敬和の森から生まれるアドベントクランツ ~今あるものに感謝して生きる~
寮長 東 晴也
敬和に赴任した当初、某先生から太夫浜の自然のことを「敬和の森」と表現されたことがあり、私は「ここが森?」と驚いたことがありました。私は山形の過疎、周囲をブナとナラ林に囲まれた、積雪3m超の豪雪地に住んでいました。春一番の生徒との労作は、雪の重みで倒れたコナラの老木をチェーンソーで切り出し、それを残雪の上を滑らせて、道まで下ろし、リアカーで自宅まで運んで、薪割りをする。そんな暮らしをしていました。▼「松とアカシアと砂しかない」これが私の太夫浜に来た時の第一印象です。春の雪解けとともに草花が一斉に芽吹き出す、しっとりとした豊かな自然から、砂とアカシアだけの単純な自然の前に、心が乾いていくような感覚になったことを覚えています。▼しかし、ここで過ごす中で、意外なほど嬉しい発見をいくつもして来ました。まず、ここはとても静かです。朝晩は殆ど人口的な音は聞こえません。朝はほぼ一年中ウグイスの鳴き声が(光風館では)聞こえます。キジが畑に遊びに来ます。キャンパスを歩くと懐かしい木々に出会います。トチや胡桃、小さいけど栗の木もあります。山形にはなかったイチジクや柊、モミの木もあります。めぐみ館ゲストハウスに引っ越した今年、銀杏、柿、葡萄の木も見つけました!太夫浜固有の樹木ではないので、昔の教職員が植樹したものです。▼「木を植える」ことほど希望に満ちた行為はありません。「桃栗三年柿八年」。植えた木が実をつけるには数年はかかります。それを期待してじっと待つ。それは、生徒と関わりつつその成長をじっと待つという、「教育の業」と似ています。顔も知らない敬和の先輩教師が植えてくれた銀杏や胡桃の実を、我が家に遊びに来る生徒たちとご馳走になりながら、私たちが出来ることを考えました。▼数年前から卒業生のU.Aさん(燕市)が、寮の全体礼拝で使うアドベントクランツ(待降節に灯される常緑樹で飾られた4本のろうそく)をボランティアで寮生有志と作りに来て下さっています。敬和学園内にはそれにふさわしい木や木の実が沢山あるのです!ここの自然と触れ合い、私たちにしか出来ない「敬和オリジナルアドベントクランツ」を作り、先生方に買って頂き、困っている人達に献金するというプロジェクトです。今年は台風の被災地支援に充てる予定です。▼無いものにばかり目を向けると不満しか出て来ません。「今ここ」で出来ることを感謝しつつやる。それが私の「置かれた場所で咲く」ことです。今朝、爽やかな朝陽を浴びながらチャペルに向かう寮生が「この天気好き~!」と。私には天使の声に聞こえました。今、私に与えられているものに目を向け、感謝しつつ、クリスマスを迎えたいと思います。
< 寮生リレー ◇世代交代 各委員会テーマ◇ >
食事委員会『 □食 』
K.M(めぐみ館2年 福島県)
食事委員会の新しいテーマは「□(四角)食」です。
突然ですが、みなさんに考えていただきたいことがあります。今の私たちの食に関する問題点や理想を考えた時、この□(四角)の欄に漢字一文字を当てはめるとしたら、どんな漢字が入りますか?そして、完成する熟語は何でしょうか?
私たち食事委員会は、この問いに対して、問題点としては「欠食と残食」、理想は「完食」と答えます。今、第一に考える問題は「欠食」だと思っています。嫌いな食べ物が盛られたプレートは取らないという人がいますが、これは残食以前の問題であると思っています。
みなさんが取らなかったおかずは、厨房で捨てられていることをご存知でしょうか?私はよく「今日は50皿もプレートが余っていたよ」という話を耳にします。つまり、その日は残食用のバケツに捨てられたおかずとは別に50皿分の食べ物がそのまま捨てられるということです。その大量の残飯を捨てているのは、ご飯を作ってくださっている調理員さん達ご本人なのです。みなさんは、この事実を聞いてどう思うでしょうか?
