触れ合う事の出来る、恵みの場となりました。おかげさまで売上の方も順調に伸び、約23万円ほどにもなりました。寮教育のために感謝して用いさせていただきます。重ねて御礼申し上げます。




< スタッフから一言 >

 アジサイの花がつぼみを付けて初夏の訪れを知らせてくれています。2012年度のフェスティヴァル、雨に見舞われながらも、無事に終えることが出来ました。のぞみ寮生それぞれに仲間と共に暮らしながら、お互い良きライバルとして日々、練習に切磋琢磨していました。友情を通して、それぞれに一段と大きく成長している姿がまぶしく映る今日この頃でございます。
 この様に寮生活が支えられていますのも、ご家族の皆様からの温かいご支援と、祈りに支えられていますこと、このフェスティヴァルが守られていたことを通して改めて痛感いたしました。スタッフ一同、心より感謝申し上げます。それでは前期の締めくくり7月に向けてより素晴らしい学園生活、寮生活が送れますように。
榎本かな(めぐみ館担任)

2012年5月25日金曜日

のぞみ通信 No.180(5月21日)

< マイナスをプラスに >

寮長 信田 智

 敬和に在職して34年間聖書の授業に携わってきた。宗教主任をしていた25年間、1学年160人・4クラス体制の時代は3年間全校生徒が、また1学年200人・5クラス体制になっても、1年生と3年生は全て、私の聖書の授業を受けることになっていた。寮長になってからは、2年生と3年生合わせて5クラスを担当していた。
 そして、今年度からは寮・校舎・体育館の耐震工事の準備に関わる事になり聖書の授業を持たなくなった。敬和における私の最後の授業は、3月6日6限白馬クラスのひとコマだけであった。この日は前々から、特別な思いを持って迎えるべく、最終講義と心の準備をしてきた。ところが当日になって、なぜか授業の事をすっかり忘れ、3時に業者と会う約束を入れてしまった。
 3時少し前、教務室から電話があり授業の事を知らされた。慌ててクラスに駆け込んで、お詫びをしながら、残り15分間ほどの授業を始めたとたん、今度は携帯電話が鳴り出してしまった。約束の業者からの連絡であった。敬和における記念すべき最後の授業が、最も無残な形で終わる事になった。 生徒達は、「先生これも記念すべき授業ですよ。」と声をかけてくれた。
 数日後、その事を聞いた白馬クラス担任の浅妻先生が、私に思いもかけない話をされた。「クラスの生徒にも諮り了解を得たので、終業日のロングホームルームの30分間、最後のやり残した授業をしませんか」と言う事でした。躊躇をしながらも、その申し出を有難く受けさせてもらい、最終講義を完結させることが出来、安堵と感謝の思いで一杯になった。
 そこで更に驚くべき事が起きた。クラスの生徒から感謝の言葉と共に、寄せ書きの色紙と大きな花束を頂いた。失敗を犯し、その恥を負い続けなければならない教師に、かくも温かい配慮をしてくれた事に対し、どのように感謝の気持ちを表わしたら良いのか、言葉も出ないほど嬉しかった。浅妻先生の計らいで、最後の授業で大失態を演じてしまった締め括りが、そのままスムーズに最終講義を終わった事より、はるかに大きな感動を持って締め括る事を許され、感謝に溢れた。
 振り返ってみると、普通に考えれば、どう見てもマイナスとしか思えない出来事の中に、その経験を通してしか知ることの出来ない、大きな恵が隠されていた事がしばしばあった。自分の失敗を正当化したり、ごまかす事をしてはならない。しかし、救いの道が備えられていることも事実である。失敗やマイナスのない人生はない。ならば、マイナスをプラスに変える経験を増やしたい。

 「神を愛する者たち、つまり、ご計画によって召された者たちには、万事が益となるように共に働くということを、わたしたちは知っています。」  (ローマ8:28)





