2017年11月1日水曜日

のぞみ通信 2017年10月26日 第231号

前のぞみ寮運営委員集合写真

 

「世代交代のこのときに思うこと」

 寮務教師 澤野 恩

 のぞみ寮生は年に2回大きな変化と成長の時を迎える。ひとつは4月、それぞれの学年が上がり、新しい仲間になる新入生を迎え、新たな責任が与えられる。

 もうひとつは、9月から10月にかけての世代交代である。これまで寮の中心的な働きを担っていた3年生から2年生へとバトンが渡される。個人的には後者の変化の方を楽しみにしている。2年生にとっては2度目の責任を与えられる時である。寮の中心を担っていくにあたって、各館ではミーティングが繰り返される。誰がどの委員会に入るのか?ここ数年は話し合いで決まっている。話し合いで決まらない場合は選挙が行われる。どちらにしても、思いの強い者が選ばれる。「仕方なく○○委員会になってしまった」という例は、のぞみ寮にはない。過去にもこれからも、自らがやりたいと言って選出され、その責任を果たしていく。

 のぞみ寮の委員会は、各館の代表者となるブロック長と各館1年生の代表者となる副ブロック長をはじめ、礼拝、食事、生活規律、整美、行事、リサイクルの7つの委員会から構成される。各館ブロック長、各館副ブロック長、各委員会代表の運営委員長会議において、様々な話し合いがもたれ、計画されている行事や新しい取り組みの方向性が示される。

 委員会に入ったと言って、何かの見返りがあるわけでない。たとえ、ブロック長をやったからと言って、決してそれが成績に反映されたり、進学に有利になるわけでない。忙しくなるだけである。しかし、新たな責任を与えられた寮生の目は輝き、自ら考え動く。その姿を多く見ることのできる世代交代は、私たち寮務教師の心を温かくさせ、その姿から学び、共に成長する機会となる。

 4月の変化の中心にあるものは、新入生をどう受け止めるか、最高学年としてどんな姿をみせるべきか、受け止める側の成長を促すものである。対して、世代交代の成長は、自分の館をよりよくするために、何ができるのかを問い、いかに奉仕できるかを求められる。自分のためだけではなく、何かのために働くときの輝きは目を見張るものがある。

 AIと言われる人工知能を活用することを目指している今の世の中、人に代わってAIが様々な分野で働くようになるだろう。人間の能力では処理しきれない膨大なデーターを蓄積させ、分析し、効率よく働く。AIをどこまで活用できるかで差がつく時代がすぐそこまで来ている。働き方改革を目指す一方、人は働くことで報酬を得るだけでなく、自己肯定感も得ている。何のために働くのか。新たな責任を与えられた、寮生達の献身を厭わない姿を見て、今一度自らを振り返り、明日へと繋げていきたい。

 

 

 

 

全体礼拝の話より

のぞみ寮全体テーマ 「ひとつの輪になって」  S.K(めぐみ館2年 東京都)

 のぞみ寮の全体テーマは・・・「輪」です。なぜ、このテーマになったのかという理由をお話ししたいと思います。私たちブロック長と福ブロック長で、どんなのぞみ寮にしたいか、ということについて話し合い、それぞれが自分の思いを語ってくれました。そして、私たちの理想であるのぞみ寮をシンプルに一言で言うと「楽しい寮」でした。
 さらに、どういった寮が楽しい寮なのか、話し合ってみたところ、色んな意見が出ました。最終的に「楽しい寮は、だれか一人でも欠けてしまったり嫌な思いをしていたら、それは楽しい寮ではない。全員が一人ひとりと繋がって楽しい寮生活を送ってほしい。」という意見が出ました。

