2017年4月27日木曜日

のぞみ通信 2017年4月25日 第227号

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「感謝、出会い、願いを生きる ~出会いを課される場で~」

寮長 東 春也

 今日入寮される50回生の皆さん、入寮おめでとう。心から歓迎いたします。
 今日は、三つのことを話します。一つ目。私たちは、歴史的にまた世界的に見れば、本当に恵まれた環境の中に生きる、ごくごく少数者の中の一人であるということです。私たちは明日、兵士として戦場に行くことも、空爆に怯えることも、「踏み絵」を踏むかどうか悩むことも、キリスト教徒ゆえに競技場で猛獣と格闘を強要されることもありません。私たちには何の生命の危険も、戦争も、迫害も、飢餓もないのです。この事実を実感し、感謝することができないとしたら、それは私たちの感受性と想像力の低さの問題です。こんな日本海岸の地の果てに連れて来られた!と思っていませんか。第2代校長のモス先生は、この太夫浜の自然に感動して、ここを「quiet beautiful place!」と言いました。春の朝は鳥のさえずりで目を覚ますことができます。「この現実を感謝して」生きていきましょう。
 二つ目。こののぞみ寮はとてつもなく崇高な「教育のねらい」をもっています。それは、「生徒一人ひとりがここで他者と、自分と、そして神様と出会う」こと。その中で、一人ひとりの成長を通して、他の何者でもない、かけがえのない「私になる」というものです。だから、ここのぞみ寮は、あえて言うなら「他者と出会うことを課される場」です。なぜ「出会い」が大切なのでしょうか。敬和学園の教育課程には「キリスト教による人格教育」を行う学校だとあります。皆さんは他の何者にも代わることが出来ない人格をもっている。そして、その人格を磨き、人として成長するためには、他者と出会い、他者の人格で磨くしかありません。つまり人間関係の中でしか人は成長しない。だから、人は一人では生きていけないのです。出会いを通して、神を敬い、人を愛することのできる人間になってほしい。
 三つ目。新入生の皆さんに聞いてみたい問いがあります。それは、皆さんの中に「生きてこなかった自分」はいませんか?本当はこう生きたかったけど、何かの理由でそう生きられなかった自分はいないでしょうか?聖書には、「主はあなたの心の願いを叶えてくださる」とあります。神様は私たちの願いに応えたい、と思って下さる方なのです。だから、心からの願いを神様に言ってごらん、と聖書は言っているように思うのです。今まで、本当はこう生きたかったのに、「生きてこれなかった自分」がいるとすれば、これからは「生きたい自分」を生きてほしいのです。そのためには、敬和学園ののぞみ寮はもってこいの場です。
 50回生の寮生活という冒険が始まります。でも一人ではありません。一緒に生きる仲間がいます。これから共に歩んでいきましょう!ようこそのぞみ寮へ!

 

 

 

入寮礼拝 ~新入生代表あいさつ~

「期待と不安の寮生活」  W.Y(みぎわ館1年 福島県出身)

 私は福島県の会津若松市から来ました。県外ということもあり、不安な気持ちでいっぱいですが、それ以上に楽しみな気持ちもあります。そんな期待と不安が入り交じる複雑な気持ちを、入寮生代表のあいさつとしたいと思います。
 私にとって新潟での春を初めて迎える今日、のぞみ寮の一員となれることを心から嬉しく思っています。これから寮生活を始めるにあたり、一番の不安は、初めて親元を離れて生活するということです。今まで親にしてもらっていたことを、全部自分でやらなくてはならないのだと思うと、本当にできるのだろうかと心配になります。準備のために、冬休みから洗濯だけは自分でやってみました。けれども「面倒だから」と、つい親に甘えてしまうことも少なくありませんでした。こんな自分でも大丈夫なのかと、とても心配ですが、例えば自分の身の回りをいつもきれいにするというような小さなことでも、目標を持ってしっかりやり、日々楽しみながら自分でできることを、一つずつでも増やしていきたいと思っています。
 また顔も名前もわからない初めて会う人たちがほとんどの寮生活ですので、心細く、さびしいという思いも正直ありました。でもそんな時、同じ部屋の先輩方から優しいお手紙をいただきました。とても嬉しく、不安がやわらぎました。そして三年間で多くの人たちと素敵な出会いがあり、どんな思い出が作れるのかなと思うと、のぞみ寮での生活が少しずつ、楽しみになっていきました。また毎晩、礼拝があるということも私にとっては大きな喜びのひとつです。
 私の場合、寮に入りたいと思った理由はただ一つ、それは「自分が変われる!」と強く思えたからです。私は様々な局面で、つい自分の本心をかくし、「周りに合わせよう」とか、「誰かについていこう」と思ってしまいます。自分の意思があいまいになることがよくあるのです。そんな自分が嫌で、これを直したいとずっと思い続けてきました。そして、寮を見学した時になぜかワクワクして、まだ敬和への進学の気持ちが定まっていなかったこの自分が、心から「入寮したい!」、「ここでなら変われそうだ!」と強く思うことができました。言葉で言い表すことが難しい、不思議な気持ちになったことを、今でも鮮明に覚えています。私にこうした決心をさせてくれたのは、まぎれもなくそのとき出会った先輩たちの素敵な笑顔でした。
 右を見ても左を見ても新しいことばかりで、わからないことだらけの寮生活のスタートですが、同時にワクワクもしています。今日ここにいる一年生のみんなもきっと私と同じような心境ではないでしょうか。不安なのは自分だけではない、今日入寮した仲間たちもみんな一緒なのだと思うと、不安な気持ちも軽くなります。ここで出会えた仲間たちと共に悩みながら、先輩方や先生方に助けていただいて、一つひとつのことを乗り越えて、大きく成長していきたいと思います。
 これから私たち一年生は寮生活に慣れることに多くの時間がかかり、先輩方や先生方に迷惑をおかけすることがあるかも知れません。でも私たちなりに精一杯頑張ります。寮見学でお会いした先輩方のようなステキな笑顔や明るさをもって、私たちも寮生活を送っていきたいと思っています。これから三年間、どうぞよろしくお願いいたします。