『東日本大震災で感じた事』 ~寮祭礼拝でのお話より~

S.U(2年 福島県会津若松市出身)
 皆さんこんばんは。こうして皆さんの前でお話しさせていただけることに感謝します。
 今日は昨年の東日本大震災を通して私が経験したこと、そのとき感じた感謝についてお話ししたいと思います。
 2011年3月11日。中学校の卒業式でした。午後、友人達と校舎前で別れ、母と二人で自宅へ戻り、ゆっくり昼食を食べていました。そして、午後2時半過ぎに母は仕事へ出かけました。中学校3年間の思い出にひたりつつ、嬉しいような寂しいような不思議な気持ちで、机の上の卒業証書を取ってこようと立ち上がったその時に、何かがおかしいと感じました。揺れが大きいことに気がついた私は、とっさに猫を抱えて食卓の下に潜り込みました。いつものようにすぐ収まるだろうと考えていましたが、揺れはどんどん大きくなり、テレビの上の物がバラバラと落ちました。食器棚の上の小さなかき氷機も落ちました。やっと小さくなったかと思うと、またすぐに一際大きな揺れがきました。家のどこかからバキッと大きな音が聞こえ、私は一人だったこともあり、焦る気持ちが抑えきれず叫んでいました。すると祖母が階段を下りてきて、とにかく外に行こうと言ってくれたので、もがく猫を必死に抱えたまま外に出ました。頭上の電線は大縄のように揺れていて、これはただ事ではないと感じました。
 数分おきに大きな揺れが来て、どこかから大きな音が響いて、どうしようもなく玄関でたたずんでいました。すると先ほど出かけた母が引き返して帰ってくれたので、とりあえず家の中へ入りました。テレビをつけてみると、どの局も地震のことばかりで、私の地元は震度6弱でした。大袈裟かも知れませんが、結構な揺れで死ぬかと思いました。今になって、私なんかよりもっと怖い思いをした人が大勢いたんだと思うと、ものすごく恥ずかしい気持ちになります。
 夜のニュースでテレビからよく知っている場所が報じられて、私は「これは人ごとじゃない、自分の周りで起こっていることなんだ」と実感しました。同時に津波の映像や崩れた家が映し出されたり、どこかの浜に200~300人の遺体が流れ着いたと報道され、ゾッとしました。本当にこの世に起きていることなんだろうか、現実なのかと疑いたくなるほどでした。
 震災の翌日の12日は、中学のクラスメイトと私の家で遊ぶ予定でした。地震の後でみんなはソワソワしていたのですが、持ち寄ったお菓子など食べながら、いろんな事を話しできて、ホッと出来ました。2階で母はテレビを見ていました。福島原発が大きく映っていて、テロップで「福島原発放射能漏れの恐れあり」と映し出されていました。母は「なるべく家の中で遊んでいなさい」と言いました。夕方、みんなで写真を撮り、なごり惜しそうに別れ、みんなは帰っていきました。それから母の所へ行ってみると、「爆発しちゃった…」と母が茫然とテレビを見つめていました。それから私は1日中マスクをして過ごしました。
 私は放射能について幼いころから、教会や様々な活動、活動に携わる多くの人達に囲まれて、原発の危険性や放射能について学ぶ環境で育ちました。祖母に誘われて、チェルノブイリ原発事故の写真展を手伝いに行ったり、その事故後に何があったのかを描いたマンガを小学生の頃から読んだりしていたので、原発が絶対安全ではないこと、放射能の危険性について少しは知識がありました。テレビから流される原発の様子を見たときは、すごく悔しかったです。祖父母も母も、叔父や叔母も、みんなは原発に反対してきたからです。
 翌日13日に、叔父さんと叔母さんが家を訪ねてきて、私と弟だけでも三重県に避難しないかと話されました。家族4人で話し合いました。父と母は、「子供たちだけでも早く会津から避難してほしい」と言いました。しかし、小6の弟は、卒業式を間近に控え、なかなか首を縦に振ってくれませんでした。私は家族全員で避難したかったのですが、今の状況を考え、私一人先に避難しました。結局、弟は叔母に連れられて、私が到着した翌日には三重県に避難して来ました。
 避難先で私たちを受け入れてくれた叔父さんの、ポロっと口にした話が印象深く心に残っています。叔父さんの会社と他の幾つかの会社でイベントを企画していたのですが、この震災を覚えて今回のイベントは中止にしようと1つの会社が言いだしたそうです。叔父さんは「それは違うと思うんだけどなぁ…。こんな時だからこそ、やるべきだと思うんだけどね。」と呟いたのです。このとき私はその通りだと思いました。しかし、大変な状況にある人達が大勢いるのに、イベントをしていいのだろうか、その人たちの事を考えたらのん気にやってる場合じゃない、と考えることも間違いでないと思います。ただ私は感覚的に、「困っている人がいるから自分たちも楽しまない」というのは違うように感じました。でも私の中には、せっかくイベントを行える環境にいるのだから、素直に感謝してやればいいのにと思う自分と、なぜか強く言えない、ハッキリと答えられない自分がいました。この1年間ときどきそんな事を考えていました。
 先日、その答えらしきものを現代文の授業で見つけました。「情けは人のためならず」人にした情けは自分に返ってくるとか、人にした親切は巡りめぐってだれかに届くという意味らしいのです。私はそのときピンときました。何か似ていると思いませんか?イベントができる、楽しむことができる環境にあるという幸せは、巡りめぐって震災で大変な思いをしている誰かに届くと思いました。その誰かの笑顔が別の誰かに届けば、みんなはHappyになれるはずです。「情けは人のためならず」幸せが巡りめぐって自分の所に返ってくるまでに、一体どれだけの人が笑顔になっているのでしょう。そう考えてみると、ちょっと嬉しくなりました。だから、私は大変な人たちがいるから自分も楽しまないではなく、むしろみんなで楽しむことができる環境にあることに感謝して行うべきだと思うのです。
 自分の経験からもう1つ、みなさんにお伝えしたいことがあります。「知っている」という事についてです。本当にいざというときに、自分の身を守るのはそれまでの知識です。今回の場合、私は本当に恵まれていました。原発や放射能に関する知識は、幼い頃から周りの大人が教えてくれていたからです。 知っていること、学べる環境にあることはとっても幸せなことなんです。勉強だって大事なことだけど、それ以外にも大事なことがたくさんあります。いろんなことに興味を持ってください。今回は、原発という形でしたが、きっと知って損することなんて1つもないハズです。それがもし、自分のこれからを左右するときが来るとしたら…。何かを学べる機会があれば積極的に手を伸ばして、自分の中に取り入れて下さい。そして、その機会が与えられたことに感謝できる人でありたいと私は思います。





  寮生リレー通信  (第 96 回)


【 みぎわ館 】
『寮祭での出来事』  N.M(2年 福島県会津若松市)
 桜も散りはじめた4月の末、寮祭という寮の行事が行われました。寮祭のお楽しみ会で1年生が出し物をするのですが、私はダンスを考え、その振付を教える担当でした。
 春休み中に劇とダンスの雰囲気が合うように曲を選び、一分間ほどの振付をダンス係の友人と二人で考えました。とは言っても、私は埼玉県、友人は新潟県と離れているために、打合せは電話だけのやり取りでした。私たちは完成度の高いものにしたかったので、難しすぎず、簡単すぎないものを作るように努力しました。姉や母にも協力してもらって、ついにダンスが完成しました。
 春休み明けの4月3日、初めてとなる後輩が入寮してきました。緊張とワクワクで胸がいっぱいになったことを覚えています。そんな中で寮祭の練習が始まりました。劇の練習もあったので、ダンスの練習は約一週間前から行うことになりました。はじめは一週間という時間の短さで、この振付で本当に大丈夫なのかと心配になりました。しかし、周りの仲間が協力してくれたおかげで、不安がなくなり、「楽しいと思うような練習にする!!」という目標までできました。
 最初は緊張で固まっていた1年生の顔が、だんだん笑顔になっていきました。練習を積み重ねる中でダンス、劇ともに上達していき、発表の順番が一番だったにもかかわらず、無事に寮祭でみぎわ館の出し物は成功しました。  
 寮祭を終えて周りの人の協力、不安にも関わらず、練習についてきてくれた1年生への感謝の気持ちでいっぱいです。これから私は、部活、寮、学校で「先輩」としての責任と、いつも助け支えてくれる仲間への感謝の気持ちを忘れずに生活していきたいと思います。



【 大望館 】
  『寮で1ヶ月過ごしてみて』  H.S(1年生 福島県南会津郡)
 僕は1ヶ月半前、いろんな不安を抱きながらのぞみ寮へ来ました。僕の不安とは、敬和の合格が決まるまで洗濯なんかしたこともなかったし、ネクタイも結んだことがなかったことでした。入寮礼拝が終わった後に、大望館の1年生で集まった時、S君が話しかけてくれたことがとても嬉しく、緊張がほぐれました。ゲームは出来ないし、ケータイもダメな寮生活は、何をしていいのかと思いました。しかし、今ではいつでも話せる友だちがいるので、毎日が修学旅行のような気分で楽しく過ごしています。
 次に寮祭の感想を書きたいと思います。大望館の出し物で自分の特技を披露しなければならず、僕はトランプのマジックをやりました。ミスをする可能性が高く、緊張しながらステージに立ちました。本当にミスをするのが怖かったので、「ミスをしたらすいません」と言ってから出ましたが、成功することが出来て良かったです。大望館の他の人たちも、色んな特技を見せてくれて、僕は凄いなと感じました。その他に大望館はダンスを踊ったのですが、センターだったので恥かしかったです。
 他の館の出し物は、光風館が一番おもしろかったです。光風館は、色んな芸人のものまねをしていて面白かったです。めぐみ館とみぎわ館は、男子寮と全然ちがう劇だったので、また違う面白さがあって楽しかったです。これからも寮生活で楽しみを探しながら、僕は過ごしていきたいと思いました。