1026_no01 そして、この意見を「みんながつながり、一つの輪になる楽しい寮」という短い文にし、最終的に「輪」と、今に至りました。
 「輪」という漢字一文字はさすがにシンプルすぎない?と思った方も多いと思います。もちろん、私たちも、そう思いました。サブテーマをつける方針で短い文を考えてみたのですが、なんとなくしっくりこなく、結局この漢字一文字に私たちの思いを込めたので、サブテーマはいらないのではないかと考え、このテーマに決定いたしました。
 このポスターに描かれている、六色の人型のシルエットは、個性豊かなのぞみ寮のみんなが、一つの輪になって、楽しいのぞみ寮を作り上げているのを表しています。
 また、この「輪」という字体も最初は明朝体や行書体、教科書体はどうか?という案もあったのですが、それらのフォントはどれも冷たい印象があるので、最終的に、やわらかく、少し丸みのあるゴシック体を用いることにしました。
 これから、みなさんが楽しいと思えるのぞみ寮を、みなさんと一緒に一つの輪になって作り上げていきたいです。

 

 

 

めぐみ館テーマ 「PIZZA」 S.K

 今回のめぐみ館の館テーマは「PIZZA」です。このテーマを聞いて意味がすぐ分かった方は少ないと思います。たしかに、このテーマは先ほどの「輪」よりも意味不明ですよね。
 ですが、この「PIZZA」という想像もつかないような名前のテーマにも、きちんと意味があるのです。今から、この「PIZZA」というテーマに込められた意味をお話ししたいと思います。
 では、まず、みなさんが抱いている、めぐみ館のイメージはなんでしょうか。静か、まじめ、などの控えめな印象を持っている方が多いかと思います。その通りの部分もあるのですが、めぐみ館は、そんなつまらない、バカまじめな館ではありません。実際のめぐみ館は、はしゃぐ時ははしゃいだり、バカなことを全力でやったり、時にはまじめな館なのですが、そのはっちゃけた部分が、まだ出せていない気がします。
 そこで、私たち、めぐみ館の49回生は、静か、まじめ、という従来の大切な要素を基盤に、これからは個性豊かな楽しいさまざまな要素をのせて、新しいめぐみ館にしていきたい!という思いから、このテーマができました。
 従来の静か、まじめという要素はピザの生地で、個性豊かな楽しいさまざまな要素は、生地の上にのっているトッピングということです。生地の上に乗っているトッピングたちは、お互いのうまみを引き出しあいます。個性の違う人たちが、お互いの存在を認め合い、お互いのよさを引き出しあえるような館にしたい、という思いが込められています。そして、次にチーズです。チーズは全ての具材をトッピングし終わって、最後にのせるものですよね。
 このチーズはたくさんの具材を包み込むようにして、とろけてくれます。みんなでとろけ合う、つまりは心を許しあえるような関係になりたいという意味です。
 「従来の生地を生かし、新しく焼き上げる、PIZZA」。色とりどりの個性豊かなトッピングで、私たちめぐみ館は、今までとは少し違う、個性豊かな新しい、めぐみ館にしていきます。

 

 

 

みぎわ館テーマ 
「みぎわフレンズ けものはいても、のけものはいない。本当の愛はここにある」 T.A(みぎわ館2年 新潟市)

 去年1年間私は、みぎわ館副ブロック長という立場に立ってきました。副ブロック長になろうと思ったのは、みぎわ館を良くしていくことに関わっていきたいという想いもありました。しかし、私にはもう一つ、「自分を変えたい」という想いもありました。何に対しても誰かがやってくれるだろう。人前に立つのは苦手だし。正直自分には関係ないだろう。高校に入るまでこうやって逃げてきました。そんな自分が嫌でした。だからこそブロック長という立場に挑戦したい。そういう思いから立候補しました。副ブロを決める演説で、私は「自分を変えたい」と話し続けていました。先生には「自分を変えたいって言って立候補した人初めてだよ」と言われるほどでした。副ブロになり「お前で大丈夫かよ」と言われたこともありました。でもこの一年間副ブロとして、みぎわ館に関わってきたことにより、共に暮らす仲間のことがどんどん好きになりもっとより良いみぎわ館にしていきたいという想いが強くなっていきました。

