2015年6月8日月曜日

のぞみ通信 No.209(2015年5月27日)

関係の回復   
寮長 信田 智
ワイシャツや洋服を着るときに、最初のボタンを掛け違うと、いびつな格好になってしまう。人間関係も、どこかでお互いの気持ちに行き違いが起こると、そのあとどんなに修正しようとしても、いびつな関係になってしまう。いわゆるボタンの掛け違いと言うことが起こるのです。恥ずかしながら、私自身も息子の連れ合いとの関係で、相手のことを考えて、良かれと思ってしたことが、相手にとっては自分のことを愛してくれていないのではないか、だから訪ねて来てくれないのではないかと言うことになってしまった。何とか関係を回復しようと、かわいい孫にと思い贈り物をしても、かえってうっとうしく思われるだけだった。
 私の恩師は、教会を離れていった信徒のことをいつも心に留め、5年でも10年でも待ち続けるのです。すると、牧師と合わずに教会を飛び出してはいったものの、その先で様々な経験をするうちに行き詰ったり、牧師の愛に守られていたことに気付いたりして、再び教会に戻ってくるようになるのです。恩師は、教会を去っていった信徒の方が、いつでも戻ってこられるように心の戸を開いて待っているのです。
 のぞみ寮でも同じようなことがしばしば起こります。在寮中は寮務教師とぶつかり合いわめいたり、すねたり、ふてくされたりして、こんなところに二度と来るものかと、悪態をついて出ていっても、卒業してしばらくすると、「○○先生今度遊びに行くので泊めてもらえませんか。」と言って戻ってくるのです。在寮中わがままを言い、いい加減な生活をしていたにもかかわらず、寮務教師がいかに自分たちのことを愛し、守っていてくれたのかと言うことが分かるようになると、ちゃんと戻ってくるのです。
 「子はカスガイ」と言うことわざがありますが、私にとっては「孫はカスガイ」と言えます。夏休みに孫が我が家に泊まりに来るようになり、家に帰ると、今まで見せたことのないような笑顔で、喜んで帰ってくるのを見て、少しずつ気持ちがつながるようになってきました。そして、私が敬和を退職したら、自分たちの家の近くに来るように申し出てくれるまでになりました。お互いにもう一度、初めからボタンをかけ直し、新たな関係作りを始めることが出来るようになってきたのです。
 長い時間がかかりました。しかしその間「主よ、私たちの間に和解と平和の道を備えてください。」と祈り続けてきました。今になっても、恩師の姿勢に学びつつ歩む中で、一つずつ道が開かれていくことに感謝をしています。
 ボタンを掛け違えたり、何かのことで行き違いがあったりして関係が悪化することは良くあることです。寮生は、3年間と言う限られた時間の中で、関係回復の作業をしていく術を学んでいるのです。しかも、1対1の関係だけでなく、集団の中でその作業をしていくのです。時には本音でぶつかり合い、時にはミーティングを開き、関係回復の道を開いています。彼らの能力の高さには驚かされます。




「愛がつまった 新・のぞみ寮賛美歌集」
S.K(めぐみ館 3年 東京都東村山市) 
 のぞみ寮讃美歌集が新しくなりました。作成まえにのぞみ寮生からも入れたい賛美歌をリクエストしてもらいました。「新しい賛美歌集はいつからですか?」とわくわくした顔で嬉しそうに聞いてくる人もいて、のぞみ寮には賛美歌を歌うのが好きな子がたくさんいるのだなとあらためて感じました。
 80ページを400部作ると聞いて、礼拝委員と先生の7人で作り終えることができるのか心配になりました。印刷された賛美歌たちを見て、終わりが見えないよーと礼拝委員で嘆いていました。すると、先生が有志の手伝いを募ってくれました。有志なのでそんなに手伝いにきてくれないかなと思っていたけれど、思った以上にたくさんのひとが手伝いに来てくれました。女子寮生、男子寮生ももくもくと手伝ってくれ、楽しく歌いながらやっている子、おしゃべりをしながら、口笛をふきながら、みんな楽しそうに手伝ってくれました。それを見ていると幸せな気持ちになり、嬉しくなって、「何か他に手伝うことないですか?」と生き生きとした顔で聞いてくれる子もいて、とても暖かい気持ちにもなりました。
 私は神様に感謝をしたくなると、賛美歌を歌いたくなります。だから、のぞみ寮賛美歌集は私にとって、とても大切なものです。そんな賛美歌集をたくさんののぞみ寮生が優しい気持ちで手伝ってくれ、素敵な賛美歌集になったことを嬉しく思います。みんなの暖かい気持ちと賛美歌への愛?がつまった賛美歌集を大事に使っていきたいです。表紙と裏表紙の素敵な絵にも注目です。