【 めぐみ館 】
  『GWを寮で過ごして』 K.T(3年 福井県小浜市)
 今年のGWは本当に毎日が充実した日々でした。毎日バスケの練習があり、部活三昧に追われ、寮でのイベントではBBQや映画鑑賞会があったりして楽しい毎日を送れました。部活では大会に向けての練習が厳しく、体の全体は、筋肉痛になるまでハードな練習が多く、まるで合宿をしているような感じだったけど、部活に集中することが出来ました。また、心と体を癒してくれるような寮でのイベントは多く、本当にゆっくり過ごせました。寮で残っている人でしか味わえないイベントの楽しみもあり、寮に残っているという感覚が無くなり、家に居る気分になれました。  寮で過ごしたGWは、毎日が楽しめる日々でいっぱいで「寮に残っていてよかった」と言う気持ちにさせられました。アッと言う間のGWだったけれど、私にとって今年のGWは最高に楽しめました。寮で過ごす事の出来るGWは今年が最後、今までで一番楽しむことが出来、充実した日々を過ごす事が出来ました。




【 光風館 】
『寮祭~責任者の苦労~』  K.K(2年生 新潟県村上市)
 事の発端は、四月上旬に行われた二年生ミーティングである。ミーティングの話は注意事項から数週間後に迫った寮祭の話になった。その内容は光風館の出し物の責任者を決めるというものだった。私は数秒躊躇したが、劇の方で私自身の経験を生かせたらいいなと思い、初めて責任のある役目を負う決心をした。
 私は主に脚本を担当したが、すぐに壁に当たってしまった。それは、一年生の人数が多くて配役が大変ということだった。この問題は仲間の協力もあり、無事解決したが、肝心の台本は、寮祭まであと一週間というところで試行錯誤の末ようやく完成した。一年生には一週間でセリフを覚えてもらわねばならなくなり、大変な迷惑をかけてしまったのは今でも申し訳なく思っている。
 しかし、一年生は日ごとにクオリティを高めていき、リハーサルでは大きな失敗も無く、それどころか「四館のうちで一番おもしろい!」と言っていただき、私は初めて自分のやったことが報われたと思い、目頭が熱くなった。そして、劇を作り上げた仲間たちと笑顔で握手を交わした。
 寮祭当日の本番は、笑いが絶えないほど最初から最後まで一年生の演技が面白く、私は一年生はもちろん、観客のみなさんにも今回の寮祭のテーマだった「ありがとう」という感謝の言葉と、ものすごい達成感の両方を感じながら笑顔で光風館の出し物を見ていた。
 色々な苦労があったが、劇を作り上げた二年生の仲間、そして一年生が協力してくれたおかげで、最高の出し物となって本当によかったと思う。心から「ありがとう」と言いたい。



< 編集後記 >
 GWが終わり、第一定期テストも終わると放課後のキャンパス内は、フェスティヴァル活動一色になりました。その活動の中心に立って指導している3年生を見てみると、寮生がほとんどのリーダーを担っています。寮祭での出し物を作り上げた経験が、フェスティヴァルでも活かされているようです。
 日頃当たりまであると思ってしまうことや、やってもらって当然という感覚になりがちな私たちではありますが、昨年の震災からの学びを通して、日々の生活を過ごせることに感謝しようという事から、今年の寮祭は「感謝」というテーマで行いました。
 寮生活を過ごすために、どれだけ多くの人達に支えられているのか、また、私たちができる事は、何なのかを考えてもらいました。その中からお世話になっている方々に寮祭へ参加していただきたいという事で、「感謝の招待状」を送りました。招待状を受け取った職員の方からは、喜びの声を頂くこともできました。
 感謝の気持ちを表すことだけではなく、謙虚さも合わせて指導していきたいと私は思いました。
のぞみ寮主任 帆刈 仰也

2012年5月23日水曜日

のぞみ通信 No.179(4月20日)

 「求めなさい」

寮長 信田 智
皆さんは今どんな思いでここにいますか。おそらく、皆不安で一杯だと思う。敬和が第一志望で、なんとしても敬和にきたかったという人もいれば、自分はこんなところに来る筈ではなかったと、失意の中にいる人もいるかも知れない。また、なんとなくここしか来る所がなかったという人もいるでしょう。皆OK! 実は、ここにはいろいろな人たちが集まっている。みんな別々で、いろいろあっていいのです。皆大切な一人ひとりなのです。なぜなら、皆神様に愛されてここに集められた一人ひとりだから。
 大概の人は、必ずと言っていいほど一度は挫折する。悩みのない人なんていない。悩みや挫折があるから成長できます。ここには、楽しい仲間がいる。自分の事を分ってくれる素敵な仲間が見つかる。行き詰まりや挫折を通して、本当の仲間が出来てくる。だから、挫折こそ寮生活の本当の出発点と言ってもいい。ゆっくり時間をかけて素晴らしい仲間を見つけていこう。

 テレビで、土曜日に,なんでも鑑定団と言うのをやっている。私は好きでよく見る。中には、何百万円もかけて手に入れたお宝が、鑑定団に鑑定してもらったとところ、何の価値もない偽物であったり、ガラクタであったりする。一方、数万円で手に入れた品物が、実は何百万円もするお宝であったり、中には建て替えのために壊した家からとてつもないお宝が出てきたりする。悲喜こもごも、とても面白い。

 昔聞いた話ですが、骨董品の鑑定をする力を養いたいと弟子入りした青年が、毎日家の中に飾ってある壷や、置物や、掛け軸が汚れないように手入れしたり、庭のガラクタの整理をさせられるばかりで、何年経っても少しも鑑定の仕方を教えてもらえない。彼は、こんな所にいても鑑定士にはなれないと思い、師匠に「自分はもう何年もここで働かせてもらっているが、何も教えてもらえないので、上達できません。辞めさせてください。」と言ったのです。すると師匠が、「そうか何も学べなかったか、お前が毎日当たり前のように見て、手に触れてきた、ここにある全ての物は、実は大変価値のある宝物だったのだ。だから粗末に扱わないようにと言ってきたはずだ」と言われたのです。

 毎日同じ事の繰り返し、息が詰まるような不自由な生活、こんな所にいても自分探しは出来ない。どこか別なところに行きたい。と思うようになる人も出てくる。しかし、のぞみ寮の何気ない生活、実はここに驚くべき宝がちりばめられています。どんなに素晴らしいものがあっても、自分で求めなければ与えられない。自分探し=自分が自分らしく、生き生きと生きる道を探す事です。

