2023年5月13日土曜日

のぞみ通信 2023年4月28日 第280号

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題字 大望館3年 H.Jさん

 

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岩原寮長と握手をして入寮する第56回生

 

「平和を紡ぐ人」  寮長 岩原 寅太郎

 敬和学園高校56回生、新入寮生の皆さん、入寮おめでとうございます。今日から新しい生活を始める皆さんに、私の「願い」をお伝えしておきます。それは3年間の寮生活、敬和生活を通して「平和を紡ぐ人」、「平和を実現する人」になって欲しい、ということです。

 「平和」と聞くと、世界で起きている紛争や内戦、あるいはテロや暴動のことが頭に浮かんできます。それらがない状態が「平和」です。でも、私の説く「平和」は、単に紛争や戦争がない状態だけを指しません。「より積極的に、他者との間で、お互いを尊重し、いたわってより良く生きることを目指す」という意味を含んだものです。これが自然とできる人、これをしようと努力する人、これが、私が皆さんに願う「平和を紡ぐ人」、「平和を実現する人」です。

 今日読んでいただいた「心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい。これが最も重要な第一の掟である。第二も、これと同じように重要である。隣人を自分のように愛しなさい。」は、これから3年間、何度も読み、何度も聞くことになる聖書箇所です。「敬和」にとって最も大事な一節です。この部分をまとめると「敬神愛人」という一つの言葉になります。「神を恐れ敬い、他者を自分のように愛しなさい」という意味です。本校の「建学の精神」を表現した言葉になります。

 でも、急に「敬神愛人」などと言われてもピンとこないかもしれません。ですから、もう少し具体化させ、イメージしてもらい易くしたいと考えました。それが「平和を紡ぐ人」、または「平和を実現する人」です。自分のことだけ、自分さえよければよい、自分の得になることだけする、そうした自分中心の考え方、生き方では「平和」は築けません。他者へ関心をもち、他者に思いやりをもって、他者のために役立とうとしてはじめて「平和」を築くことができるのです。

 「のぞみ寮」は、これを学ぶのに、体得するのに、最も適した場所です。「のぞみ寮」には生まれた場所や育った環境が違う生徒が沢山います。それ故に、異なった考え方や価値観をもった生徒が大勢います。そうした生徒たちが一つ屋根の下、寝食を共にしながら生活をするわけですから「自分中心」ではすぐに居心地が悪くなって、生活そのものが立ち行かなくなります。

 そういった意味で、敬和学園高校「のぞみ寮」は、「平和を紡ぐ人」、「平和を実現する人」となるには絶好の場所であると言えます。ただ、そうした人へとたどり着く、その道のりは平坦ではありません。決して楽ではありません。そうなりたいと願うと、他者に関心をもち、互いに尊重して、よりよく生きようと望まなければなりません。それはすなわち、他者を自分のように「愛する」ことを始めた瞬間でもあるのですが、その途端に悩みが始まります。苦悩に陥ります。でもその苦悩に鬱々と埋没していてはいけません。

 一日いちにちを大切に過ごし、周囲の人の力も借りながら、また、人智を超えた存在である神様に向き合い、聖書の御言葉にヒントを得ながら「平和を紡ぐ人」、「平和を実現する人」に一歩ずつ近づいていって欲しいと願っています。

 

 

 

第56回生入寮礼拝より

 

新入寮生代表挨拶「入寮の決意」 S.M(1年・岡山県)

 私の母はキリスト教徒で、私も0歳から教会へ通い、2年前に洗礼を受けました。私は小・中学校共にいわゆる地元の公立校に通いました。多くの友人が出来ましたが、私がキリスト教徒だということを公言しにくい雰囲気がどこかにあったように感じていました。そのこともあって「高校はキリスト教主義の学校に行きたい」と思い、いくつかの高校を見学しました。その中で、最も私の性格に合っていそうで、ほどよい自由があり、一人ひとりを大切にしている敬和学園を志望しました。

 私は寮生活にも魅力を感じていました。その理由は、違う世界観を持っている人が集まり、共に生きていくことがとても面白そうだと思ったからです。また、学校見学で寮を訪れた時、生活感の溢れる部屋を見て「ここでなら生活出来そうだ」と思ったことも理由のひとつです。