私たち食事委員会は、新テーマを「完食」と読みたい、そう強く思っています。今、問題としてある欠食や残食というものを無くし、完食という目標を達成させるためにはみなさんの協力が必要です。もし苦手な食べ物がメニューに出たとしても、少し量を減らしてもらってください。ひと口だけでもいいので食べてくれると調理員さんも嬉しいと思います。
これらの問題解決に取り組み、みなさんが楽しく食事が出来るように一生懸命努めていきます。ぜひ、欠食・残食・完食という言葉を忘れずに、明日からも美味しいご飯をいただけることに感謝していきましょう。
生活規律委員会
『 ばれなかったらいいや そんな考え甘ったれんな!
ここではみんながディズニーキャスト これがのぞみの掟 』
H.N(みぎわ館2年 兵庫県)
突然ですが、なぜルールがあるのか、考えたことはありますか?この問いは生活規律委員会でテーマを決めるにあたり、私たちも考えました。この問いの答えは「良い集団を作るため」だと私たちは考えます。
学校や寮にはたくさんのルールがあります。例えば、土足やピアスはしない。男子はネクタイを着用する。女子は化粧をして登校しないなど、様々なルールがありますよね?みなさんは果たして、それらのルールを守ることが出来ていますか?「ばれなかったらいいや。1人だけだったら……」などと甘い考えを持っている人はいませんか?
生活規律委員会の新テーマは、「ばれなかったらいいや そんな考え甘ったれんな!ここではみんながディズニーキャストこれがのぞみの掟」です。
これを聞いて「ちょっと長くない?」と思った方も多くいるでしょう。それは、それぞれの館の生活規律委員が持ち寄ってくれた案を詰め込んだからです。「ばれなかったらいいや」そんな甘ったれた考えとは今日でおさらば!生活規律委員はのぞみ寮をより良くするために新たなルールを作り、それを私たちだけでなくみなさんにも守ってもらい、最終的に甘い考えを無くしていきたいと考えています。そのためには、みなさんの力が必要です。寮は一人でも欠けてしまうと成り立ちません。ディズニーキャストさんのように一人一人に大切な役目があります。ディズニーランドやディズニーシーがいつも夢の国であり続けるのは、キャストさんたちの地道な努力があってこそなのです。この1年、思いやりのあるディズニーキャストになりきってみてください。そうすれば、みんなが過ごしやすい楽しい寮生活になるでしょう。
最後に、より実りのある豊かな寮生活を送っていただけるよう、生活規律委員一同、一生懸命頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。
礼拝委員会 『 心のねぐせを直すひととき 』
M.K(光風館2年 東京都)
礼拝委員会の新テーマは、『心のねぐせを直すひととき』です。
みなさんは、礼拝の時間をどのように過ごしていますか?私たち51回生礼拝委員会は、礼拝の時間で自分自身を見つめ直す時間、また自分の周りを見つめ直す時間にしてほしいと考えています。イヤなことがあっても仲間のお話で新しい発見をしたり、安心してホッとしたりする時間にしてほしいと願っています。
私たち礼拝委員会はまだ始まったばかりですが、ぶつかった問題に力を合わせて解決しています。これからは礼拝の時間を大切にしつつ新たな取り組みもして、51回生らしい礼拝を作っていきたいと思います。
整美委員会『 あなたの掃除はどこから?私は心から!もう一度集まれ掃除の心 』
K.K(光風館2年 柏崎市)
整美委員会は各館での仕事が多く、「もっと4館で連携してのぞみ寮生みんなで何か取り組みが出来たらいいなぁ」と考えました。また、私は委員長として「掃除をするという心を大事にしてほしい」と委員会で話をしてきました。それらの私たちの思いや目標をテーマとしました。
整美員会の新テーマは、「あなたの掃除はどこから?私は心から!もう一度集まれ掃除の心」です。
もう一つ、お話ししたいことがあります。みなさんがきっと疑問に思われているであろう整美員会のポスターの絵。そう、新テーマと一緒に描かれているのはトイレの絵です。なぜ、トイレの絵を描こうと思ったのか。
ある歌のワンフレーズが思い浮かんだのです。
~「トイレの神様」(熱唱)~
「トイレには、それはそれは綺麗な女神様がいるんやで」という歌詞があります。トイレ掃除が苦手な少女が、おばあちゃんにトイレ掃除を続ければべっぴんさんになれると言われ、日々少女はせっせとトイレ掃除をするという歌です。掃除をしてべっぴんさんになれるということ、「べっぴんさん」という言葉は様々な意味を暗喩していると私は思います。特に人間性のことを示しているのではないでしょうか?雑に扱われる物や場所こそ綺麗にするという心を持ってほしいと思います。
そして、私は整美委員長として目標とする掃除の心を示すために、自ら進んで掃除をしようと思います。毎週全体礼拝が始まる前に、友愛館のトイレ掃除や玄関掃除をしようと思います。ぜひ、みなさんも一緒にトイレ掃除をしませんか?
