「いちばん大切なことは、目に見えない。」(『星の王子さま』サン=テグジュペリ)
「わたしたちは見えるものではなく、見えないものに目を注ぎます。見えるものは過ぎ去りますが、見えないものは永遠に存続するからです。」(コリント信徒への手紙Ⅱ4章18節)
サン=テグジュペリも、パウロも同じようなことを言っています。思いやり、愛、友情、平和、信仰、希望……。これらは目には見えない。でも、人が生きるうえで最も大切なものだと言っていい。
このことが分っているなら、私たち教師はもれなく生徒の内側にある目には見えない何かを見なければならない。少なくとも見ようとしなければならないのです。私は、生徒の内側に在る宝のようなものを見つけたとき、なんとも言えない嬉しさと同時に、畏れを感じる時があります。「私はこの生徒には到底及ばない。にもかかわらず、この生徒の教師でなければならない」という畏れです。私には遥かに及ばない賜物を有する生徒に出会うこと。教育の現場で生きる教師にしか許されない出会いを経験することは、教師にとっての大きな喜びです。
しかし、この喜びを実感するためには、一人の生徒に対して深い関心を持ち続けなればなりません。ぼーっとしていては気がつかない。生徒が発する様々な言葉や態度等から、時間をかけて少しずつ気づかせてもらえるような質のものだと思っています。生徒が有する珠玉のような宝を、地の中に隠し持つのではなく、自分のために、また他者のために育て生かしてほしい。その賜物を引き出すのが教師の仕事だと思うのです。
「教育」という意味の英語“education”は、元はラテン語で「外に導き出す」という意味だと、母校での教育実習のオリエンテーションで、当時の校長先生から教えられました。例えば、聖書に登場する「良きサマリア人」(イエスの例話の中の人物)は、生来あのような行動ができる優しい人だったのだろうと想像します。でも、この「良きサマリア人」のありえないほどの「優しさ」を認め、褒めて、励ました教師のような人間がいたに違いない。でなければ、あのような献身ができるだろうか?と思うのです。
寮クリスマスを週末に控え、「受けるよりは与える方が幸い」とイエスご自身がパウロに教えたように、本当に大切なことを教え、生徒の声をよく聴き、生徒の内在する可能性を引き出すことのできる教師に少しでも近づきたい。
今、寮生と共にアドベントを幸せのうちに過ごしています。皆様、良いクリスマスをお過ごし下さい。
♢世代交代♢ 〜各委員会の年間テーマ〜
引き継ぎ式
「ORIGINAL」
礼拝委員長 U.S(光風館2年・神奈川県)
礼拝委員会の年間テーマは「ORIGINAL」です。
突然ですが、皆さんは「礼拝」をどのように捉えているでしょうか。“落ち着ける時間”“心が温まる時間”等いろいろあると思います。しかし、ここにいるほとんどの人が少なくとも1回は面倒くさいと感じたことがあるのではないでしょうか。私も例外ではありません。「礼拝」が存在しなくても寮としては成り立ちますし、「礼拝」のない寮生活をしている知り合いもいます。ですが、キリスト教教育の敬和学園ののぞみ寮で積極的に触れ合ってほしいと思うのです。
これらのことを踏まえて、どのような礼拝にしていきたいか、礼拝委員で話し合いました。様々な思いを共有しましたが、礼拝委員の共通の思いは「良い礼拝にしたい」でした。礼拝のお話が回ってきたから仕方なく書く。礼拝の時間になったから仕方なく行く。このような心境にさせたくない。「礼拝に出席したい」と思えるような礼拝にしたいと、私たちは考えています。
皆さんは、礼拝のお話で本当に思っていることを他の人に伝えられているでしょうか?そして仲間が礼拝のお話を通して伝えたいことに耳を傾けられているでしょうか。これも「礼拝をより良いものにする」ために必要なことの一つだと思います。牧師先生のような立派なお話はできなくてもよい、本当に感じたこと、伝えたいことを礼拝の場でぶつけてほしいのです。「ORIGINAL」でよいのです。「ORIGINAL(オリジナル)」の「O」には、先輩、後輩関係なくみんなで手をとりあって輪になり、礼拝を守るという思いを込めました。
ポスターのデザインについてです。「Google」は世界的企業の一つともいえます。私たちも世界的にイケてる礼拝を作っていこうという思いがあります。「ORIGINAL」の文字には、礼拝委員もそれぞれ「オリジナル」なのだという思いを込めて、一文字を一人で担当して書き上げました。
「わたしたちの神をほめ歌うのはいかに喜ばしく神への賛美はいかに美しく快いことか。(詩編147章1節)」これは、バビロン捕囚が終わった頃に、ある詩人がエルサレム神殿の再建を見ながら、詠ったものです。ただ再建されるというだけでなく、罪によって破壊されたものが再建される。罪によって散り散りになった同胞が神のもとに帰ってくる。まさしく、バビロン捕囚の終わりは罪が贖われた救いの現れた時でした。神の救いに包まれ、喜び満たされていた詩人は、こんな素晴らしいことはないと、時を貫く神の御業に思いを馳せながら詠うのでした。私たちは罪深い人間です。しかし、神様は、その罪に関係なく私たちを救ってくださいます。そんな神様を賛美するのはいかに美しく、快いことなのでしょうか。