寮生リレー通信  (第122回)


< 大望館 >
「仲間との絆を作り上げる」
N.R(2年 静岡県静岡市) 
 のぞみ寮に入寮して、最初に大変な事に寮祭があります。私自身、寮に入って右も左もわからず、周りの人も知らない人ばかりの状況で、先輩達から出し物の指導を受け、それをやらなきゃいけないのは、とてもつらく、嫌なことでした。ましてや大望館は、伝統的に一発芸をやることになっていて、本番では200人近い人の前で披露しなきゃいけないのです。そういうことが平気な人もいますが、大半の人は抵抗があると思います。一年生はきっと「本当はやりたくない」が本音だと思います。
 しかし、今年私たちは二年生として指導をする立場になり、昨年の事を振り返りながら思ったことがありました。それは、ただ伝統だからとか、自分達もやったからという理由で、出し物の指導した訳ではないということです。確かに一年生にとって大望館の出し物は大変だし、つらいものかもしれません。しかし、一年生にはこの壁をみんなで乗り越えてもらって、これから三年間を共に過ごす仲間の絆を作ってほしかったのです。そして、寮祭を通して二年生とも仲を深めるという目的もあります。そういう意味では、寮祭はなくてはならない行事だと改めて実感できました。一年生と二年生みんなで作り上げた寮祭は最高に楽しかったです。


< みぎわ館 >
「お互いの個性が引き立つ時間」 
 M.A(1年 新潟県新潟市)
  寮に入って約一ヶ月ちょっとが過ぎました。入ったばかりの頃に比べれば、出来るようになったことも増えてきましたが、まだまだ先輩方に迷惑をかけてばかりです。でも辛い事や大変なこともある一方で、楽しい事もたくさんあります。寮祭もその一つでした。
 あまり、準備期間が少ない中で、セリフを覚えたりといそがしかったですが、それもだんだん練習するうちに出来ていくことが嬉しかったです。
 また、私もそうでしたが、まだみんなの名前が一致しなかったので、練習の時に声を掛け合ったりする中で、段々みんなの事を知ることが出来るようになりました。そこで、改めて思った事は、やっぱり敬和には色々な人がいるんだな、という事です。私と一緒にダンスを激しく踊って騒いでくれる子、それを見て引き笑いしている人、疲れて座り込んでいる人等、色々な人がいました。その中でこれから3年間、この仲間とお互いの良いところも悪いところも理解しあって相手も尊重する気持ちを持とう!等と、考えながら練習していました。
 時には意見が食い違ってしまったりすることがあるかもしれないですが、それを乗り越えて成長していけたらいいなと思いました。
 寮祭本番では、一人だけ熱がでてしまい出られなかった子がいたのが残念でしたが、楽しく寮祭を過ごす事ができて良かったです。
 これも2,3年の皆さんの支えがあったからこそできた事です。本当に感謝しています。なので、私も、そんな先輩になりたいなと思いました。
 これから3年間、皆で支え合って成長していきたいです。


< 光風館 >
 「通学生から寮生の一員へ」
W.K(2年 新潟県新潟市) 
 初めに、僕は2015年1月に入寮しました。家がもの凄く近かったため通学生でしたが、僕は入学した時から寮生に憧れていて、ずっと親と相談してきました。その結果、こののぞみ寮光風館に入寮することが出来ました。だから寮生になって学ぶことや初めての行事がたくさんありました。のぞみ寮寮祭も初めての行事のひとつです。寮祭は各館でお楽しみ会をします。出し物を2年生が考えて、入寮して間もない1年生が披露します。ですが、僕は途中から入寮してきたので、両方の立場に立つことになりました。
 僕たち光風館が考えた出し物は『3匹の子豚』と『桃太郎』を合体させた童話で、みんなが考えつかないような物語にしました。現実味を出すためにSFというゲームの真似をして、みんなが恥をかかないように、物語の構成を考えました。脇役ですが、僕も子豚の家を建てる建築家の役を任されました。各館の礼拝終了後、清掃を終えたみんなはホールに集合し、自分の役を真面目に練習していました。たくさん練習し続けて、最後の練習の日となる寮祭の前日を迎えたら、スイッチが入ったのか、みんなの目の色が変わっていました。『これで明日は成功するな』と確信しました。そして当日となり緊張が高まる中、光風館の出番が回ってきました。恥を捨てて、自分の役を全力で披露することが出来ました。あとは1年生の活躍のおかげで、友愛館を笑いで埋め尽くしてくれたので、ホッとしました。初めての経験だったので心臓がバクバクしました。また他館の出し物もとても楽しかったです。
 入寮した頃は寮のルールに慣れずにいて、苦しかった日々がありました。ですが、通学生の時も友達だった寮生がたくさんいたので、心の支えになりました。そうして1ヶ月が経った頃、やっと寮のルールがわかってきて、寮生活が楽しくて仕方なくなりました。2ヶ月が経ち、寮生のみんなの顔と名前を一致させることが出来ました。そして3ヶ月が経った今、光風館以外の寮生の顔と名前を一致させることが目標なので、友達や先輩に聞いたりして、必死に覚えています。
 寮生活をして3ヶ月間、少し自分に変化があったような気がします。いつものように自分の部屋にいた時、寮務教師の自由さんに「入寮して3ヶ月しか経っていないのに、めっちゃ寮に馴染んでいるなぁ」と言われました。その言葉を聞いた瞬間、僕は嬉しさでいっぱいで『これで僕も光風館の一員となれたんだ!』と思いました。そして、光風館で良かったと思えた日でもありました。寮祭を経験し、日々の寮生活の中で、僕は濃密な体験が出来ています。