 「誰でも、求める者は与えられる。」なぜなら私が何十年も、信じて仕えて来た神様の約束は、真実だからです。
2012・4・3 45回生入寮礼拝より




< 45回生 代表挨拶 >

K.N(めぐみ館)
 私は、新潟市南区臼井中学校から来た、K.Nです。入寮礼拝という場で、こうして前に立って挨拶するのはとても緊張しますが、皆さんが温かくて優しいと伺っていますので、頑張ります。
 私が寮に入ろうと思ったのは、姉が寮生で、帰って来るたびに楽しそうに寮の事を話していたからです。
 最初は寮生活って辛くないの?一人部屋じゃないのは寂しくなくて良いと思うし、テレビも見なくていいけど、パソコン使えない事もあるって嫌だなあ、と思いました。
 洗濯しなくちゃいけないし、電話ダッシュなるものもあるらしいし、ずっと寝ていられないし、私には無理!やっていける気がしない!姉だから別に寮でも平気なんだろうと、思っていました。それに、家に帰って来て泣いたりしていて、そんなので楽しいの?と疑問に思っていました。
 でも、帰って来るたびに、「高校生活楽しんでます!」って感じで、「そんなんで楽しいの?」と言う私の問には「寮生活してみないと、わからないの!」とニヤニヤしてました。いつも楽しそうに話す姉を見て、そんなに楽しいのなら、私も入ってみたいと思うようになりました。その決断を伝えると、家族は勿論全員大賛成してくれました。姉には「今の生活だとすぐ泣くわ!」もう一人の姉には「顔洗う時間あるの?」、母には「掃除洗濯の大変さがわかるかな?」父には「ちょっとは早く寝るようになるかな?」と言われました。
 これからの寮生活では我がままな生活態度を直し、人の話しに耳を傾け、周りに迷惑を掛けないように気を付け、みんなに気を配れる思いやり行動をし、素直に謝ったり、ありがとうと感謝できるように、仲よく楽しく生活したいです。  両親は「敬和学園の寮生活、3年間は一生の宝になる」と言っています。先生方、先輩方、友だちとの繋がりを大切にし、大事に育てていきたいです。
2012・4・3 45回生入寮礼拝より






< 入寮によせて >

S.C様(大望館保護者)
  昨年3月11日に起こった東日本大震災、また震災に伴う原発事故で、日本中の人々が悲しみと不安と混沌とした日々を送ってきました。一年経ち、まだまだ多くの乗り越えなければならない問題が、被災地だけでなく、それぞれの場所で見えてきているのではないでしょうか。
 そのような中、新しく大きく一歩を踏み出そうとする45回生として、入寮を許されました子どもたちと共に、私たち保護者もまたこの場に集うことが出来ました。我が家から敬和学園にお世話になりますのは三人目です。この春に42回生として次男が卒業し、45回生として三男が入学します。また私も、31年前のこの日に14回生として入寮礼拝に臨んでいました。
 敬和の数ある行事の中で、一番しんみりとするのはこの入寮礼拝のように思います。私たち親にとってこの礼拝が終わり、子どもたちと別れて過ごす最初の夜、子どもたちは初めて味わう空気の中で、あのベッドの緑のカーテンをシャーっと引いた後の一人きりの空間。卒業をしました42回生の息子は、その最初の夜を爆睡できたようですが、31年前の私は「どうしよう。三年間は長過ぎる。やっぱり新潟は遠いし寮で暮らすなんて間違えたかもしれへん。」と不安な思いで過ごしたことを思い出します。
 最初の夜の思いはそれぞれですが、これから始まる三年間には、たくさんの楽しいこと嬉しいこと、同じくらいの苦しいこと辛いことがあるように思います。45回生のみなさんは、その一つ一つを喜んだり浮かれたり、また時には悲観的に感じながら、ここにいる仲間と乗り越えていくことになります。時間が経つと、先輩たちの厳しさの中にある温かい優しさにもきっと気が付くことが出来るでしょう。寮の先生方の愛情に触れることもたくさんあると思います。「もうアカン。嫌やなぁ。」と思った先に必ず希望があり、待っている仲間がいることを忘れないで下さい。素直な気持ちで、たくさんの経験を受け止めることが出来ることを祈っています。食事や寝る時間だけを見ても、今までの生活とはかなりの変化です。おまけに絶えず周りには、先輩も友だちも側にいて、心が休まらないと感じるかもしれません。 
 でも、その先輩や友だちが、寮の部屋が、家族になり、帰る家に変化していく自分に出会って下さい。そしてその感覚は、何十年たっても心の中にあたたかく残り、忘れられないものだということをみなさんも実感してください。  
 保護者のみなさま、私たちも子どもたちと同じように、心揺れることもあるかもしれません。でも、ここでの成長は三年間が必要だと信じて、色々なことがあっても、歩みがゆっくりとなっても、前に進んでいけるように覚悟と決意で子どもたちをサポートしていきましょう。
 また、信田先生はじめとする寮の先生方、まだ幼さの残る子どもたちですが、どうぞよろしくご指導お願いいたします。上級生のみなさん、45回生を寮生に育ててくださいね。よろしくお願いします。それぞれの子どもたちの敬和生活が実りあるものとなることを祈りつつ、簡単ではございますが保護者代表の挨拶とさせていただいきます。
 2012・4・3 45回生入寮礼拝より





寮生リレー通信  (第 96 回)


【 光風館 】
『スポーツ大会』     M.M(1年生:長野県安曇野市)
 寮に入って一週間と数日が経ちました。まだ少ししか時間は経っていませんが、寮の中ではもう行事が開催されました。それはスポーツ大会です。このスポーツ大会では“大縄跳び”と“手つなぎ鬼”をしました。ルールは簡単でした。のぞみ寮全体を4チームに分け、それぞれの種目で競っていきます。
 大縄跳びでは、チーム全体で息を合わせて何回飛べるかを競いました。長く飛んでいるチームもあれば、1回目でストップしてしまうチームもありました。
 手つなぎ鬼では、先輩方と先生方が鬼になって手つなぎ鬼をしました。捕まる人数が多くなってくると鬼が増えていきます。最終的にみんな逃げられなくなり、捕まりました。
 このスポーツ大会でのぞみ寮の先生方や先輩方、一年生の全員と共にただ縄跳びをして、鬼ごっこをして遊ぶ単純なスポーツ大会でしたが、全員が笑顔でいました。
 まだ友だちとの絆は強いものではありませんが、これからの高校生活でお互いの足りない部分を補い、壁を乗り越えていける、そんな絆を築き上げていきたいです。





【 みぎわ館 】
『スポーツ大会』      F.M(1年・新潟市西区)
 オリエンテーションキャンプから帰ってきた翌日・土曜日の夜に、のぞみ寮に入寮した1年生が全員参加してのスポーツ大会が行われ、大人数で大縄跳びと手つなぎ鬼をしました。大縄跳びはチーム戦となり、本番前に10分間の練習時間が与えられました。練習中緊張してしまい、同じ寮の人たちとばかり話をしていました。でも、みんなで協力して、声を出し一緒に数えたりしながら行う中で、私の前で跳んでいためぐみ館の人たちと話すチャンスを得、意気投合することが出来ました。10分間も大縄を跳びつづけ、息を切らしながらもおしゃべりをするのは結構大変で、相当疲れました。でも、最初のたった10分間で友達が出来ました。その喜びを思えば疲労なんてなんてことなく、ずっと笑顔でいることが出来ました。その日以来、その時仲良くなった人たちとは変わらず…というより、より一層仲良くなれています。
 今回のスポーツ大会で、私は色々なものを得ることが出来ました。挙げるときりがないほどですが、一番印象的だったのは「笑顔」です。みんなで協力しながら大縄を跳び、終った後には「お疲れ~。」「大変だったね~。」と笑顔で知らない者同士が仲良くなり声を掛けあえたり、鬼ごっこで「待て~。逃げるな~!」と、みんな生き生きとした笑顔で走り周ったりしました。そして、そんな輪の中にいた私は、輪の中にいるだけで自然と笑顔になれました。
 でも私は寮に来てから毎日が笑顔の連続です。みんなとの素敵な関わりの中で、もっと素敵な笑顔に出会い、もっと素敵な笑顔になれるように、日々成長していきたいと思っています。





