2023年2月1日水曜日

のぞみ通信 2023年1月31日 第277号

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題字 めぐみ館3年 H.Sさん

 

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寮クリスマス めぐみ館の飾り付けを紹介する1年生

 

 

「寮生は敬和の宝」 53回生学年主任・声楽部顧問 荒木 京子 

 「寮生は敬和の宝だ」と昔も今も思います。何故私がそう思うのか。私と敬和との出会いの話を絡ませながら、お話を進めます。

 私は敬和勤務が本当に長くなりました。まさかこんなに長く勤めるとは思っていませんでした。運よくその当時の太田俊雄校長先生に拾って頂いただけの人間です。就職が決まり、私は寮に挨拶に行きました。事務室に行くと一人の男性が出て来られました。私が挨拶をすると「あのー、ぼくは生徒です。先生はあちらです」と返されました。寮生を教員と見間違えてしまったのです。寮生は3年生ともなると家庭の中の子供ではなく、自立した大人へと成長するのだと後になって気づきました。

 また私は若い頃、寮生とクリスマスの時期、キャロリングに毎年のように行きました。近隣のお宅や施設や教会へ、賛美歌やコーラスを届けに伺いました。当時の写真を見ると寮生と一緒になって笑っている自分がいます。教師を続けられるか不安な時期もありました。しかし、彼らに受け入れてもらい、一緒に歌を歌ったりすることで、自分の迷いが無くなっていったのだと思います。

 就職3年目頃、放課後に共に歌を歌う2人の寮生に恵まれました。声楽アンサンブルの形で練習したのが始まりですが、その3年後には合唱という形で25人位になり、コンサートも出来るようになりました。彼らのお陰で、今の声楽部があります。現在の声楽部は多くの仲間に恵まれていますが、底力とエネルギー、そして工夫と対応力、乗り越える力を寮生から何度も感じます。何でも分け合えば足りるという気持ちがベースにあって、感謝を常に持つ彼らには本当に感心させられます。

 53回生が1年生の頃、コロナ感染予防のために分散登校となり、寮生だけのHRの機会がありました。少人数で雰囲気がとても温かく、これが敬和だなと思わざるを得ない空気が流れていました。

 寮生との出会いの中で、彼らの素晴らしいと思う理由を私なりにまとめてみました。①分かち合う喜びを常に心に持っている。➁誰でも発言は怖い。話す人の不安を取り除く集団。③幸せや楽しみをモノや品物でなく自分達の手で作り出そうとしている。④どんな話も誠実に聞くことが出来、柔らかい心を持っている。⑤不便があっても、それを楽しんでいる。⑥出会った仲間一人一人を大切にしている。⑦親から離れる事を怖がらない勇気がある。

 学力向上も学校の使命ですが、学力向上以上の教育がここに集結していると思わざるを得ません。寮の先生方の愛の注がれた教育や仲間との関わりによって3年間で見事に成長する寮生活は、長年受け継がれてきた敬和の伝統なのでしょう。今振り返ると、寮の皆さんに私が関わらせてもらう事で、長く敬和を続けられて来たのだと思います。

 寮生あっての敬和、そして寮生は敬和を代表する人格だと思います。これからもどうぞ敬和の顔として、そして敬和教育の中心におられる皆さんでいて下さい。(寮クリスマスのスピーチより)

 

 

 

 

寮生リレー <クリスマススピーチ>

※1月9日(月)に行われた「寮クリスマス」で、2名の寮生がお話してくれました。お話した内容をご紹介させていただきます。

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「途中入寮した私。寮に入って本当に良かった」 B.K(大望館3年・新潟県)

 今日無事にみんなで寮クリスマスを祝えること、このような場でお話しできることに感謝します。

 私がのぞみ寮に入寮してから、ちょうど1年が経過しました。私からすると、とても早いなと感じています。

 1年生は知らないと思いますが、「最初から寮生ですよ」みたいな顔をしている私が入寮したのは、2年生の冬休み明けです。私は、それまで通生として家からバスで通っていました。寮生になり、当たり前ではありますが、良いことも悪いことも、家とは違う点をたくさん経験しました。

