2014年6月26日木曜日

のぞみ通信 No.201(2014年6月26日)

寮生パワー
寮長 信田 智
先日、朝祷会(キリスト教の教派を超えた有志の集まりで、様々な問題のために、それぞれの地域で祈りを結集し、支援をしている集まり)の全国大会が敬和学園を会場に行われた。高校では小西校長の記念講演が行われ、夜には寮生との親睦夕食会が持たれた。
 敬和学園の設立のためにも、朝祷会の熱き祈りと支援が注がれてきたことを思い、校長自らその敬和学園が今どのような教育を行っているかを、熱く語ってくださった。また、寮での夕食親睦会は、寮生にとっても初めてのバイキング形式の夕食となり、お腹も心も満たされた。調理師さんたちのご努力と、温かいご配慮を感謝しています。寮生も多くの方々のご支援に感謝を表すために、心を込めたおもてなしをさせていただいた。
 その中で、有志による讃美歌と、寮生全員による合唱を2曲披露させていただいた。その1曲は、ヘンデルのメサイアから「ハレルヤコーラス」でした。入学間もない1年生には、少し荷が重いかとも思いましたが、数日にわたり2,3年生が各館で夕礼拝後5分ほど指導し、本番では万全の仕上がりを見せてくれた。朝祷会の方たちは感激し、「暗い時代の中で、ここに希望がある。」と力強くご挨拶いただきました。
 一人一人を見れば、問題を抱えている子供たちもいっぱいいる。それぞれの館が抱えている問題もたくさんある。我々寮務教師の未熟さもある。しかし、それらすべてを乗り越えて、主がご自身の栄光を表そうとして、敬和学園とのぞみ寮を用いていてくださることを信じて、これからも主の御業のために励んでいきたいと願っている。それにつけても、寮生のパワーを目の前にして、私自身圧倒される思いにさせられた。たまたま教育実習に来ていた卒寮生たちも、自分たちの時代とは、また一味違うパワーを見せつけられて、感激し涙を禁じえなかったと感想を聞かせてくれた。
 今、めぐみ館の耐震・改修工事行われている。生活の場をぐるりと工事用の足場が取り囲み、騒音と埃の中で窓も自由にあけられず、玄関も圧迫され、ホールも閉鎖された状態の中で不平の一つも言わず、粛々と日常生活をこなしている寮生・そこに住む寮務教師たちは大したものだと感心させられる。自分たちの知恵や努力によって変えられることには、しっかりと取り組み、自分たちの努力ではどうにもならないことに関しては、黙して受け止める潔さを身に付けてきてくれていると思う。
 彼らのその思いをしっかりと受け止め、工事に最善を尽くしてもらっている。だから、きっと夏休み明け、めぐみ館生が戻って来た時には、不自由をして耐えた甲斐あった、と言って喜んでもらえるようなめぐみ館に変身していることでしょう。
 フェスティヴァルでの寮生のパフォーマンスも見事であった。様々な葛藤を通して大きく成長する機会でもあった。夏休み前、3年生はもうすぐ進路を決める大切な第2定期テストが迫っている。心して取り組み、それぞれのために備えられている道へ、正しく導かれるように祈る。


寮生リレー通信  (第 114 回)

< みぎわ館 >  
「朝祷会の方々をお迎えして」
O.A(2年:大阪府豊中市)
 先日、朝祷会の全国大会が敬和で開かれ、多くの方々が敬和にいらっしゃいました。その日の夕食はバイキングとなり、朝祷会の皆さんと、のぞみ寮の生徒とテーブルを囲みました。その時、キリスト教について、敬和について、こののぞみ寮について、沢山お話する事ができました。その日の礼拝では、同室の先輩のお話でした。そのお話を聞いて、私は改めてのぞみ寮は、スゴイと思いました。多分、人生の中でこんなにもたくさんの人と共同生活をする機会はないでしょう。その中で、たった3年間とても濃い関係を作る事ができるのは本当に珍しく、敬和でしか、のぞみ寮でしか出来ない事だと実感しました。
 最後にのぞみ寮生全員でcosmosとハレルヤを歌った時、全員が大きな口をあけ、楽しそうに、誇らしげに歌う姿を見て、その皆と歌っている自分が誇らしくなりました。高校生になって、このように全員が歌ったりできるのは、やはりすごいです。このような皆と出会えたのは、敬和のおかげであり、いらっしゃった朝祷会の皆さんの祈りのお蔭だと思います。それを実感出来たステキな機会でした。
 
 

< 大望館 >
「2ヶ月を振り返って」
N.T(1年:新潟県胎内市)
 大望館に入寮してから2ヶ月が経ちましたが、それに伴い最近感じることがあります。それは、親のありがたみです。寮では洗濯や身の回りの整理整頓、食当での片付けなど自分のことは自分でやらなければいけません。寮に来るまでは洗濯や食器洗いなどは親に任せきりでした。全く手伝いをしなかったわけではないのですが、頼まれたらやる程度でした。入寮したての頃は、洗濯物をため込みすぎて風呂に入る時に友達からバスタオルを借りたり、干すのに時間がかかり消灯時間を過ぎても洗濯物を干すという日もありました。食当では何をどうすればいいかわからず、先輩や先生などから怒られてしまうことがあり、親のありがたみをひしひしと感じています。
 なので、今度家に帰った時は家事などを積極的に手伝ったり、ありがとうという気持ちを素直に伝えていきたいと思いました。他にも、先輩への挨拶はもちろん、同級生にも朝あった時には「おはよう」と笑顔で挨拶をしたりして、もっと1年生との仲を深めて良い学年にしたいです。