【 めぐみ館 】
   「1年生を迎えて」    Y.Y(2年生:埼玉県飯能市)
 入寮礼拝前日の夜、同室の先輩と私は、どんな子が入って来るのか、ちゃんとルールを上手く伝えられるのか心配していました。特に、電話ダッシュというめぐみ館の中の変わった仕事について、早く覚えてもらうために、分かりやすくどう説明したらいいかと、完全消灯近くまで話していました。
そして入寮当日。この日、2・3年生は始業礼拝もあったのですが、2年生は朝食後に、入寮礼拝の会場準備をしてから学校へと行きました。そしてクラス替えをして寮へ帰ってきたら、既に1年生が何人か外にいて、2年生の緊張は高まりました。時間が来て「もうすぐ1年生が来ます」との放送が流れ、2・3年生は玄関へ出て行き、来るのを楽しみに待ちました。すると、誰かが「来た~!!」と叫び、新1年生は次々にやって来ました。それからは荷物の運搬で廊下は人でいっぱいになり、ひとだんらくしたと思えば、ルールを一つ一つ教えていきました。やっぱり教えるのはすっごく大変で疲れました。
 1番大変なのは、電話ダッシュです。はじめは2年生がお手本を見せます。2日目は説明書きしたものを渡して様子を見ます。そしてオリキャン後、2階の人だけで1・2年ミーティングを開いて、詳しく+少しきつめに教えました。が、次の日、変わらなかったので再度2度目の2階の人だけのミーティングを開きました。それでも、あまり変化が出てこなく、教えるのは大変で体力、神経、を使うものだとつくづく思いました。また、正直なところ、面倒に思われてイライラをぶつけそうにもなったりした時もあります。でも、去年や、今までの先輩たちの誰しもが通ってきた道なのだと思い、ガンバッテ行こうと思うようにいしています。1年生も覚える速さは違うけれども、頑張います。
 1年前、自分も入寮したての時は同じように何度も注意されていました。とても懐かしく思います。2年生になって、1週間が経ち、思った以上に疲れて大変でした。これからもまだまだ大変なことがあると思いますが、頑張っていきます!!!





【 大望館 】
『45回生を迎えて』     S.T(3年生:神奈川県足柄上郡)
 2012年度をスタートして半月が過ぎました。大望館も45回生を18人迎えて総勢44名の大所帯となり、賑やかな毎日となって来ました。入寮してくるときに、緊張した顔をしていた1年生もだんだん寮の雰囲気に慣れてきていて、やっといつもの日々になってきています。
 始めのうちはルールという今までには経験したことのない日々に追われる1年生。これから社会に出ていく時に一番大事になってくるあいさつや礼儀、また一生付きまとう上下関係をこの高校1年生という時期に体に染み込ませるのです。また寮という場所は大勢が集団で生活をする場所なので、もちろん他の人に対しての「気遣い」「心遣い」「思いやり」がとても大切になります。自分一人で生活しているのとは違うので、自分勝手な行動は取れないし、好きな時間に好きな事を出来るわけでもありません。でもそういう経験を乗り越えて成長していくのです。
 また2年生は、わからないことばかりの1年生に対して指導をする立場になり、昨年の自分をも思い出す機会となっています。 あと1年しかない敬和生活、全てが最後になる3年生。敬和での集大成をしっかりとしていかなければいけません。
 1人1人が新たな気持ちを持って生活を初めた2012年度の敬和生活、これからの1年間、それぞれがしっかりと歩んで行きたいです。





< 編集後記 >
 キャンパス内の桜もやさしいかわいい花を咲かせています。澄んだ空に、暖かい日差し、心地いい風…、太夫浜の地にもようやく春が来たことを実感します。
 2012年度は73名もの45回生を迎えられ、また新しく3名もの寮教職員と共にスタートできます事を感謝いたします。
 入寮礼拝以来、1年生も2年生も3年生も、それぞれが忙しい日々を送っています。大きな決断と勇気を持ってやって来た1年生たちも、ようやくペースをつかみ始め、慣れない事だらけだった寮生活も日常となりつつあるように感じます。初めて先輩となった2年生たちは、1年生と出会ったその瞬間から顔つきが凛々しくなり、日を増すごとに頼もしく逞しく急成長しています。3年はさすがの貫録を見せてくれています。引きすぎず出過ぎず、後輩たちに寄り添い導く様は「カッコいい!」がピッタリきます。
 「心を学ぶ場」であるのぞみ寮で、こんな寮生たちと一緒に教職員も喜怒哀楽を共にしながら、刺激し合いながら成長していきたいと思います。 今年度ものぞみ寮教育へのご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。
みぎわ館担任 森口みち子

2012年2月27日月曜日

のぞみ通信 No.177(2月14日)

神の選び
                        寮長 信田 智
 
1月に2012年度第45回生の、一次前期入学試験が行われた。多くの受験生が与えられ、一人ひとり長い時間をかけて、慎重に審議し、特待・推薦・専願合わせて179人が選ばれ合格を許された。敬和学園の入試は、他の学校と大分違うように思う。中学校3年間ほとんど学校に行けていない生徒。中には小学校の時からいわゆる不登校で、小学校・中学校とほとんど学校に行っていない生徒が、選ばれて入学してくるのです。そうかと思えば、評定がオール5、あるいはそれに近い生徒も入学してきます。そして皆同じように大切にされていきます。
 
 不思議な学校だと思いませんか。なぜ、それだけ幅の広い生徒を受け入れて成り立つのでしょう。実は、皆さんの中にも、中学時代不登校で学校にいけなかった人達も何人かいると思います。それでも敬和でちゃんと生活しています。中には中学3年間不登校であっても、敬和の3年間は皆勤なんていう人もいました。それは、敬和学園自体が不思議な形で選ばれた学園だからです。
そもそもキリスト教を与えられたイスラエル民族は、神様から選ばれる資格のようなものは、何もなかったのです。旧約聖書申命記7:6一8には、「あなたは、あなたの神、主の聖なる民である。・・主があなた達を選ばれたのは、あなた達が他のどの民より数か多かったからではない。あなた達はどの民よりも貧弱であった。・・ただ主の愛のゆえに・・エジプトの奴隷の家から救い出されたのである」と、神の民イスラエル民族が選ばれた理由が記されている。
 