 良いところでいうと、やはり学校から帰っても友達がいるということです。学校から帰っても友達とたくさんおしゃべりできますし、筋トレや卓球なども友達とすることができます。最近で言えばサッカーワールドカップもたくさんの人と観ることができ、とても盛り上がりました。この点は家との良い違いと言えるでしょう。

 しかし、寮生活は楽しいことだけではありません。例を挙げるとすると、消灯時間が決まっている。見たいテレビが見ることができない。スマホが使えない。朝はシャワーからお湯が出ない、など不便なことはたくさんあります。

 シャワーからお湯が出ないことに関しては、休日に部活がある人にとっては死活問題です。午前で練習が終わり、昼前に汗を流そうとするとお湯が出ないのです。しかし、この寮独特の不便さは、日々の生活の当たり前がどれほどありがたいかを私に教えてくれました。家に帰り、お昼にシャワーを浴びてお湯が出たときは涙が出そうでした。

 そして私にとっては、クリスマスも家と寮では違います。私の家族は、クリスチャンではありませんので、今まではクリスマスツリーを飾り、チキンとケーキを食べて終わり。このような日本の一般的なクリスマスを過ごしていました。しかし、寮では、この世にイエスが誕生されたことをお祝いします。以前は、クリスマスの意味もよく知らなかった私にとっては、このように大勢の人で盛大にクリスマスを過ごすことは、とても新鮮に感じていました。これも寮に入らなければ経験することができなかったことです。

 貴重な経験ができていることに感謝しています。私にとっては、寮で過ごす最初で最後のクリスマスです。皆さんと過ごせる、残り少ない敬和生活の時間を大切に過ごしていきたいと思います。

 私は今回改めて、寮に入って良かったなと心の底から感じました。そして私に関わってくださったすべての人に感謝しています。敬和での経験を忘れず、大学で良い意味で暴れまわってやりたいと思います。ご清聴ありがとうございました。

 

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クリスマス礼拝

 

「18回目のクリスマス」 I.W(めぐみ館3年・北海道)

 クリスマス。寒い雪の中、小さな馬小屋でイエス様がお生まれになりました。そんな特別な日を、クリスチャンたちは毎週日曜日の礼拝で一つずつろうそくの灯をともし、待ち望みます。ミッションスクールである敬和学園では、クリスマスというのはとても大きな意味を持つことは、いうまでもありません。

 しかし、敬和に入学する前はキリスト教というものがすごく漠然としていました。クリスチャンホームで育ったので、聖書や讃美歌、礼拝などは身近にありましたが、クリスチャンと聞けばハイジのセバスチャン(ネットで調べてみてください)が頭に浮かびましたし、「日曜日によくわざわざ礼拝なんか行くなぁ」と、大人が不思議でたまりませんでした。

 牧師である父に、「無人島に一つだけ持って行けるなら何をもっていく?」と聞けば「聖書」という答えが返ってきたときは、恐怖を覚えました。クリスマスは断然、パーティーやごちそう、プレゼントがあるイベントで、アドベントもそのためのわくわく感倍増期間でした。

 敬和に入学してからも、1年生の頃は、「先輩に怒られたくない」「友達出来るかなぁ」という可愛らしい(当時は地獄のような)悩みにいっぱいいっぱいで、「礼拝なんてしている場合じゃない!」「早く休ませてくれ!」という思いでした。しかし、敬和で苦しみながらも歩んでいく中で、クリスチャンに対して疑問だったことが、少しずつわかっていくようになりました。

 自分が何に苦しいのか分からない程疲れ果てたときがありました。そんな時、「なぜ、私は母の胎にいるうちに死んでしまわなかったのか」(ヨブ記3章11節)、「静けさも安らぎも失い憩うこともできず、私はわななく」(ヨブ記3章26節)と、ひたすら自分の人生を呪っているヨブの言葉に出会いました。一見すればネガティブで、マイナスなイメージがある箇所です。

 しかし、私には、誰にもわかってもらえないと思っていた苦しみを遠い昔に同じように感じていた人がいたこと、そして最後、神はヨブを見捨てなかったということに胸が熱くなりました。