< めぐみ館 >
「フェスティバルで得たもの」
F.A(3年:岐阜県飛騨市)
 私は、今年度のフェスティバル本部長でした。本部長をしたことは、私に色んなことを経験するチャンスを与え、すごくたくさんのものを得させてくれました。そして、まわりのみんなの優しさを感じることが多くありました。話を聴いてくれる人や、気遣いの言葉をかけてくれる人、相談にのってくれる人、夜遅くまで一緒に起きてすべきことを手伝ってくれる人・・・たくさんの人の優しさに触れました。周りにいる人たちに、私はすごく助けられていました。こんなステキな人たちと出会えてうれしかったです。
 これから卒業まで、あと少しの時間しか残されていません。ステキな人たちと、もっともっと仲良くなりたいし、少しでも私がみんなから受けた優しさを、返していけたらいいなと思います。



< 光風館 >
「フェスティバルを終えて」
A.T(3年:新潟県新潟市)
 突然ですがみなさんは、良いリーダーになるための条件とは何と考えるでしょうか。それは能力、人望、人間性でしょうか。今回、私はフェスティバルで大雪連合男子総合チーフという、連合でリーダー的存在である重要な役割を担う事になりました。正直私にはリーダー経験が浅く、率先して何かに取り組むなんて事は不得意であり、こんな自分で総合チーフなんて務まるのかなと考えていた時、「リーダーになるための条件」ってなんだろうと疑問に思ったのです。私はどちらかというと何かに向かって頑張ったりする事が不得意でした。総合チーフという役割を担う前は何も考えず適当に生活してきた自分に課せられた課題。自分にとってとても高い壁であり、乗り越えなければいけない試練であると同時に、自分が成長できる好機だと思いました。この好機を逃したら絶対に成長出来ないと確信した私は、一所懸命にこの課題に向き合いました。
 そこでまず生じる問題がありました、それは今までの生活態度を無理にでも見直し、改善する必要があるということでした。人は知らず知らずに安定を求める生き物であり、その安定した事柄を大きく崩す、あるいは崩される事に対して敏感であり、安定から不安定になる事により、心身ともに負担になるものです。なぜならかつての私がそうであったからです。それを承知した上で、自らを変えるということは、不安、恐怖という感情と、次々と自分に降りかかってくる困難に立ち向かう勇気が必要でした。正直なところ、その頃の自分にはそもそも勇気なんて無いし、むしろ今までの生活態度がどれだけダメだったのかを実感した時は、自己嫌悪に陥るぐらいの状態になりました。大雪クラスではたくさんの問題を抱えていたのにも関わらず、解決出来ずにいた自分に自信を無くし、その頃の私は自分自身に絶望を感じていました。
 そんな時、私が変われるきっかけを与えてくれたのが佐藤文英先生でした。本格的にフェスティバル準備が始まろうとしていた頃、私は先生とお話をする機会がありました。(…といっても自分が相談に乗ってほしいとお忙しい中無理を言ったのですが。)そこで私は先生に今の自分の心境や、良い総合チーフになるにはどうしたらいいのか、自分の思っている事をすべて話しました。その時、先生が私に言ってくれた言葉に私は救われました。それは「お前のやりたいようにやればいいんだよ。なるようにしかならないのだから。」この一言が私の心に響き、今まで良い総合チーフにならなければならないという使命感や、見失っていた事がこの先生の一言によって、今まで高い壁にぶち当たり悩み苦しんでいた自分が全く嘘のように思えるようになりました。正直なところ、先生の言葉で私の心に変化が起きたのかはまだ分かりません。ただ、この先生が私に言ってくれた事を私はずっと求めていたのかもしれません。私に勇気を与えてくれた先生には本当に感謝しています。
 そして、私はフェスティバル準備期間を終え、胸を張ってフェスティバル本番に臨む事が出来ました。そこまで達することが出来たのは、先生だけではありません、クラスメイトのみんなや、仲の良い友人、週末に帰ると快く迎えてくれる両親。本当に数々の人々に支えられたからこそ、ここまでくる事が出来たのだと心から思いました。良いリーダーの条件、それは私には分かりません。わかるには経験が浅すぎるからです。それはこれからの人生でゆっくりと考えていきたいと思います。まずは、今回の色々な経験を生かして残りの敬和生活、悔いのないように生活していきたいと思いました。
 
 