< めぐみ館 >
「ピクニックに参加して」  
I.Y(1年 富山県富山市) 
 GWに寮で企画されていたピクニック。私は初め、参加する予定はありませんでした。なぜなら私は帰省する予定だったからです。しかし、私は事情により帰省することが出来なくなってしまいました。とても落ち込みました。そんな様子を見かねた先生方や先輩方に「少しは気が晴れるかもしれないよ。気分転換に一緒に行かない?」と誘われ、ピクニックに参加することになったのです。
 当日、快晴とはいきませんでしたが、まずまずの天気の中、たくさんの荷物を車に積んで出発しました。私の心はこの時は、まだ少し沈んでいたように思います。
 車の中では同じめぐみ館1年生2人と、あまり話をしたことがなかったみぎわ館の3年生の先輩、そして小菅先生の運転でたわいのない会話を楽しみました。
 目的地に着くと、そこは大勢の家族連れでにぎわっていました。もうすでにお昼時で、焼きそばやたこ焼き、豚汁の準備がすぐに始まり、準備を手伝う人や、思いっきり遊び始める人がいました。私も持参したスケッチ道具を持って見晴らしの良い場所を見つけてスケッチを楽しみました。
 美味しいお昼を食べ、美しい景色を見て遊び、沢山の人と話しをして笑うことで、いつの間にかとてもすっきりした気分の私がその場にいました。
 はじめ、このピクニックは私にとって悪い出来事のおまけのようなものでした。しかし、いざ行ってみると、沢山の人と話しをし、大いに楽しむことが出来ました。私はこのピクニックで、気持ちをコントロールすることと、多くの人と話したり作業をしたりすることが深く関わり合っているのだなぁと感じました。また、たくさんの人たちに気に掛けてもらっている事も知ることが出来ました。家に帰ることはできませんでしたが、大きな学びとたくさんの方々との出会いのチャンスを得られました。帰りたかったけど、ピクニックに参加できてよかったです。




《のぞみ寮 物産展 献品のお願い》 
「のぞみ通信」4月号でもお願いさせていただきましたが、のぞみ寮[全国物産展]へのご協力を、重ねてお願い申し上げます。詳細は下記の通りです。

日 時: 2015年6月13日(土)
フェスティバル2日目9:00 開始
品 物: 全国各地の物産品(食料)、その他
場 所: 敬和学園内 友愛館前の駐輪場(予定)


*賞味期限をお考えの上、お送りください。
準備の都合もありますので、前もって御用意いただけたら幸いです。
*誠に勝手ながら、お品代・送料も含めて、ご負担頂きますので、決してご無理のないようにお願い致します。
「値段付け」の目安に、価格または、ご希望の売値価格をお書き添えください。また、品名やアピール文なども添えていただけますと、大変助かります
*宛先は、以下のようにお願いいたします
〒950-3112 新潟市北区大夫浜325 敬和学園高等学校 のぞみ寮本部 寮 物産展用品
TEL: 025-259-2390



寮務教師から一言
 5月だというのに、新潟では、いや、全国各地で30度を超える真夏日が続いています。
 ゴールデンウィークで各自の自宅や家族との時間の中で蓄えたエネルギーを活かし、第一定期テストを乗り越え、6月に行われるフェスティバルの準備に、中心となって力を注いでくれているたくさんの寮生の姿があります。1年生のみんなもだんだんと寮の生活に慣れて来てくれ、たくさんの葛藤や取り組みの中でも、それぞれに成長が見られていて、保護者の皆様からのうれしい驚きの声も頂いています。行事などの当日だけでなく、仲間との切磋琢磨の日々の中で、より多くの出会いを体感してほしいなと思います。
寮務教師:会田 咲