1026_no04 そして世代交代となりみぎわの館の49回生みんなと、よりよいみぎわ館を作りたい。そんな想いの中みぎわ館のテーマ決めを始めました。様々な意見が飛び交い、様々な思いが交差し何度もミーティングを重ねました。そのかいあって、これから私たちが作っていきたいみぎわ館に1番ふさわしいと全員一致で決定することが出来ました。
 今年のみぎわ館の館テーマは「みぎわフレンズ けものはいてものけものはいない 本当の愛はここにある」です。
 どんなみぎわ館にしたいか。みんなが思っていることを出し合っていくと、温かい感じ、帰ってきたくなる館、一人ひとりを大切にしたい、本音を言い合える、そんな館になりたい。みぎ49回生一人ひとりの想いが、この話し合いの中で溢れだしました。
 溢れだした、たくさんの想いを一つのテーマにするのはとても大変でした。みぎわらしい意見もたくさん出ましたが「これだ!」とみんなが納得出来るようなものはなかなか出ませんでした。そんな中、「ある歌にいい歌詞があって、それが今みんなの話し合ってきたことに、みんなの想いが込められると思うんだ」と提案してくれた子がいました。
 「けものフレンズ」というアニメを知っていますか?知っている方もいると思います。私は知りませんでした。簡単に説明すると、動物が人間の姿をした「フレンズ」と呼ばれる少女たちが暮らすサファリパーク型動物園「ジャパリパーク」を舞台に、パークに迷い込んだ少女の正体や仲間がいる場所を知るための冒険と旅を描いているアニメです。個性溢れて、やんちゃなみぎわ館にアニメもあっていたのですが、特にその主題歌の歌詞「けものはいても、のけものはいない」がみぎわ館テーマに起用するに最適だと思いました。
 みんながそのフレーズに「いいじゃん!ぴったり!」と心をひかれました。「友達以上家族未満」この言葉の通り、友達として、同じ館に生活している仲間として、家族以上ではないけど、本当の愛でつながっていきたい。こんな想いがこのテーマには詰まっています。これからの一年間、このテーマにふさわしいみぎわ館になれるようこれまでのみぎわ館を土台にして、私たちにしか築けないみぎわ館に全員でしていきます。

 

 

 

大望館テーマ 「Story of 大望 これが大望クオリティー」 Y.M(大望館2年 埼玉県)

 みなさん、こんばんは。改めまして大望館ブロック長になりました。皆さん、のぞみ寮テーマの「輪」をしっかり覚えて1年間を過ごしましょう。
 さて話は変わりますが、去年の大望館のテーマを皆さんは知っていますか。そう、それは「Just do it」 です。今日までの1年間大望生は、それぞれの胸にこのテーマを掲げ生活してきたでしょう。僕もその一人です。それだけ、このテーマが重要で大事だという事を胸に置き、話し合いを始めました。そして、今の大望館にはたくさんの良いところと悪いところがあるということがわかりました。良いところは、個性的で活発的な人が多く、まっすぐな心をもっていること。悪いところはやるべきことをやらなかったり、逆に自分のことばっかりを考え、他人の意見を聞き入れないことです。そんな中で、49回生で話し合った結果を紹介します。

1026_no05 「きりかえ」「メインになりたい」「脇役でいい」「平和」「みんな仲良く、戻ってきたい寮」「責任感」「世界の中心」「後輩引っ張る」「全力」などが出ました。この幅広い意見から、大望館の新しい寮テーマは「Story of 大望 これが大望クオリティー」です。
 皆さんは自分の物語を持っていると思います。このテーマに込められた思いは、大望館の一人ひとりがそれぞれの物語を描き、その一つひとつが、ありのままでいいじゃないか。いい意味で開き直ってもいいじゃないか、という思いで出来ました。これから私達49回生が引っ張っていく、自分たちの良いところ悪いところを把握し、雰囲気の良い館にする。そういった意識をもってこれから一年過ごしたいです。そして、just do it を大望生に一年間心で意識してもらえると幸いです。

 