これからも私達の活動を見守ってください。
リサイクル委員会『 燃えるゴミ?いいえ プラゴミです ~資源は有限 俺は無限~ 』
M.M(大望館2年 燕市)
今年のリサイクル委員会のテーマは「燃えるゴミ?いいえ プラゴミです~資源は有限 俺は無限~」です。
今回リサイクル委員会のテーマを決めるにあたって、今、各館で起こっているゴミの問題について話し合ってみました。すると、すべての館共通で「分別が出来ない、または甘い」という意見が出てきました。昨年度のリサイクル委員会のテーマは「分別」でしたが、やはり分別が出来ないというのは、大きな問題だと思います。それに加え、「ゴミを捨てるべきところに捨てられない、いわゆるポイ捨てがある」という現実もあります。そこで、今年度も分別をしっかりとするということを続けて取り組んでいきたいと思います。
また、館内のゴミもそうですが、館の周りにも捨てられているゴミの掃除もしたいと考えています。
さて、話は変わりますが、みなさんは身の回りにある物、例えばペットボトルだったり、筆記用具だったり。これらの物を作る際、素材はどこから来るのか、考えたことはありますか?これらは決して何もないところから人が作っているわけではありません。これらは、自然物から作られています。石油危機などの言葉があるように、自然物には限りがあるのです。有限だということなのです。リサイクルをせずにただ燃やし、そしてそれを埋める。これを繰り返していれば限りある資源がどんどんと減っていきます。しかし、リサイクルをすることによって資源が尽きるのを遅らせることが出来ます。今、ここにいるみなさんがしっかりと分別をすることによって、七十数億分の二百ほどですが塵も積もればなんとやら……。自然を、そして未来を守れるかもしれないのです。
普段目立った活動をしてないように見られがちなリサイクル委員会ですが、実は自然を、そして世界を守るという使命のもとに活動しています。
みなさんも「俺だって世界を、そして未来を守れるかもしれない」という無限の可能性を信じて、一緒に分別に取り組んでいきましょう。
行事委員会『 カメラを止めるな! 笑いを止めるな! 行事を止めるな!』
H.H(大望館2年 三条市)
私たち行事委員の新しいテーマは「カメラを止めるな!笑いを止めるな!行事を止めるな!」です。
このテーマに決まるまでたくさんの苦労がありました。私たち行事委員はそれぞれ主張が強くて意見がまとまらず、誰も手に負えませんでした。脱線のオンパレードで話し合いにならず、集まっても雑談で終わってしまうこともありました。
そこで、私は「みんなが楽しんでいる姿をアルバムにする、カメラのような委員会にしたいね」と提案しました。そこから「じゃあカメラを止めるな!にしよう」とテーマが決まっていきました。
私たち行事委員は、行事をやる中で笑いと思い出を逃さないようなカメラになりたいと思います。
このポスターの中にあるフィルムの枠には、これから行事の写真を貼って更新していきます。これからもよろしくお願いします。
教師からの一言
山﨑飛鳥(大望館担任)
朝も冷え込み、友愛館へ朝ご飯を食べに移動することがしんどい季節になってきました。
「朝がとても苦手なんです」
ある寮生は中学生の頃、ほとんど朝ご飯を食べずに登校ギリギリまで布団にくるまっていたそうです。寮に入ってからも、朝のしんどさを克服することは出来ず、何日も朝食に来ない日が続くことも……。そんな彼ですが、今まさにそのしんどさを克服しつつあります。
「毎朝、友達が叩き起こしに来るんです。目覚めは最悪ですよ」
嫌々ながらもどこか嬉しそうな表情でした。一人では、どうにも克服出来ない課題があっても、仲間とだったら克服出来るかもしれない。自分にとって無理難題かもしれないけど「チャレンジしてみよう」と思う。これも寮生活の醍醐味のひとつだと教えてもらいました。
そんな彼らと共に歩んでいるからこそ、私も「彼らに負けてられるか!今日も一日頑張ろう」と心の底から思えるのです。
来週からはテスト週間が始まります。テストが終われば、クリスマス、賛美歌発表会、あっという間に終業です。3年生との過ごせる日々もあとわずか。一日でも多く笑顔でいられますように、歩んでいきましょう。