 敬和学園も、お金が沢山あったから出来た学校ではない。有力な財界人がいたからとか、立派な先生が沢山いたから出来た学校でもない。お金も無い、人もいない、この世的な有力者がいたからでも無い。ただ神様の愛によって、何も無いところから、必要なものが一つ一つ与えられて出来た学園なのです。しかも、あえて不便な不自由な場所を選んで建てられた学園です。
神様の選びの基準は、私達の選びの基準とは全く違うのです。私たちは、よりよいものを探して選び、自分にとってより価値のあるものを選びます。しかし、神様の選びは、無学な者、無力な者、この世の中で無きに等しい者、取るに足りない者、見捨てられた者をあえて選び、ご自分の聖なる宝の民とされるのです。(コリント一1:27-28)
 
 私自身も、その神様の選びを受けて今ここにあるのです。だから私は何も誇る事が出来ない、あるのはただ感謝のみです。そして、わたしの様な者を、あえてお選びくださった主の前に謙虚になって、主に選ばれた者として、どのようにお応えして生きたら良いのかと考えていくのです。
 
 敬和では、誰一人自分を誇る事が出来る者はいないし、誰一人自分を卑下する事も無い。すべての人が、主の前に謙虚になって、それぞれの果たすべき義務と責任を誠実に果たすだけなのです。
 
 
 
 
寮生リレー通信  (第 94 回)
 
< みぎわ館 >
 

「みぎわ館3年生を送るにあたって」   
T.M.(1年生:神奈川県川崎市)
2011年4月5日、私は44回生として敬和学園のぞみ寮に入寮しました。入寮してからは慣れないルールや言葉遣いに戸惑い、毎日が自分の事で精一杯で、3年生を見送る日が来るなんて考えもつきませんでした。こんなにも早く42回生との別れが来るのなら、もっとたくさん関わっていたら…と後悔しています。
3年生との思い出はたくさんあります。例えば、サプライズで作ってくださった、初めてのムーンライトケーキ。これは世界に二つとない、部屋ごとに個性あふれた素敵なケーキです。私が初めて体験したムーンライトは、生クリームとシナモンで出来たとてもシンプルな物でした。そのケーキを取り分けて食べるのではなく、つつきあって食べると言うのには驚きました。ちょっとした日常でさえ、42回生との日々は思い出で溢れています。書ききれないほど溢れています。
42回生との思い出がありすぎて、みぎわ館での3年生を送る会では、1年生からの出し物がなかなか決まらず頭を悩ましました。年明けすぐに始めたミーティングでしたが、出し物はどんなものにするのか、どんな歌を歌うのか、歌詞はどうするのか…などたくさん話し合いました。お世話になった事へのお礼と出会えたこと、42回生のおかげで出来るようになった様々な事への感謝を短い時間の中でも出来るだけたくさん伝えたくて、ミーティングを重ねる毎日でした。
3年生を送る会当日、私はF.E.さんと一緒に1年生を代表して開会のあいさつをさせてもらいました。挨拶の文もなかなか私の心にピッタリくるような表現が出来ず、何回も書き直しました。大変でしたがその甲斐あって、42回生への想いを私達ならではの言葉で伝えられたのではないかと思います。1年生の出し物も元気いっぱいに歌を贈り、メッセージを伝え、ありがとうを心から口にすることが出来ました。
入寮当時はとっても恐かった先輩。でも、いつも私たちの事を気にかけてくださり、心配して下さり、励ましてくださり…語りつくせない大好きな先輩です。42回生のおかげで、今こうして44回生は前に進めているのではないかと思います。42回生から教えてもらったものを、今度は私たちが後輩へ伝えていきたい、そんな風に考えられるようにもなりました。
42回生の皆さん、素晴らしい時間をありがとうございました。これから、私たちは一緒に過ごせた時間を励みに頑張っていきたいと思います!
 
 
 

< 大望館 > 
「鍋三昧」         
S.Y.(2年生:新潟県燕市)
2月2日、友愛館はいつもより早めに賑わっていた。この日は2年生しかいないタイミングで毎年恒例の、鍋パーティがあった日だった。
いつものように調理師さんが作って出す、という形ではなく、コンロをテーブルに置いて館の仲間と一緒に作るというものだった。自分たち大望館のテーブルでは、やはりというか、流石というか、澤野先生が鍋奉行となり、どこかのイラストに使われていそうな綺麗に具材が整列した鍋を作っていた。全ての野菜を食べ尽くし、ご飯を入れて雑煮にし、全員の腹が膨れた後。大望館生だけには第2ラウンドが待っていた。
大望館の2年生だけで何かを食べたりする行事をやりたいという話が前々からあったのだが、すき焼きをすることが決まった日は鍋パーティと被るという。しかし「カブるけどどうする?」「まぁ食えるでしょ」というノリで、そのまますき焼き実施が決定。友愛館から帰ってきてすぐに大掃除を終わらせ、さてすき焼きを作ろうとなった時…、冷蔵庫を開けると、そこに鎮座していたのは……塩ちゃんこ鍋のダシ×3、鶏の胸肉・もも肉×2パックずつ、豚バラ×3パック、もやしお徳用などなど……。肝心の牛肉は何故か1パックだけ。しかし卵はちゃんと一人2個換算の20個。何を作る気なのか分からないこの食材群を見て、ブロック長のTは一言。「緊急ミーティングだ、買ってきた奴呼べ!」
ラウンジに集められた2年生全員。その中で中央に座らせられた男が二人。「まず聞きたいんだけど、肉買って来たのどっち?」手を挙げるI君。「ちゃんこダシ買ってきたのは?」頭を下げるK君。話を聞くと、I君はすき焼きだと思っていたらしいが、K君の「え、鍋でしょ?」発言で混乱したとのこと。「何で卵だけちゃんとあるの?」という問いには「いや、Kが『卵、鍋に普通に入れるじゃん』って言った」とI。「K、弁解は?」「いや、俺の頭がどうかしてたんだよ。すいませんでしたぁぁあ!」ミーティングと言いつつ、只のツッコミ合戦を10分ほどした後、全員で塩ちゃんこをおいしく食べた。
 
 
 
 
< めぐみ館 > 
「6兆分の1」
S.S.(2年生:東京都東村山市)
 3年生が自宅学習期間に入り、1年生は2泊3日のスキー教室に行き、寮に居るのは私達2年生だけになりました。その間に私達は鍋パーティーをしたり、楽しいことを沢山しました。そして「セクシャリティー教育」の時間もありました。そのお話をしてくれたのは男子寮・大望館の澤野先生です。
 澤野先生のお話はとても分かりやすかったです。はじめに澤野先生は、生まれて未だ40日しか経っていない澤野先生のお宅の赤ちゃんを連れて来て下さって、私達に紹介してくれました。その赤ちゃんはMちゃんと言って、何人かは抱っこもさせてもらいました。赤ちゃんはとても小さく可愛かったです。子どもが生まれてどれだけ愛おしいものかという話を、私達に聞かせてくださいました。
 その話を踏まえて、人工中絶に付いてのお話がありました。人工中絶は法律では認められているけれど、やはり、1つの命をなくすというのは残酷なことだと話を聞いて感じました。そして、澤野先生の話の中で、私達は6兆分の1の確率で生まれてきたという話を知り感動しました。
 私はまさに奇跡と言う言葉がぴったりだと思いました。1つの命が生まれると言う事は、凄く大きくて、また重いことなんだということを改めて感じる事が出来ました。
 今回、私達が学んだことは、これから私達が生きていく上でとても大切なことでした。
 
