2023年10月4日水曜日

のぞみ通信 2023年10月3日 第284号

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題字 大望館3年 H.Jさん

 

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夏休み明けの帰寮日、女子寮2年生全員で囲む食卓

 

 

「『夏の甲子園』大会に思うこと」 寮長 岩原 寅太郎

 新潟はこの夏、全くと言っていいほど雨が降りませんでした。猛暑が重なったこともあり、米や果物をはじめとする農産物が大きな打撃を受けました。地球はかつて、何億年も大昔に、火の玉や氷の玉のような時期がありました。そうした大きなスケールで見れば、近年の異常気象は僅かな変化に過ぎないのかもしれません。でも、地球に住まうちっぽけな存在である私たち人間にとっては、健康面においても、経済面においても非常に堪えるものとなっています。新潟の今夏における渇水と猛暑を通して、私たちは地球上の小さな生き物に過ぎないこと、人智を超えた存在のことを、改めて認識させられました。

 夏休み明けの開寮礼拝で「夏の甲子園大会」を話題にしました。スター選手が登場し、感動的な試合がいくつもありました。高校球児の象徴ともいうべき丸坊主頭、これを強要しない学校が勝ち進んだことで注目を集めたり、これまで問題にならなかった応援団による応援の仕方が問われたりと、何かと話題に事欠かない大会でした。

 特に印象に残ったのは、決勝戦を戦った慶応高校と仙台育英高校の両校監督のコメントでした。大いに共感する内容があり、また考えさせられる部分もありました。優れた人間性を感じる両校監督のコメントを聞いていて、頭に浮かんできたキーワードは

 「多様性」、「個性」、「感謝」、「謙虚」、そして「挑戦」です。ここ「敬和」にあって、たびたび耳にするそんなキーワードが浮かんできたのは、何か不思議に思う一方で、誇らしい気分にもなりました。

 慶応高校と仙台育英高校の戦いぶりは、観ている者を感動させました。優れた人間性、それに裏打ちされた指導法をもつ「監督」という名の優秀な指導者がいて、さらに、その指導者のもとで日々厳しい練習に取り組み、チームとしての考え方や価値観を体現しようとする選手たちがいる、こうしたチームがつくりあげた試合だったからだと思います。一つ確かに言えることは、慶応高校や仙台育英高校のような素晴らしいチームは一朝一夕では成し得ないということです。「人を育て、組織をつくる」には時間が掛かるということです。寮教育に携わる教育者として、一指導者として改めて心に留めておきたいと思います。

 後期の開始からひと月ほどが経過しました。始業に際し「漫然と過ごすのではなく、自分なりの目標を定め、それに向かって誠実に丁寧に、日々の歩みを進めましょう」と寮生たちに話しました。

 異なる個性をもった仲間が一つ屋根の下、寝食を共にしながら共同生活をするのが寮です。時に、辛いこと、シンドイこと、悲しくなることもあるはずです。そんな時にこそ、仲間や寮務教師を頼り、また聖書の御言葉にヒントを得ながら乗り越えていってほしいと思います。後期の終了時、また一回り大きく成長した寮生たちの姿を見られることを願って後期の歩みを共に重ねて参ります。

 

 

 

寮生リレー ~ヒロシマ碑巡りの旅に参加して~

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夜の広島原爆ドームと灯籠流し

 

「ヒロシマ碑巡りの旅」Y.H(3年・石川県)

 夏休み、「ヒロシマ碑巡りの旅」に参加しました。今まで学校で習った知識はあっても、自主的に学ぼうとしたことはなかったので、私にとって初めて「原爆」に向き合う機会になりました。様々な講演、資料館見学、式典、被爆者証言の集い等を通して私が大きく感じたのは、“自分自身の知識の浅さ”とそれに対する“恐怖”です。

 戦争を経験した方の中には、今を「戦後」ではなく「戦前」と呼ぶ方がいることを私は初めて知りました。きっと戦争が始まれば「即戦力」になるであろう私たちの世代が、戦争に対して興味関心をもっていなかったり、知識が浅かったりすることは大きな問題です。戦争を実際に経験した方の高齢化も相まって、「戦争」や「原爆」の意識がますます弱まっている今だからこそ、出来ることを見つけて行動していく重要性を実感しました。また、実際に現地へ行ってみたり、残った衣服や手紙等を見てみたりすると、より「原爆」のことを伝えていく必要性を感じました。 

 今回やっと「原爆」のことについて学ぶためのスタートラインに立てた気がしています。これからの社会の動きにも目を向け、また同じような悲劇を繰り返さないよう、もっと「原爆」について知識を深めていきたいです。

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広島平和記念資料館にて

 

 

「自分を変えた四日間」 F.I(3年・群馬県)

 今回訪れた広島には、人間の愚かさやこの世界の残酷さが残されており、多くの人に、戦争はあってはならないと訴えていました。

 あれほどの日本で起きた恐ろしい被爆の実相は、数日の時間をかけないと頭の中で処理しきれませんでした。中でも、被爆者の遺品や被爆の惨状を示す写真や資料を収集・展示している「広島平和記念資料館」は、一番胸が苦しくなるプログラムでした。これらの展示物は、どれも核兵器による被害の影響を静かに訴えていました。参加者の中にはあまりの恐ろしさから途中でリタイアする人がいました。私も自分と重ねて見ることで、目を背けたくなりました。しかし、それをすることでこの資料館は間違いなく私の原爆への認識を変えてくれました。