 共に入寮するみなさんは今、どのような想いを持っているでしょうか?私は「うまく生活出来るかなぁ」と不安もありますが、それを上回る期待でいっぱいです。おそらく、そのように感じている人も多いと思います。ぜひ良い関係を築いていきましょう。これからの3年間でいろんな出来事があると思いますが、苦楽を共にし、支え合っていけたら嬉しいです。

 先生方、2、3年生のみなさん、私たちの多くはずっと頼ってきた存在である家族から離れて生活を始めます。寮・学校のどちらにおいてもわからないことだらけです。特に、この1年間は初めてのことばかりでみなさんを困らせることもあると思いますが、温かい目で見守ってください。よろしくお願いします。

 最後に、保護者の皆様、高校生から寮生活を送ることで心配されている方、家が静かになって寂しくなる方、いろんな感情があるかと思います。これからの寮生活で、私たちがどのように成長していくか楽しみにして、見守っていてください。

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入寮礼拝 新入寮生代表挨拶

 

 

在寮生代表挨拶「歓迎の言葉」 Y.S(3年・茨城県)

 56回生新入寮生の皆さん、ご入寮おめでとうございます。今皆さんは、真新しい制服に袖を通してこの友愛館で入寮礼拝に臨んでいます。これから始まる寮生活、どのように感じていますか。楽しみですか。それとも不安ですか。もしかしたら、不安と緊張で押し潰されそうになっているかもしれません。親元を離れ、見知らぬ土地で見知らぬ人と、同じ屋根の下で新しい生活を始めるわけですから、不安や緊張があるのは当然です。

 「のぞみ寮」にはいろいろな考え方、価値観をもった人がいます。きっと最初のうちは、その考え方や価値観の違いから、衝突することがあると思います。それだけでも大変なことです。それに加えて、洗濯や掃除など、自分の身の回りのことは全て自分でしなければなりません。さらに、寮生活だけではなく、学校での生活もあります。勉強も中学の頃と比べると格段に難しくなります。だから大変です。「大変、大変」と言って、皆さんを脅かすつもりはないのですが、実際、最初のうちはそう感じてしまうことが多いと思います。そして、そうなると、寮生活そのものを「辛く」感じてしまうことがあります。

 でも、ここで「辛い」という漢字を思い浮かべてほしいと思います。次に、「幸せ」という漢字も思い浮かべてください。実は、この二つの漢字の違いはたったの一画でしかありません。横棒一本だけです。正反対で、全く意味が異なる漢字ですが、その違いは一画だけなのです。私はこう考えます。「辛い」と感じることがある寮生活は、何か一つのことをきっかけに、「幸せ」に変わる、変えられるのではないかと。繰り返しますが、これから皆さんは大変で辛いことをたくさん経験します。慣れないことをたくさんしていかなければなりません。時には、間違いや失敗をしてしまうことがあるでしょう。でも、そんな「のぞみ寮」での生活でも、多くのことを学ぶことができます。同期の仲間だけでなく、今、後ろに座っている先輩たちも、これから出会うことになる後輩たちも、きっと自分にはない考えや価値観をもっているはずです。そんな仲間、先輩や後輩から、さまざまなこと学んでほしいと思います。

 辛いことも失敗することもあるけれど、学ぶことがたくさんある。それが寮生活です。たくさんの人たちと出会い、その人たちと関わり、その中でたくさんの挑戦をし、たくさんの失敗をし、それらを通して自分を成長させていってください。

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ウェルカムボードを持って入寮生を待つ先輩達

 

 

新入寮生保護者代表挨拶 めぐみ館保護者  Sさん

 例年になく全国的に桜の開花が早く、新潟にしては珍しく、桜が満開の中での入寮礼拝となりました。春のあたたかい日差しと桜の花吹雪がまるで今日の日をお祝いしてくれているかのようです。敬和学園56回生のぞみ寮入寮生のみなさん、保護者の皆様、今日は誠におめでとうございます。