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入寮礼拝 ~在寮生代表あいさつ~

「仲間と過ごす寮生活」  S.N(めぐみ館3年 長岡市出身)

 新一年生50回生の皆さん、ご入寮おめでとうございます。私たち48・49回生は皆さんがのぞみ寮にやってくる時を、心待ちにしていました。今、そこに座って話を聞いている皆さんの姿を見ると、2年前の自分の姿が思い出されます。
 周りを見渡せば知らない人ばかりで、これから始まる寮生活はどんなものか想像しきれませんでした。緊張や不安で体がこわばっている人も多いのではないでしょうか?もしかしたら楽しみで仕方がない人もいるかもしれません。
 しかし、安心してください。皆さんには、同じ思いを経験し、1・2年間この寮で過ごし、入寮当初より確実に良い方向へと成長した先輩たちがいます。
 ここ敬和学園には、「自分探し」という言葉にひかれて、入学を決めた人もいるかと思います。私もその中の一人です。中学時代「他人と関わること」「自分の意見を持つこと」が苦手な私は、不登校まではいかないけれど、2日に1回は休むようになった時期がありました。高校進学について悩み始めた頃、先にここへ入学していた従姉から話を聞き、敬和に興味を持ち始めました。そして、のぞみ寮という、必然的に人と関わらなければいけない、この場所で過ごすことが、自分が変われるきっかけになると、少し期待しつつ、のぞみ寮に入ることを決めました。
 つらい時もあります。かなしい時も、寮に帰ってきたくないこともあります。でも、ここには私を「おかえり」と迎えてくれる仲間がいます。皆さんの隣りにいる仲間、そして先輩たちとも、のぞみ寮でなら必ずそんな関係を築くことができます。
 この3年間がとても充実するものであり、ここに来て良かったと思える日が来るよう願っています。

 

 

 

< 寮生リレー >

「先輩としての責任」  I.K(大望館2年 福島県出身)

 僕が1年生を迎える前までの期間、気持ちは不安しかありませんでした。先輩として大望のルールをしっかりと教えられるのか。1年生が寮になじめるのか。そして僕自身が1年生と仲良くやっていけるのか。2年生合宿で、1年生を迎える準備をしている中、考えれば考える程、不安な気持ちがいっぱいでした。
 そんな状態で1年生を迎え2週間が経ちました。いつの間にか、僕の不安な気持ちはなくなりました。
 同じ部屋の1年生が、自分の家に帰る前に、わざわざ僕の所に来てくれて、少し言葉を考えて「行って来ます」と言ってくれた時に、不安な気持ちがスッキリと消えて、とてもうれしい気持ちになりました。
 1年生が慣れない環境中で先輩を思う気持ちを感じられて、とてもうれしかったです。
 まだまだ、寮の生活にもルールにも慣れていなくて、辛いと思うけど、この寮で2年間一緒に過ごす家族として、辛いことを一緒に乗り越えてがんばっていきたいです。

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「50回生の入寮が本当に嬉しい」  T.A(めぐみ館2年 新潟市出身)