 
 
 
< 光風館 > 
「スキー教室に行って」
M.R.(1年生:新潟市江南区)
 スキー教室に行ってきました。僕は冬休み中、スノーボードに行った時に派手に転倒してしまい、鎖骨を骨折し全治4ヶ月と診断されました。ドクターストップもかかっていたし、内心僕自身もスキー教室へは行けないなと思っていました。なぜなら、骨折した後、家族に病院に連れて行ってもらったり、寮では友だちに制服を着せてもらったりして自分のことも満足にできなかったからです。
しかし、スキー教室は今年度最後の泊まりの行事なので行きたい気持ちもありました。親や先生に相談した結果、やはり敬和生活で1度しかないスキー教室に行かないで悔いを残すのは良くないと感じ、スキー教室に行く事に決めました。
 悩みながら参加したスキー教室でしたが、スキー教室に参加して良かったことがあります。それは今までの敬和生活の中で関わりのない他クラスの人と交流が増えたことです。スキー教室中に「どうやったらターンが上手にできるのか」など、そういう話しをしているうちに、今まで関わりのなかった人ともよく話すようになり、今では会う度に言葉を交わすようになりました。それは苦手な人がいる人にも言えると思います。一度話してみないとわからないと思います。人はみかけで判断してはいけないということを学びました。
 また、スキー教室中、僕はスキーウェアを着る時、友だちに手伝ってもらいました。友だちのサポートがあったおかげで、今回のスキー教室を楽しめました。周りの友だちに助けてもらったことで、人は一人では生きていけないということにも気付かされました。人は互いに助け合い、支え合っていかないと生きていけません。スキー教室で学んだ事をこれからの寮生活や学校生活で活かしていきたいと思います。
 

 
 
 
 3年生が自宅学習期間に入り、2週間が経ちました。1・2年生だけの生活も、始めは静かすぎる館内に驚いたりもしましたが、今では少ない人数ながらにぎやかさを取り戻し、のぞみ寮らしく生活をしています。
 毎年、3年生がいなくなると館運営に不安を持っていた私ですが、今年はそんな不安を全く感じていません。それは、3年生たちが「のぞみ寮は心を学ぶ場なのだ」と考え、動き、伝え続けてくれた事が、後輩たちにもしっかり受け継がれていることを、傍にいて感じ取れているからだと思います。3年生たちが築き上げてくれたよき伝統はしっかりと活かしながら、より生活のしやすい場、心の育つ場を目指して、私達寮スタッフも1・2年生と共に歩んでいきたいと思います。
 そして、3年生と一緒に過ごせる時間はあと2泊3日だけとなっています。別れに寂しさもありますが、3年間の彼らの成長を称え、それぞれが夢に向かって歩み始める事を共に喜ぶ時間にしたいと思います。…3年生の帰寮が待ち遠しいです!
みぎわ館担任 森口 みち子

2012年1月30日月曜日

のぞみ通信 No.176(1月24日)

黒き雲の上に青空あり                    
寮長 信田 智
 
昨今、東京は記録的な乾燥注意報が出されていると聞く。
しかし新潟の空は雪雲に覆われ、日照時間が極めて少ない。地球規模でも、地震・津波・台風・原発事故・干ばつ・豪雨・熱暑・寒波と地球環境が大きく変動しているのを感じる。昨年の3・11東日本大震災は、わたし達の生活のあり方を、大きく考え直さなければならない出来事となった。
 いろいろな事情で昨年7名の寮生が寮を去っていった。大切なお子様をお預りし、寮担任を中心にスタッフ一同、精一杯関わってきたつもりであったが、なお力及ばなかった。本人の事、親御さんのことを思うと、1月の新潟の空と同じように、わたしの心はなかなか晴れない。
 
 さて、皆さんは宗教をどのように思っているだろうか。宗教は弱い人間の神頼み、困った時の神頼みに過ぎないと思っていないだろうか。それはそれで一理あるかも知れない。しかし、聖書で信仰の父と言われたアブラハムという人物は、神の語りかけを聞いたとき、家族、財産、生命の危険を省みず、行き先を知らずに神の示す地に出て行った。見える形で私たちを守ってくれる安住の地にいるのではなく、神のチャレンジに自分の人生を賭けたのです。
敬和学園初代校長太田先生も、日本聖書神学校で次期校長になり、牧師養成という大事な働きがあったにもかかわらず、影も形も無い、出来るか出来ないかさえ分らない、キリスト教学校の設立のために全てを投げ打って新潟に出てこられたのです。その他多くのクリスチャン達、また私たち自身にしても、信仰はまさに命がけの大冒険だったのではないでしょうか。望み得ないときになお、望みて信じ、神様の約束に自分の人生を賭けたのです。
 
 被災地の復興は未だ遅々としてはかどらない。今なお多くの方々が、その苦しみの中に身を置いて闘っておられる。原発事故においては、人間の傲慢と過信により、どれだけ多くの方々が、これから先なお何十年と苦しまなければならないかを思うと、先の見えない暗黒の中で不安が募ってくる。
今私たちを取り巻く現実は、様々なところで暗澹たる状況になっている。信仰があってもなくてもその現実は変わらない。しかし、その現実の中でどのように生きるかは、人それぞれによって違う。黒き雲の上には、今も燦然と輝く太陽があり、そこには青空が広がっている。心を高く上げ、そこに目を留め、希望を持って前進したい。
 
 
 
 
寮生リレー通信  (第 93 回) 

【 光風館 】
 
「レベルアップに繋がった寮クリスマス」
I.H.(1年生:新潟県三条市)
 僕たち1年生にのぞみ寮クリスマスの飾り付けの話がきた時、僕も含め「面倒くさい」と感じた人の方が多かったと思います。1回目の話し合いが行われた時、僕は正直「だるい」という気持ちが心の中にありました。1回目の話し合いは、僕が見る限りですが、積極的に意見を言う人もいれば、話し合いにあまり参加しない人もいたし、寝ている人もいて、「最初はこんなものかな」と思いましたが、みんなの気持ちはバラバラだと感じました。しかし、2回目、3回目と話し合いを重ねていくうちに、みんなが話し合いにきちんと参加するようになり、光風館の1年生で作る物も決まりました。それは、“雷門”と“東京ドーム”になりました。そこから、光風館の1年生を2チームに分けて、飾り付けの準備が始まりました。みんなふざける事もあったけど、自分のやるべき仕事をきちんとやっていて、作業もスムーズに進みました。作業を通して、普段あまり話しをしない人とも話す事ができたりして、自然とコミュニケーションを取る事も増え、みんなで楽しく作業ができました。多少の問題もみんなの力を合わせて乗り越えることが出来ました。この事から、やっぱりみんなで協力した方が楽しいし、助け合うということが大事だという事ことも再確認することができました。そして、飾りを完成させることができました。
 