 私は、26回生の通学生でした。私の母が寮務教師をしていたので、子どもの頃から寮の中に住み、母の傍らで長年寮生を見てきました。寮生を通していつしか敬和学園に憧れ、26回生として寮から通学し高校生活を送りました。それは、ありきたりな言葉ですが、想像以上に楽しいものでした。キラキラと輝いて見えた寮生の友人からは、大変なこともたくさんあることを聞きましたが、それでもどこかで寮生が眩しく羨ましく思ったこともありました。

 時は流れ、娘が高校選びに悩んでいたことからオープンスクールに参加しました。娘は寮見学でキラキラ輝く寮生に惹かれ、今こうして56回生の寮生として敬和学園に受け入れていただきました。母が寮務教師として、私が通学生として、娘が寮生として、親子3世代敬和学園に導かれたのです。

 親になり子どもが家を離れるということが、こんなにも不安がたくさんあり、心配が尽きないものだということを今まさに感じています。きっと今ここにいらっしゃる保護者の方も同じように感じておられるのではないでしょうか。それでも親として、子どもの可能性を信じて笑顔で送り出したいと思います。

 入寮生のみなさん、これから楽しいこともそうでないことも、様々な経験を積んでいくことになるでしょう。あなた方が充実した高校生活を送ることが、親にとって何にも代え難い喜びです。そして、親は離れていても、いつでも子どものことを思い、どんな時も味方でいます。どうぞ、存分に寮生活を楽しんで過ごしてください。

 最後になりましたが、寮長先生をはじめ寮の先生方、寮生の生活を支えていただく職員の方々、ここにいる入寮生を受け入れて頂き本当にありがとうございます。この先子どもたちが、敬和学園で、のぞみ寮で、どんな風に過ごしていくのか、楽しんで欲しいと思う反面、大丈夫だろうかという気持ちが大きくあります。親として、離れていても、惜しまない協力をしていきたいと考えております。敬和学園56回生のぞみ寮入寮生のこれから始まる生活が豊かであることを祈って、保護者代表挨拶とさせて頂きます。

 

 

寮生リレー ~礼拝のお話より~

「56回生のみんな、来てくれてありがとう」 I.S(2年・新潟県)

 私は最初、寮も学校も嫌で一日遅れて寮に来ました。自分の性格上、マイナスな未来を一番最初に考えてしまうので、寮に来た時はみんなが優しすぎて、想像していた寮生活とは180度違っていてびっくりしました。

 家での生活とは全く違う寮生活。慣れるまでには本当に時間がかかったし、辛かったけれど、周りにいてくれた頼りになる先輩、優しくて面白くて楽しい同級生のみんなのおかげで、辛い以上にとっても楽しい一年間を過ごしました。敬和に来るまでは苦でしかなかったテストも、わからないところを聞いたら教えてくれる友達がいて、ちょっと楽しくなりました。何事も、自分の取り組み次第で苦になるか、ちょっと楽になるか、変わるか、だと思いました。入寮して1年、みんなに支えられて本当にあっという間でした。

 56回生のみなさん、ここには頼れる人達が、困ったら「助けて」って言っていい人達がたくさんいます。何かあれば相談に乗ります。時々休んだり逃げたりしてもいいんです。自分の心としっかり向き合って、自分のことを大切にしながら頑張ってください。不安な気持ちはあると思うけど、「楽しい」や「やりたいな」と思う大事にして、一度しかない高校生活全力で楽しんでください。

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桜の木の下で集合写真を撮る女子寮第56回生

 

 

寮務教師の一言

「会えて嬉しいです」 女子寮 小林 渚

 「神様、最高の天気をありがとう!」と、56回生の入寮を心待ちにしていた誰もが、そう思ったことでしょう。

 今年度から、のぞみ寮は男女一館ずつとなり、のぞみ寮の歴史の中で新しい一ページを築いていくことになります。寮が合併してどうなるのだろうか。環境の変化に不安がゼロな人はきっといなかったでしょう。そんな中、26名の可愛い後輩達を、天気に負けないとびきりの笑顔で迎えた先輩達。そんな姿を見て、56回生との出会いが、先輩達の不安な気持ちを晴らし、喜びでいっぱいにしてくれたことを実感しました。あなたと出会えた、あなたがそこにいる、それだけで嬉しい!仲間と共に、保護者の皆様と共に、そして神様と共に、今年度も歩んでいきたいと思います。