 敬和での3年間を、今語りつくすことなんてできません。分厚い本でも足りないでしょう。聖書の言葉、礼拝のお話、祈りの時間。寮の仲間、学校の友達、先生。敬和の澄んだ空気、あたたかな土と緑。街で出会うお店や、教会の方々。そして家族。聖書の言葉だけではなく、本当にたくさんの人やモノが、私に生きるヒントを与えてくれました。毎日が、そんな連続だったように思います。

 無人島に何か一つだけ持って行けるなら……。父の答えが、今ならなんだか、分かります。18回目のクリスマスは、小さい頃とは全く違って見えています。隣には仲間がいて、一緒に食事を囲んでいるのですから。パーティーもごちそうも、プレゼントも大好きですが、もしそれがすべてなくても、私は大いに喜んでクリスマスを迎えられます。皆さんと過ごせるこの時に感謝します。

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寮生リレー <寮クリスマスを過ごして>

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寮クリスマス 光風館飾り付けの様子

 

「丁寧に作る ~仲間がいたからできたこと~」 W.K(光風館1年・新潟県)

 定期テストが終わった12月初旬、光風館1年生による寮クリスマスの飾り付けの準備が始まった。

 飾り付けのテーマは、おとぎ話の「ヘンゼルとグレーテル」で合意し、その日以降、毎日話し合いが行われるようになった。時間が少なく、作る物が多く、そして、なかなかイメージ通りにいかないことから、苦労したのを覚えている。

 こういったときに、私がいつも心がけていることがある。それは「雑にならない」ことだ。手間がかかり、時間がかかってしまい苦労することも多い。また、寮クリスマスまでに時間がないことから悩んだが、仲間達との相談の結果、クオリティーを重視し、時間をかけて、丁寧に飾りを作ることにした。光風館の飾り付けは、なんとか寮クリスマス前日に完成することができた。その結果、私達が作った飾りは多くの先生に褒められた。

 私が、この寮クリスマスで学んだことは、1つ1つ丁寧にやることの大切さ、仲間の大切さの2つである。仲間がいたから、ここまで大きな1つの作品が完成し、丁寧に作ったからこそ、多くの人に評価され、褒められたのだと私は思う。

 これからも私は、仲間を大切にし、勉強や役職の仕事など、1つ1つ丁寧にこなしていくことを心がけていきたい。

 

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54回生総出の素敵な飾りつけが完成!

 

54回生の底力 ~やさしさとやる気!!~ M.M(みぎわ館2年・新潟県)

 私が特に印象に残っている活動は、整美委員会での準備です。整美委員は友愛館のパーテーションの飾りつけの担当でした。委員で意見を出し合い、モールと輪飾りをつけること、折り紙でプレゼントを作って貼り付けること、小さなクリスマスツリーと紙を吊るすことにしました。モール1つを飾るのも大変で、いくつ必要なのか、どういう風に飾るのかなどたくさん悩みました。とにかく時間がなく、ずっと急がされていました。

 なんとか飾りつけの準備ができた頃、行事が延期になりました。なんだかもやもやした気持ちのまま冬休みが終わり、寮に戻ってきました。整美委員の飾りは,とても1日では飾り付けきれそうになく、当日の数日前ら飾りつけをしました。飾りつけはそのとき、寮にいた54回生総出で行いました。みんなが快く手伝ってくれて、気づいたら素敵な飾りつけが完成していました。「納得のいくまで手を止めない」その姿から54回生の優しさとやるときはやる底力を実感しました。

 もし寮クリスマスが予定通り行われていたらここまでクオリティーの高い飾りつけはできなかったと思います。これから54回生はのぞみ寮を引っ張っていく立場になります。今回1つの行事を作り上げたという事実を自信にこれからも頑張っていきたいです。

 

 

 

 

寮生リレー <新年に向けて>

 

「曲を作りました」 U.K(大望館3年・新潟県)

 僕たち53回生礼拝委員会は曲を作りました。

 「寮生活での不満をロックンロールに乗せて叫びちらせ」をテーマに熱い曲を作りました。すみません、嘘です。寮への不満はありません。素晴らしい環境で3年間を通して成長出来たと感じております。