 寮クリスマスの前日に、友愛館に飾りを持っていき、光風館の場所に飾りつけをしました。他の館はどこもとてもレベルが高くて驚きました。やっぱり女子寮はとても完成度が高く、凄いと感じました。しかし、僕は見た目も確かに大切だと思うけど、本当に大切なのは一生懸命になって飾り付けに取り組む姿勢だと思いました。確かに僕たちの飾り付けはズバ抜けて凄い作品ではなかったけど、完成に至るまでの時間、みんなで楽しく準備したり、時には真剣に取り組んだりと一生懸命にできたと思います。僕たちは、ほんの少しだけどレベルアップ出来たと思います。そして、これから行われる行事のひとつひとつに真剣に取り組んで、また少しずつレベルアップしていきたいです。初めての寮クリスマスはとても楽しい思い出ができました。
 
 
 
【 大望館 】
 
「寮クリスマスを思い返して」     
H.S.(1年生:新潟県燕市)
去る12月10日、僕は初めて寮クリスマスを経験しました。御馳走を食べたり、各館の団結力を試すゲームをしてみんなで盛り上がれる楽しい行事でした。しかし、楽しいだけではなくきっちりと「礼拝」もしました。今回はその事をお話しさせてもらいます。
 礼拝は学校のチャペルで行われました。夜にチャペルで礼拝をすることはなかなか無いので、毎朝のチャペルとは違った雰囲気で不思議でした。進行はいつもの礼拝と同じでしたが、讃美歌を歌うことが好きな人の集まりである「のぞみコール」という集まりが聖歌隊として讃美歌を歌っていました。僕も参加させてもらったのですが、とても良いハーモニーで心地よかったです。
 
 一番印象に残ったのがゲストの方のお話です。その方は東日本大震災が起きてからずっと継続的にボランティアを続けていられる方で、こんな事を言っていました。
「メディア等で大震災の事を報道しなくなっても、被災地はまだ大きい傷跡を残し、支援を必要としている」と。
僕は男子声楽部シュビドゥヴァーズに所属しており、冬休みには被災地である宮城県の七ヶ浜町にて被災支援労作に参加させてもらいました。数か所に渡り訪問して演奏等させてもらいましたが、そこで出会った人々や、現地の様子は隠しきれない傷跡を抱えているようでした。現地のボランティアセンターでは、途方も無い量の作業に対して「コツコツやるしかない」とも言っていました。僕はほんの3日間お手伝いをしただけですが、とても大変でした。そんな仕事をずっと続けられる人は、本当にすごいです。
 この礼拝で感じた事と僕が被災地で感じた事をしっかり覚えていたいと思います。
 
 
 
【 めぐみ館 】  
 
「寮クリスマスを終えて・・・」
Y.R.(2年生:新潟市中央区)
12月10日にのぞみ寮でクリスマス会が行われました。寮クリスマスでは、館対抗で行事委員が考えてくれたゲームをしました。ゲームは、イントロクイズ、○×クイズ、パズルを作るゲームがありました。これらのゲームは、すべて4つの館が対抗して行われました。その中で、私が一番楽しかったゲームは、パズルを作るゲームです。これは、最後に行われ、前のゲームでの総合点数で、順位によって色が分けられピースの数決められていました。私たちめぐみ館は1位で通過し、ピースの数が一番少なかったからか、最初に完成することができました。のぞみ寮のテーマである「One piece」という4つに分けられたパズルがそれぞれ体育館全面にごちゃまぜにされて数百個用意されたダミーの中から4つのピースを探し出し完成させるものです。これは、みんなで協力したから、すぐに終わったように感じました。1人で探したら、手に負えないほどの量だったとおもいます。景品は、大きな箱から小さな箱が4つ用意されていて、私たちは一番大きな箱をめぐみ館全員で選びました。中身は、ティッシュとノートで、他の館はすべて飲食物でした。大きくて重ければいいとは限らないと痛感しました。また、協力と言うのは大切でチームワークや、信頼が必要だなと思いました。
 
 
 
【 みぎわ館 】
 
「敬和!ありがとう!」    
K.S.(3年生:茨城県下妻市)
 私が敬和に入学してから、もう3年が経とうとしています。本当にあっという間でした。いろいろな事がありました。1年生の頃は敬和が嫌で、口癖は「死にたい」「家に帰りたい」でした。よく泣いていて、学校でも寮でもあまり人に心を開くことが出来ずに過ごしていました。
2年生になり、学校に行くことが嫌になり、よく授業を休んだりして毎日先生に怒られ、それに反抗していた日々。今では考えられない事ですが、2年生の秋までは敬和に背を向け、「嫌いだ!」と思い続けていました。
そして3年生になり、卒業を間近に控えた今、私は敬和がとても大好きになっています。みんなに心を開かずに殻に閉じこもっていた私にも、ここではみんながそばに居続けてくれました。支え続けてくれました。私の事を考えてくれていました。とても幸せだと思います。
 
 真っ赤なスウェットを着続けていたおかしかった日々、部屋替えの時に目が腫れるまで泣いたあの日、みんなで花火を見た夜、いたずらをして喜んだ日々、42回生のミーティングでみんなで泣きながら語り合った日々、私と何人の人がケンカをし仲直りをしてどれだけ心の結びつきを強めてきたことか…。思い出すときりがありません。全てが幸せな思い出です。
こんなに素敵な記憶がたくさんあるのは敬和に入学して、のぞみ寮に入寮して、ここでみんなと出会えたからです。私の敬和ライフはたくさんの人に愛され、最高の物になりました。あまり勉強は得意になれませんでしたが、私の心はここでとても成長したと思えます。敬和での出会いは一生モノです。普通ではありえない出会いがいっぱいです。今、私は敬和にいられて、みんなに巡り会えて幸せです。そして、みぎわのみんなに向ける私の愛は無限大です。3年間、本当にありがとう。
 
 
 
 
【 スタッフから一言 】
 
 2012年がスタートし、もう早1ヶ月が経とうとしています。3年生の修了が目前に迫り、学年問わず、残りの時間を大切に有意義に過ごそうとしている様子が見られます。各館で始まった3年生によるラストメッセージ。どの寮生も、自分や家族や友達などと徐々に向き合えるようになった事、苦しい事を泣きながらでも乗り越えてきた事、そこから周りの支えや愛情を知り、自分らしく歩めるようになった事を実感しています。のぞみ寮生の大きな大きな心の成長をはっきりと確認でき、幸せこの上ありません。保護者の方々には、お子様の大切な3年間をのぞみ寮に託して下さり、信頼し、支え続けてくださっている事、本当に感謝申し上げます。
 2012年も、みんなが元気で大きく成長していくことを祈りながら、寮スタッフ一丸となって寮教育に取り組んでいきたいと思います。本年も、どうぞよろしくお願いいたします。
みぎわ館担任:森口みち子