 

 

光風館テーマ 「FRONTIER」  Y.K(光風館2年 長野県)

 光風館で、世代交代に向けて、まずやらなければならないことがありました。誰がどの委員会に所属するのかを決めることです。一番不安なミーティングの幕開けです。しかし、僕の不安はすぐに消え去りました。そこにあったのは、世代交代を真剣に前向きに捉える49回生の姿でした。それを見て、僕は気付きました。「今まで僕が考えていた不安要素は、僕が勝手に抱いていた49回生へのイメージだった」と。そして、決心しました。「僕がブロック長を引き継ごう!!」と。

1026_no03 世代交代を終えて、まずやらなければいけないこと。それは「テーマ決め」です。そこで48回生のテーマを思い返しました。「本気」と書いて“マジ”と読む。少し失礼な言い方をしますが…一見ふざけているように見えて、ちゃんとしたメッセージが込められていて、なおかつテーマとしてのインパクトも強い、このテーマ。僕は個人的にこのテーマが好きだったので、これに見劣りしないものにしようと考えました。
 ミーティングを進めると、メッセージも込められていて、なおかつインパクトも強いものがいくつか出てきました。しかし、ここで「ひとつの目標を決めてしまうと、ほかのことをないがしろにしてしまうのではないか。」という意見が出ました。確かに、その通りかもしれません。僕たちはミーティングを進める上で、「どのような館にしたいのか」を話しました。すると、「光風館は汚いというイメージを払拭したい」という意見が出ました。しかし、そこだけを目標にしてしまうと、館の美化に努める以外のことをないがしろにしてしまうかもしれません。そこで、「いろんなところに目を向けられるテーマのほうがいい」という考えになり、さらに話し合いを重ねました。
 その結果、さらなる高みを目指しつつ、いろんなところに目を向けられるテーマが決まりました。今年の光風館のテーマは「FRONTIER」です。「FRONTIER」の元々の意味としては、未開拓の分野・未開拓地という意味があるそうです。その「未開拓」の部分に、僕たちの課題を当てはめて解決していこう、開拓しようというメッセージを込めました。ミーティングで49回生へ何を前に進めていきたいのか、問いました。ルールを守る。ミーティングをしっかりする。全力でやる。当たり前のことを当たり前に出来る。最後までやり続ける…など、まだ多くの課題が解決出来ていないようです。そんな光風館の「FRONTIER」な部分を開拓していきます。そのためのテーマ、そのための新体制光風館です。このテーマ「FRONTIER」の下で、光風館49回生らしく、最後まで貫いていきたいです。

 

 

 

 

教師からの一言「共に働く時間の中で」  めぐみ館担任 小菅 真子

 2泊3日の修養会。2年生のコース別「十日町地域おこしコース」のグループを引率し、共に活動してきました。寮生がグループの半数近くいるコースでした。
 主な活動は、「稲刈り」。稲刈りの経験は、ありましたが、泥地のぬかるみと悪戦苦闘しながらの「稲刈り」は私自身も初めてでした。田んぼに入り、一歩前進することさえ大変。寮生達の頼もしいサポートをもらい、おかげで足手まといにならず一緒の汗を流しながら、働くことできました。共に働くことで感じる一体感は、すがすがしく、気持ちの良いものです。作業当初は、見通しが持てない状況でしたが、知恵と力を合わせて作業が進められ、やり遂げた時の達成感は味わい深く、疲労感さえも心地良いものに感じました。修養会で活動する姿から、寮生達のリーダー力と熱いエネルギーをあらためて感じる時ともなりました。
 10月。世代交代の時を迎えたのぞみ寮です。各館の2年生は、3年生からバトンを受け継いで、活動をスタートしています。それぞれが持つエネルギーが、これからの寮生活の中でどのように発揮されていくのか楽しみでなりません。
 10月末は、今年度2回目部屋替えが予定されています。また新たな出会いの中で関わりを深め、心豊かに過ごしていかれるようサポートしていきたいと思います。