 時は12月。そろそろクリスマスがやってくる季節に、礼拝委員担当の先生から「キャロリングが復活できそうだから、やってみない?」とのお声掛けをいただきました。すぐに実施することを決め、委員会で盛り上がっている中、1つの考えが僕の頭をよぎりました。「ここで、賛美歌作ってみんなで歌ったらかっこよくない?」

 早速歌詞を光風館のU君に書いてもらい、その歌詞にメロディーをつけました。メロディーをつける作業は最高でした。音楽好きの僕にとっては、賛美歌のコード進行を書き出して分析するのが快感そのもので、「このメロディーにこのコード最高に気持ちいい!」と部屋で独り言を言いながら制作をしました。完成した後、キャロリングに参加する寮生に歌ってもらい、「音楽って素晴らしい」と思わずにはいられませんでした。関わってくれた人達、ありがとう。

 ここ敬和学園では、やりたいことをとことん追求できます。「周りに迷惑かけたらどうしよう」などと思わずに、なんでもチャレンジすることをお勧めします。敬和学園で学んだチャレンジ精神を忘れずに、これからも精進していこうと思います。

 

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キャロリング 各館に素敵な歌声を届けました

 

 

 

「出会いを大切にする」 A.D(光風館2年・新潟県)

 2021年の春。私はこれから始まる高校生活に、高鳴る気持ちを抑えきれない想いで敬和学園に入学しました。勉強に部活、そして寮生活では、慣れないことの連続でしたが、必死で取り組みました。

 1年が過ぎ、2022年の春。私は先輩になりました。これまでは教わることの多い1年間でしたが、今年は、教わったことを伝える1年になりました。これまでネパールで生活をしていた私にとって、日本語での生活は、簡単ではなく、思いが伝わらなくて悔しいことや、苦しいこともありました。でも、そんな敬和での生活をとおして、私は、大切なことを教わりました。それは、日々の生活の1つ1つの出会いを大切にするということでした。当たり前のようなことですが、最も大切なことだと思います。私は、これらを大切にすることができなくて、寮生活や部活など共同で行う場面で失敗することがありました。私はここで学んだことをこれらの生活に生かしていければと思います。

 私は春から最高学年になります。進路を見据えて、自分から動く時が来たと感じています。私は、ここでの経験から「グローバルビジネス」に興味をもっているので、目指す道に近づけられるように取り組んでいきたいと思います。これまでの2年間で学んだことを糧にして、ラスト1年を「背水の陣」で臨んでいきたいと思います。

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「寮教育の現場から」

「誰かと賛美できることの喜び ~キャロリングという伝統~」 女子寮 小林 渚

 子どもの頃、まだ夜が明ける前の深々と雪が降る中、町の中を教会の人たちと一緒に、クリスマスキャロルを歌いながら歩いたことをよく覚えています。

 コロナ禍で、入学当初から賛美歌を歌えなかった3年生達。礼拝の中で賛美歌を歌えるようになったのは、ついこの間のことです。それまでは心の中と頭の中でしか流れていなかっ賛美歌は、誰かと共に歌うことで何倍にも味わい深いものになりました。隣で歌う仲間の声は、「私は1人じゃない」と仲間と共にいることの幸せに、改めて気づくことが出来ました。

 昨年の11月、旧礼拝委員の3年生を中心に、夕食後にクリスマスキャロルを歌う練習が始まりました。その歌声につられて、一人また一人と1・2年生も集まり、ステキなハーモニーが毎晩友愛館に響いていました。

 12月9日(金)の夕方、10名の寮生と一緒に、太夫浜にある北新潟キリスト教会と保育園ひかりキッズに伺いました。クリスマスの訪れを届けに、クリスマスキャロルを歌いに行きました。11日(日)には、各館へ歌いに行きました。3年ぶりに「のぞみ寮キャロリング」の活動が復活したひと時でした。

 クリスマスの訪れを、こうして仲間と共に「誰か」に届けに行くことができるという喜びを味わえたこと、心から神様に感謝します。

 

「のぞみ寮クリスマスの献金報告」

 12月に行われました「のぞみ寮クリスマス」でお預かりした献金は、合計43,500でした。

 お預かりした献金は、マリッジフォー・オールジャパンに20,500円、釜ヶ崎越冬献金に23,500円献金させていただきました。