 私はこのプログラムを含む4日間を意義のあるものにできました。様々な証言を聞いたり、展示を見たりしていくことで、自分で調べられる範囲以上の知識を身につけることができました。これほどまでに酷い影響を及ぼした原爆を2発も落とされたのに、日本政府は明らかに戦争の準備をしています。

 また、高齢化により被爆者が年々少なくなってきており、体験の声は消えつつあります。それらの事実を踏まえたこの旅は、私を「自分にできることは何かを考えながら、まずは近くの人から戦争・原爆はあってはならないと伝えていこう」と考えさせてくれました。これをきっかけに学び続けていきたいです。

 

 

 

 

寮生リレー ~海外教室での学び~

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ワニと触れ合い体験

 

「相手のことを知ることの大切さ」 S.M(2年・神奈川県)

 最初に海外教室の案内を見たとき、私は参加するつもりはまったくありませんでした。英語のスキルがなく、興味も特になかったからです。しかし、担当の先生から「オーストラリアに参加しない?」と提案され、家族との相談の結果、参加を決意しました。

 気軽に海外への参加を決めたものの、その決断が浅はかだったことに途中で気づきました。中学の基本的な英語さえも苦手でした。海外教室に行くまでの間、留学生の子や海外経験者で英語が得意な子に協力してもらい、出来ないなりに努力しました。

 オーストラリア滞在中は、数々の言葉の壁に直面しましたが、なんとか乗り越えることができました。しかし、英語の授業中、文法に関する疑問をうまく質問できず、先生との間に誤解が生まれました。この誤解は一時的に亀裂を生じさせましたが、最後には双方が心から理解し合い、和解のハグで締めくくることができました。

 この経験から、私はコミュニケーションには、努力と挑戦が大切であることを実感しました。コミュニケーションを取るためには、自分から積極的に話しかけたり、質問したりする挑戦が大切で、私はとても楽しかったです。

 将来的には、また海外に行きたいと考えるようになりました。そのために、今回うまくいかなかった部分を勉強して、再び海外に挑戦しようと思います。

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語学学校での様子

 

「一句に込めたオーストラリアでの学び」 E.S(2年・新潟県)

 私は中学1年生の頃から、毎朝、「ラジオ基礎英語」を聞いています。今年の3月の放送で、オーストラリアについての話を聞きました。そこで、興味をもつようになり、「海外教室」に参加することにしました。

 オーストラリアの生活で驚いたことがありました。

週末になると、ケアンズ市内では市場が開かれ、アクセサリーや洋服がたくさん売っていたり、蛇や鳥などの生き物に触れたりできる体験コーナーがありました。また、公園には大きな木があり、その木を遊具として小さな子どもたちが登って遊ぶ姿もありました。

 「海外教室」では、観光だけでなく現地の語学学校に通い、英語の勉強や現地の歴史を学びました。最終日の授業で、日豪の戦争について聞きました。昔、オーストラリアは太平洋戦争に巻き込まれた歴史があり、多くのオーストラリア人が亡くなりになりました。日本がオーストラリアに侵攻したという事実を、私は初めて知りました。そして、この事実を忘れないように、想いを一句に込めることにしました。

 『日豪の 平和の花 今日も   咲き乱れることなく かれんに花開く』

 今、この世界にはまだ戦争があり、多くの人間が命を落としたり、国から逃亡したりしている人がいます。どうか歴史の過ちをこれ以上繰り返さない為にも今の私たちができる行動を起こしていきたいです。

 

 

 

 

寮生リレー ~オープンスクール労作に参加して~

 

「道しるべとなるために」 S.M(1年・新潟県)

 暑さの厳しい夏休みの終わり頃、私はオープンスクールの労作(寮案内)をしました。労作をしたいと思った理由は、現役寮生だからこそ分かる「寮の良さ」を伝えたかったからです。

 当日はとても緊張したけれど、めぐみ館1年生みんなで頑張った館内の「飾りつけ」に刺激を受けて、「私も頑張らないと!」と思い、臨むことができました。そして、私が想像していた以上の多くの中学生が寮を訪れてくれました。大人数を一度に案内することは、本当に難しかったけれど、どうしたら全員に伝わる?どうしたら笑ってくれる?と常に考え、工夫しながら寮の案内をしました。中学生や保護者の皆さんはとても嬉しそうに見学をしてくれたと思います。

 私は人の笑顔を見るのが好きです。今回、参加者皆さんの良い表情をたくさん見ることができて、「労作をやって良かった!」と心から思いました。

 伝える、伝わることの難しさ、笑顔の大切さを改めて学んだ良い経験でした。今後も努力を重ね、日々成長していきたいです。

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女子寮ブロック委員選挙にチャレンジした1年生たち

 

 

 

~寮務教師の一言~

「それぞれの夏」 女子寮 小林 渚

 長期休み明け、「ただいま!」と帰ってくる寮生の姿を見て、私はいつも「身長伸びた?」と聞いてしまいます。「え?そう?変わらないよ~!」と答える生徒たちがほとんどです。約1か月会っていなかったからなのか、本当に身長が伸びているからなのか。不思議なもので、私にはみんなが「ぐっと大人になって」帰ってきた、と感じるのです。

 今年の夏は、今まで経験したことのない暑さでした。毎日猛暑のニュースを聞きながら、寮生はどんな夏を過ごしているのだろうと思っておりました。学校の行事に参加し、たくさんの学びを経験したり、のんびりと家の中で過ごしたり。きっとそれぞれの夏を過ごし、エネルギーを蓄えてきたからこそ、9月の歩みがあったことと思います。後期も神様の恵みがたくさん与えられる毎日でありますように祈ります。