 私も、もう2年生です。春休み前から、50回生を迎えるために様々な準備をしてきました。手紙を書いたり、寮内の掃除をしたり、ウェルカムボードを作ったり。めぐみ館にいよいよ私の後輩が来る!と、私自身も落ち着かず、机の上を模様替えしてみたり、クローゼットの中の服を全てたたみ直してみたりと、そわそわしていました。
 4月4日の入寮礼拝の日、私は終始ワクワクとドキドキで胸がいっぱいでした。50回生と一緒にやりたい事や、してあげたい事など、色んな事を考えてワクワクしていたはずなのに、実際に会えた時には何だか気恥ずかしく、会話もろくに出来ず、とまどってしまいました。
 新入生は緊張の中、入寮して、全てが新しい事ばかり。ひとつひとつに戸惑ったはずですが、それでも個人のペースでここでの生活に慣れようと努めてくれている姿に、私が力をもらい、嬉しく、安心しました。
 1年経った私にだってまだまだ出来ないことが沢山あります。分かっているはずだった事でさえ、教える側に立った途端どうしていいのか分からなくなることだってあります。だから心配せずに過ごしてほしいと思います。
 私は先輩方に言葉だけではなく行動を通して、いろんなことを教えてもらいました。私ができるようになるまで、先輩達は寄り添って支えてくれました。嬉しかったです。私がしてもらって嬉しかったことを、これからは私が50回生にしていきたいと思います。
 そして、互いに辛い事は相談し合い、楽しいことは共有して笑い合える、居心地の良い関係と暮らしを、のぞみ寮でしていきたいと思います。50回生、入寮して来てくれてありがとう!

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「最高のスマイル」  A.S(光風館2年 新潟市出身)

 あれから2年。僕もついに3年生になって、笑顔で新入寮生を待っているとは……。
 2年前の気持ちを思い出してみました。僕は入寮する時、「しっかりやっていけるのだろうか」と、とても不安でいっぱいでした。ですが、入寮の顔合わせの時に先輩たちが大きな声で僕の名前を叫びながら、最高のスマイルで僕を迎えてくれました。そのおかげで僕は、不安が和らいだことを憶えています。
 僕の実家は、新潟市北区にある豊栄という敬和から近いところにあります。なぜ、僕が入寮したかと言うと、それは親に「寮生活をしなさい」と言われたからで、仕方なく入りました。寮に入るまでの生活はとても酷く、家族と一緒にいる時間は1時間もなく、ほとんどの時間を自分の部屋で過ごしていました。
 こんな僕でしたが、人と関わることの大切さと楽しさを知ることが出来て、今はとても楽しく過ごしています。それは、入寮当時にお世話になった先輩たちが温かく迎えてくれたおかげです。だから、僕も先輩たちのように新入寮生を安心させられるように迎えようと思いました。 そして、当日。ドキドキしている新入寮生に2年前の自分を重ね合わせながら、同室の2年生と一緒に光り輝くボウズ頭と最高のスマイルで新入寮生を迎えることが出来ました。

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「のぞみ寮という場所で」  F.A(みぎわ館3年 十日町市出身)

 2年前、大きな期待と小さな不安を胸に、のぞみ寮へ入寮した私。しかし、入寮日から大泣きし、館の先輩方や同級生達に心配させました。慣れない環境の中、少しずつ「人に頼る」ということを、この2年間学んできました。入寮当初よりは、確実に成長できていると思っています。
 4月に50回生が入寮し、友愛館は賑やかさを増しました。私たちの時よりも、後輩達の方が、寮の適応能力が高いことに驚きました。50回生は先生達の前で泣く人はいても、先輩達の前では遠慮しているのか、大泣きをしている人は、あまりおらず(仲間との関わりの中で嬉し泣きをしている人は見かけましたが)、心なしか寂しさを感じています。
 世代交代をしてきた中で、寮生活が過ごしやすいように変えられ、先輩後輩とのより良い関係が作れてきているように思います。寮という環境は、とても恵まれています。仲間と共に笑い合い、泣き合い、時にすれ違ったり喧嘩したりしながら、共に成長し合います。悩みを聞いてくれる先輩方や先生方がいて、何より今まで知らなかった新しい自分を見つけることができます。私自身、そうでした。
 ここでのこれからの毎日を、当たり前だとは思わず、一日一日を大切に仲間と共に過ごしていきたいと、50回生を迎え改めて思います。この、のぞみ寮という場所で。

 

 

 

< 新任のあいさつ >

 山﨑 飛鳥(大望館担任)

 今年度より大望館の担任になりました山﨑飛鳥です。今後ともよろしくお願いします。寮担任の他、ラグビー部の副顧問も担当しています。私は3年前から敬和学園にお世話になっています。1年目は寮、2年目は学校、3年目は学校・寮と様々な形でのぞみ寮とは関わらせていただきました。
 私には将来ラグビーの指導者になるという夢がありました。小学生の頃から社会人になってからの約20年間、私の生活の中心には、いつも『ラグビー』がありました。しかし、これまでの敬和学園、のぞみ寮の子供たちとの歩みの中でその考えは大きく変わっていきました。いつの間にか私の生活の中心はラグビーではなく『のぞみ寮』になっていたのです。寮担任になる以上「お預かりした生徒一人一人の成長のために、他の全てを捨ててでも」という覚悟を持って就任しました。
 寮生活の中、様々な場面で寮生とは本気でぶつかることになります。特に48回生にとって最後の一年に新しい人が入って来て納得できないことも多々あると思います。そんな寮生に試行錯誤しながら大望館生と共に歩んでいきます。