礼拝中、説教者のマイク音を調整
「感謝・楽しい・味わう ~笑顔は食事から~」
食事委員長 Y.K(めぐみ館2年・新潟県)
皆さんにとって食事とはどのような時間でしょうか?マイナスのイメージよりプラスなイメージの時間と思う方が多いと思います。当たり前のように来る食事の時間、当たり前のように準備されている食事。しかし、私たちが当たり前だと思っていても違う人から見たら恵まれていて、お腹いっぱい食べたくても食べられないと思っているかもしれません。そうです。私たちは恵まれています。いつも温かいご飯を食べることができ、友達と共に食べることができています。あらためて考えるととても幸せなことです。だからこそ、食事の時間を大切にしてほしいのです。
食事委員会のテーマは「感謝・楽しい・味わう~笑顔は食事から~」です。ポスターには、笑顔の男の子と女の子を書きました。感謝しているから楽しそうな笑顔になることを表現しました。周りには、ぽかぽかしているように暖かい色で丸を書きました。そこからは幸せが伝ってくるようにしました。男の子と女の子は少し幼いです。おいしいご飯をたくさん食べて成長できるよう意味を込めています。
テーマの「感謝」は、野菜やお米などを育てている農家さんに感謝、動物の命に感謝、調理してくださる方に感謝、私たちのために頑張ってくださる方に感謝、すべてのことに感謝するという意味です。「楽しい」……友達と共に食べることで楽しさを感じ、楽しければさらにご飯がおいしくなります。そして『味わう』……食べるときはよく噛みましょう。味わっているときの幸せは一秒でも長いほうがいいです。
最後に幸せと言ったら「笑顔」です。素敵な笑顔は周りまで幸せにしてくれます。真顔でご飯を食べている方は「おいしい」と感じたら笑顔になってみましょう!
クリスマスのお菓子を袋詰め
「その日の汚れは、その日のうちに」
整美委員長 M.D(光風館2年・滋賀県)
みなさんは、今の寮で快適に過ごすことができていますか。少しでも快適に過ごせるようにと整美委員でテーマを考えてきたので発表します。“その日の汚れはその日のうちに”です。
このテーマには、言葉の通り、その日の汚れをその日のうちに綺麗にしてほしいということ。そして、その日のうちに綺麗にすることで、気持ちをリセットしてほしいという意味があります。
私たち整美委員は、ひとりひとりが綺麗な寮にしていく意識を持つために、全員が率先して掃除をする必要があると考えました。そのために、寮生には、身の回りの汚れを綺麗にする習慣をつけてほしいと考えています。誰かにやらされるのではなく、自分から掃除をして全員が快適に過ごせる寮をつくっていきたいと思っています。今の寮の設備への不満を聞いたことがありますが、不満を漏らすだけではなく、自分自信を見つめ直して、寮での生活が過ごしやすくなるように、自分たちで工夫することをしてほしいです。
その日のうちに綺麗にすることで気持ちをリセットするということは、掃除を通じて気持ちを落ち着かせて、切り替えるという工夫の一つです。「掃除なんかで気持ちが落ち着くことなんてない」と思った人もいるかもしれません。でも、みなさんは発狂しながら掃除をしている人を見たことがありますか。そんな人なんて見たことないと思います。それぐらい掃除するとき人は、集中しています。そして、気持ちを落ち着かせることもできるのではないでしょうか。騙されたと思って、みなさんも一度試してみてください。そうすれば、少しずつ掃除が習慣づき、掃除が好きになっていくかもしれません。そして、ひとりひとりが寮を綺麗にしていく意識を持ち、楽しんで掃除に取り組んでほしいです。
これから整美委員会は、整美の仕事だけに限らず、のぞみ寮をより良くしていくために“その日の汚れはその日のうちに”というテーマを目標に頑張っていきたいと思います。至らないところはあるかもしれませんが、これから一年間、整美委員会をよろしくお願いします。
クリスマスの会場設営
「声」
生活規律委員長 N.T(大望館2年・沖縄県)
生活規律委員のテーマは「声」です。
まず、委員会の中で、どのようにルールというものを教えていくかを話し合いました。そのときに各館の悪いところ、直さないといけないところの話になりました。挨拶、チェック者、ルールチェックなど……そして、話し合いの中で共通点が見えてきました。それは「声」でした。なので、僕たちは「声」で伝えていくことにしました。
テーマの説明をします。今ののぞみ寮に不足しているところは「声」だと思います。「声」で伝えていくため、大きく、シンプルに「声」を書きました。また、周りの背景の色は、暖色に統一させました。その理由としては、厳しく注意する、厳しく怒るのではないため、冷たい寒色よりもあたたかい暖色がふさわしいと思い暖色にしました。