< みぎわ館 >
 「信仰告白(ペンテコステ)」
Y.M(3年:新潟県新潟市)
 私がキリスト教に初めて出会ったのは、幼稚園の時です。私は新潟教会のすぐ近くの二葉幼稚園に通っていました。毎日、ご飯の前にお祈りをしたり、賛美歌を歌ったり、クリスマスにはイエス様の誕生物語の劇をしました。私は天使役で、マリアにお告げをする役だったのを覚えています。
 小さかった頃は近くにあったキリスト教でしたが、小学校・中学校と進学するにつれて、その存在は私の中から徐々に薄れていきました。中学3年生の頃、学校にもあまり行かず、通学に悩んでいた時に、知人の紹介で勧められたのが、今私が通っている敬和学園です。当時の私は自分の未来に希望を持つことが出来ず、ただ流されるままに、敬和学園に入学しました。
 そんな私を変えてくれたのは、大切な友人達との出会いです。友人の一人は、私が辛く苦しんでいる事があると、「Mの事を祈っているからね。」と、言ってくれました。私は、最初「祈ってる」とは、どの様な事かよくわかりませんでした。しかし、彼女が私の事を思ってくれていること、またその事による彼女からの愛を感じる事ができました。それ以来、時々耳にする「祈り」という言葉に私は何故か引きつけられるような気がしました。敬和での生活を過ごしていくにつれ、私には段々と「祈り」という言葉の意味がわかってきたように感じます。それは、誰かを想う気持ちを神様の御心に委ねる、という事だと思います。それは愛があってこそできる事で、色々な場面でそれを感じる時、私は愛されているんだな、守られているんだなと思うことが出来ました。私のために祈ってくれた友人の様に、私も大切な人の為に、祈る事ができる人になりたいです。
 敬和学園のぞみ寮では毎年4月の末に寮祭が行われます。私は礼拝委員として、寮祭で行われる礼拝の話し合いを何度も重ねました。最初はスムーズに進んでいた話し合いが、献金先を決める時にとても、もめてしまいました。礼拝委員は個々の思いにより、献金を捧げたい所があり、のぞみ寮の先生方はのぞみ寮として献金先にしたい所がありました。お互いの主張をし続ける平行線な争いでした。こんなにもめるのであれば、寮祭の礼拝を止めてしまおうという声さえ上がって来ました。このような最悪な状況の中、礼拝委員の一人が「献金って言うのは、人がどこどこにしたいなんて、偉そうに決められるものじゃないと思う。誰のためにって言う気持ちを神さまが献金を必要としている人たちに与えるんだと思う」と言いました。私はその言葉を聞いて、私の心の中にあった憤りは消え、安らかで前向きな気持ちになれる事ができました。私は彼の言った、神様が与えて下さる、というところがとてもしっくりと来ました。私達の「どこどこに献金したい!」という主張は、少し自分達の立場を見誤っていたのかも知れません。神様に委ねて、お祈りをすればどの様な結果になったとしても、それが最善だと思うことが出来るのだと思います。
 「御心のままに」という事に関して、私は自分の悩むべき事や苦しみを神様に委ねてしまって良いのかと、考えていました。しかし、逆に「御心のままに」と祈る事で、神様が私を誰かのためにと仕えさせてくださるのだと思いました。私は与えてもらっているだけではなく、神さまの御心によって、誰かの為に仕える事ができるのだと気付きとても嬉しく思いました。
 洗礼を受けようと思ったきっかけの一つに、とある聖書箇所との出会いがありました。
それはマタイによる福音書22章20節の最後の部分です。
「私は世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる」という箇所です。
 私はこの聖書箇所から、イエス様からの大きな大きな愛を感じました。私の勝手な解釈ですが、「この世の終わり」というところは「永遠」を指すのではないかと思います。
イエス様がずっといつまでも、たとえ自分が死んだとしても、いつもそばにいて下さるという事を信じる事ができるなら、今まで抱いていた恐れや不安を、希望や生きる糧とする事ができるのではないかと思います。
 キリスト教の小さく弱い人にこそ目を向け、誰をも愛する精神は私にとってまだ難しい事ですが、今日という日をこれからの人生の新たな一歩として踏み出し、人の為に祈り、神様によって仕え、愛にあふれた人になりたいと思います。

※  今年の寮祭の献金は100,827円でした。あしなが育英会に献金させていただきました。
ご協力ありがとうございました。



寮務教師から一言
 フェスティバル直前に梅雨入りし、当日天気を気にしながらも今年度のフェスティバルを無事終えることが出来ました。準備期間中、寮生ひとり一人が与えられている役割を一生懸命こなしていく姿を見ることが出来ました。時には泣き、焦り、友人とぶつかることもありましたが、当日見せる表情は輝いて、心から楽しんでいるようでした。この経験からまたひとつ成長することが出来たのではないでしょうか。
 今年度初めての部屋替えが各館で行われました。3年生は自分の進路を考え、自分自身と向き合ってほしいと願っています。1・2年生は、夏休み前の第二定期テストに向けて、学習体制を整えてほしいと願っています。
 7月末には保護者を対象とした個人懇談は寮でも行われます。遠方の方やご都合が合わない方は、電話での懇談も受け付けますので、ご都合のよろしい日時をお知らせください。
片岡 自由(光風館担任)