注意をするより、声掛けをする。その声掛けであたたかい寮になってほしい、そのような願いを込めました。
ここで、少し大望館の話を紹介します。「マスク!」、これは寮担任の片岡先生が大望生に向かって、ずっと言っている言葉です。片岡先生の名言となってきています。でも、今は大望の生活規律委員のR君も協力して、声掛けをしています。僕達は、それを目指しているのです。「マスク!」だけでなく、大望で例えると、「一階で食べない!」もあります。最初は「何で?」と疑問しかありませんでした。でも、片岡先生の呼び掛けをしている理由を考えたときに、それは一階で食べることにより密になるということがわかります。しっかりと考えて理由を片岡先生に聞いてみたら納得でした。そして、最近一階で食べる人は減ったと思います。
寮務教師が注意をしたから仕方なくやるではなくて、僕達がお互いのことを注意できる館でありたい。注意できる館にしたい。そう僕たちは考えています。今から、お互いに不足をしている、出来ていないところをカバーしませんか。そしたら、こののぞみ寮がもっともっと良い寮になるはずです。これからの寮がどんどん良い寮になりますように。願っています。また、僕達も生活規律委員として、頑張っていくので、宜しくお願い致します。
生活規律委員会テーマ発表
「ごみ(夢)を拾う ~ここではみんながディズニーキャスト~」
リサイクル委員長 Y.I(めぐみ館2年・群馬県)
リサイクル委員会のテーマを決める前に私たちは、NHKのごみ収集を仕事としている人のドキュメンタリーを観ました。その人は最初、ごみを収集する仕事に対して、臭い、汚い、きつい等のマイナスなことを思っていましたが、仕事の回数を重ねるうちに自分の手で町をきれいにしていこう、ごみではなく夢を集めているのだという気持ちに変化していきます。このドキュメンタリーからテーマのヒントを得ました。
リサイクル委員会のテーマは「ごみ(夢)を拾う~ここではみんながディズニーキャスト~」です。みなさんはディズニーでごみを拾うキャストを見たことがありますか?ごみを見つけたら、一目散にごみを拾っています。しかも、お客さんが見ている所では、ごみを拾うことをひとつのパフォーマンスとして楽しそうに拾っています。その姿から私たちも積極的にごみを拾いたい。そして、ごみを拾うことを苦だとは思わず、今自分が拾うことで、少しここがキレイになるのだと、ごみを拾うことをプラスに考えようと思いました。みなさんは、ディズニーキャストのように積極的にごみを拾えていますか?
今日の聖書箇所は、「良いことをするのに見返りを求めるのではなく、誰かのためにという善の気持ちが大切だと私たちは解釈しました。そのことを、リサイクルと重ね合わせて、見返りを求めるのではなく、「誰かのためにごみを拾う」という善の気持ちが大切だと思います。考えてみてください。ディズニーでごみを拾うキャストさんは、ごみを拾ったから何か得するものがあるというわけではありません。私たちも見返りを求めず、ごみを拾いそれぞれの館をピカピカにしていきましょう。
クリスマスの飾り付け
「New Color ~俺らの行事は何色?~」
行事委員長 T.M(光望館2年・広島県)
新行事委員のテーマの発表をします。「New Color~俺らの行事は何色?~」です。去年はコロナの影響による制限で、外出も出来ない、3密を避けなきゃいけないという状況が続き、行事も沢山行えない。その結果、ストレスが溜まり、寮のルールに反する行動を取ってしまう人が出てしまい、のぞみ寮全体に暗い雰囲気が漂っているように感じていました。
そこで、このテーマ「New Color」という言葉について説明します。行動制限のルールが少し緩和した今、制限の範囲内で最大に楽しみ、昨年にはなかった他館との交流を通して、大望館・光風館・みぎわ館・めぐみ館の色をひとつに合わせて、昨年のように暗めだった日々とは違い、眩しすぎるような日々にしていきたいという意味が込められています。新しい企画や運営に積極的にチャレンジしていきます。例えば、週末の映画鑑賞会ではポスターを作成するなど、行事に参加する前から楽しめるような準備をしていきたいです。
行事委員会は、テーマに沿いつつ、自分達の出来る最大限の工夫をして行事を企画していきたいと思います。
全館行事の運営・司会
「3年生からのメッセージ」
女子寮 小林 渚
3年生から2年生へ、世代交代のバトンが渡され、新しい風がのぞみ寮に吹いています。そんな中、3年生は卒業・卒寮に向かい始めています。
今月は、学校のチャペル礼拝や寮の全体礼拝で、寮生3年生の話を聞く機会がたくさん与えられました。3年間を振り返った今、自分がどれほど尊い存在であるか、誰かが共にいて、支えてくれていることが、どれほど大きな恵みであるかを語ってくれた3年生たち。そう、「私たちは愛されるため、そして、誰かを愛するために生まれてきた存在」という神様のメッセージを教えてもらい、クリスマスの時を前に心満たされた時となりました。